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◆第2章 おまけの神子とにゃんこ(?)とワイルドエロ傭兵
閑話①-3~ジーク視点~
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初対面の頃から何度も失礼なことを言ったというのに、オレに罵詈雑言を浴びせるどころか、優しく対応してくれていることだけでも感謝するべきなんだろうが、何とかしてせめて普通に会話ができるようなりたい。
(ラインハルト殿からは完全に睨まれているし、オレが同席しているとどうしても空気がおかしくなってしまうのもどうにかしたいんだよなぁ)
以前、ラインハルト殿とは何度か依頼で一緒になったことがあり、当然互いに面識があったのだが、オレのトオルへの失言が余程腹に据えかねたのか、まるで初対面のように冷たくあしらわれたのを思い出して、俺は胃を抑えた。
だが、ラインハルト殿からしてみれば、自分の好きな相手を馬鹿にされたのだから、怒って当然の話だろう。実際、後になってシュナからは「やっぱりわざとだったみたい」と、ラインハルト殿の件については聞かされていた。
(付け焼刃の対人技術では……これ以上は無理だ)
今までのオレは、自身の問題点を自覚していても積極的に言動を改めようとする考えがあまりなかった。
気にはしていたし、仕事に差し支えがでないように努力はしていたが、それはあくまで事務的な感覚だった。対価を貰う以上は、最低限の常識が必要だと分かっていたからこそ、渋々やっていたにすぎない。
恋人とも、長続きしないとは周りにぼやいていたが、結局はそこまで執着することはなかったしな。
だが、トオルから嫌われるのは何となく嫌だった。
「……シュナ、そのパーティにオレが参加するっていうのは?」
オレは思わず、そう聞いていた。
オレはシュナに、今思っている考えを伝えた。トオルやラインハルト殿と仲良くなりたいこと、そのために色々な経験を積みたいことを。
今までは、そこまで重用していなかったが、今後はもっと社会について学びたいと伝えるとシュナはどこか呆れた様子だったが、少し悩んだ末に「まぁ、ありかもね」と呟いた。
「今まであんまり気にして無かったのは僕的には衝撃だったけど……、ジークが今後ずっとこのままだと、僕とかの理解者が死んだ後に絶対困るもんねぇ。そうなると、こういう色んなヒトが来るパーティはなれるのにはうってつけかなぁと思うし」
年齢はオレのほうが大分上だが、獣人と竜人では寿命が大きく違う。オレにとって、数十年はたいした時間では無いが、シュナからしてみれば一生といっても良い時間だ。どうやら、シュナはオレの未来を心配してくれている様だと知り、胸が温かくなるのを感じた。
抱き着こうとしたら全力でかわされてしまったが……。
「暑苦しいから無理!……で、本題だけどね、ジークさぁ、僕と決めたこと守れる?」
シュナから提示されたのは、あらかじめ用意された受け答えを記憶し、基本的に外見などに関しては「素敵です」「綺麗です」「可愛らしいです」の三択、怪しまれたら口下手である風を装えという内容だった。
あとは、絶対に反撃しないこと。何かされても防戦一方。嫌味な攻撃も全部笑みでかわし、殴らない蹴らない、魔法は討たない、武器を使うのも駄目、ブレスも吐かない、とにかく戦いに関しては非消極的にいくことと約束させられる。
もちろん、オレは頷いていた。実際、仕事だと思えば乗り切れる内容だ。
王太子にパーティに参加したい旨を伝えると、非常に喜ばれた。竜人いう希少な種族と交流できる機会は中々ないとして、衣装やら何やらすべて揃えてくれた、オレは万全の態勢でその日を迎えることができた。
こうして、オレは王太子主催のパーティーに出席することになったわけだが――。
「竜人の方って僕、はじめてみました!」
「背、すごく大きいんですね」
念のため王太子には竜人の性質というか生態を伝えたところ、さすがに完全に自由にしてしまうと何かあった時に助けられないという理由から、王太子のいる近くにいるように言われてしまった。
世間を知ることが目的なので、確かにこちらの方が良い気もするが……着飾ったそこそこ綺麗な奴らに纏わりつかれて、正直げんなりだった。悪意は感じられないし、変な下心があるような奴らばかりではないので我慢はできそうなのが幸いってところだな。
オレに関することに興味はあるようだが、自分たちに関することではあまり意見を求められないっていうところも楽だ。
視線の端にトオルを見つけ、一瞬声をかけようか迷ったが、結局やめた。トオルが困るようなことがあれば声をかけるつもりだが、今の所、周りの奴らはちらちら見るだけでトオルには話しかけていないようだった。
