【完結】百怪

アンミン

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1章 怪異・不可思議

15「お返し」

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近所のお寺のすぐ後ろは神社で、そこの

神主から聞いた話。

以前それ関係でお世話になった事があるくらい

なのだが、そこでこんな話が出た。




「怒られまして」




そう言ったのは、そこの神主の奥さんだった。

誰に? と聞くと“神様”だという。

詳しく聞くと、こんな事があったらしい。




夢の中で―夢と知ったのは覚めてからだが、境内で

落ち葉を掃いていると、一人の参拝客が見えた。

20代前半か、体はそうだが顔はもっと若く見える

女性だったという。




「返しなさい」




女性は奥さんを見つけるなり、そう言ったという。

しかし、返せと言われたところでその女性とは

初対面である。

困惑していると、こう続けた。




「使い過ぎです。少しは返して差し上げなさい」




何を、と質問しようとしたところで目が覚めた。

今の夢はいったい何だったのだろうと、神主である

夫に話してみた。




「使い過ぎ……

 あ、まさか」




夫には思い当たるフシがあったようだ。

それからしばらく、ある若者のために彼は

いろいろと動いたらしい。

人脈やツテを総動員して、一週間ほどで

それは落ち着いた。




その若者は、神社の行事を手伝ったり、その他にも

事ある毎に世話になっており、若手の労働力として

重宝していた。

だが、彼に困った事があっても相談にのってやれる

タイミング等が合わず、ついつい放っておいて

しまっていた。




「恐らく、それの事を言っていたのでしょう」




しかし、神様ならば何とかしてくれても、と言うと




「神様は神様で何かしているでしょう。

 こちらの態度を注意するために現れただけで―――

 “人事を尽くして”、ですよ」




そんなものかと聞いていると、ふと彼女は

神妙な顔になって、




「でもねえ、バッグ持っていたんですよ。

 ブランド物の。

 あれは間違いなくルイ・〇ィトンでした。

 神様にも物欲ってあるんでしょうか」




ルイ・ヴ〇トン、恐るべし。


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