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1章 怪異・不可思議
10「魅入られ」
しおりを挟む知人の話。
“狐に好かれている”と自称する友人がいた。
運は悪くないというか、かなりの事故に遭っても
カスリ傷だったり、お金が入用の時に臨時収入が
あったり、という程度のものだったらしいが。
そんな彼がある時ツアー旅行に誘われた。
まだ高校を卒業して間もない頃、2泊3日の
それなりに人気のあるツアーだったらしく、
参加者も30名を越えていたという。
若者向けのツアー企画で、異性との出会いを
期待したりと良からぬ動機があった事も確かで、
その目的はそれとなく友人に伝えられていた。
「だったら、
俺は行かない方がいい」
その友人はそっけなく答えた。
しかし、数は多い方が向こうも警戒しないし、
何より彼はそこそこ顔立ちが良く、いわば
エサとしての役割も期待していたのである。
何とか拝みこまれ参加する事に同意したものの、
「後悔するなよ」
と、捨てセリフのような言葉を残し、
皆はそのツアーの日を待つ事になった。
当日―――
すでにバスの中で異変は起きていた。
ツアーそのものに何か問題があったわけではない。
10代後半から20代後半くらいまでの若者、
30代はいない。
ただ、ツアー参加者が全員
男
だったという事である。
「ツアーを20年ほどしていますが、
こんな事態は初めてです……」
添乗員は、呆れたような声で感想を述べた。
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全く女性がいないのである。
唯一、その添乗員は女性ではあるが、
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「だから言ったのに……」
その後、彼らは2泊3日の旅行を健全に過ごしたという。
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