興味はあるんだろうが、中々機会がないんだろう。
(似合ってるな、夜会の衣装……)
成人している筈のトオルのどこかあか抜けない夜会服の着こなし方を見て、可愛らしいなと、その時のオレは素直に心の底から思った。
(ラインハルト殿からは完全に睨まれているし、オレが同席しているとどうしても空気がおかしくなってしまうのもどうにかしたいんだよなぁ)
以前、ラインハルト殿とは何度か依頼で一緒になったことがあり、当然互いに面識があったのだが、オレのトオルへの失言が余程腹に据えかねたのか、まるで初対面のように冷たくあしらわれたのを思い出して、俺は胃を抑えた。
だが、ラインハルト殿からしてみれば、自分の好きな相手を馬鹿にされたのだから、怒って当然の話だろう。実際、後になってシュナからは「やっぱりわざとだったみたい」と、ラインハルト殿の件については聞かされていた。
(付け焼刃の対人技術では……これ以上は無理だ)
今までのオレは、自身の問題点を自覚していても積極的に言動を改めようとする考えがあまりなかった。
気にはしていたし、仕事に差し支えがでないように努力はしていたが、それはあくまで事務的な感覚だった。対価を貰う以上は、最低限の常識が必要だと分かっていたからこそ、渋々やっていたにすぎない。
恋人とも、長続きしないとは周りにぼやいていたが、結局はそこまで執着することはなかったしな。
だが、トオルから嫌われるのは何となく嫌だった。
「……シュナ、そのパーティにオレが参加するっていうのは?」
オレは思わず、そう聞いていた。
オレはシュナに、今思っている考えを伝えた。トオルやラインハルト殿と仲良くなりたいこと、そのために色々な経験を積みたいことを。
今までは、そこまで重用していなかったが、今後はもっと社会について学びたいと伝えるとシュナはどこか呆れた様子だったが、少し悩んだ末に「まぁ、ありかもね」と呟いた。
「今まであんまり気にして無かったのは僕的には衝撃だったけど……、ジークが今後ずっとこのままだと、僕とかの理解者が死んだ後に絶対困るもんねぇ。そうなると、こういう色んなヒトが来るパーティはなれるのにはうってつけかなぁと思うし」
年齢はオレのほうが大分上だが、獣人と竜人では寿命が大きく違う。オレにとって、数十年はたいした時間では無いが、シュナからしてみれば一生といっても良い時間だ。どうやら、シュナはオレの未来を心配してくれている様だと知り、胸が温かくなるのを感じた。
抱き着こうとしたら全力でかわされてしまったが……。
「暑苦しいから無理!……で、本題だけどね、ジークさぁ、僕と決めたこと守れる?」
シュナから提示されたのは、あらかじめ用意された受け答えを記憶し、基本的に外見などに関しては「素敵です」「綺麗です」「可愛らしいです」の三択、怪しまれたら口下手である風を装えという内容だった。
あとは、絶対に反撃しないこと。何かされても防戦一方。嫌味な攻撃も全部笑みでかわし、殴らない蹴らない、魔法は討たない、武器を使うのも駄目、ブレスも吐かない、とにかく戦いに関しては非消極的にいくことと約束させられる。
もちろん、オレは頷いていた。実際、仕事だと思えば乗り切れる内容だ。
王太子にパーティに参加したい旨を伝えると、非常に喜ばれた。竜人いう希少な種族と交流できる機会は中々ないとして、衣装やら何やらすべて揃えてくれた、オレは万全の態勢でその日を迎えることができた。
こうして、オレは王太子主催のパーティーに出席することになったわけだが――。
「竜人の方って僕、はじめてみました!」
「背、すごく大きいんですね」
念のため王太子には竜人の性質というか生態を伝えたところ、さすがに完全に自由にしてしまうと何かあった時に助けられないという理由から、王太子のいる近くにいるように言われてしまった。
世間を知ることが目的なので、確かにこちらの方が良い気もするが……着飾ったそこそこ綺麗な奴らに纏わりつかれて、正直げんなりだった。悪意は感じられないし、変な下心があるような奴らばかりではないので我慢はできそうなのが幸いってところだな。
オレに関することに興味はあるようだが、自分たちに関することではあまり意見を求められないっていうところも楽だ。
視線の端にトオルを見つけ、一瞬声をかけようか迷ったが、結局やめた。トオルが困るようなことがあれば声をかけるつもりだが、今の所、周りの奴らはちらちら見るだけでトオルには話しかけていないようだった。
興味はあるんだろうが、中々機会がないんだろう。
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