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1章 怪異・不可思議
16「祠」
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酒屋を営む人から聞いた話。
自営業ではあるが、小さい店ながらも経営は
楽ではなく、昔、店を手放すかどうかという
瀬戸際にまでなった事があったらしい。
「20年ほど前、あるところから借金して
しまってね。
返済期限が近付いていたけど、打つ手が
全くなかった」
ほとんど諦めていて、ただ日常を過ごして
いたという。
いつものように商売をし、日課をこなしていた。
その日課の中に、庭にある祠の
ようなものにお酒を供える、というものが
あった。
「家を買った時に、荒れてはいたけど
そんなものがあったんだ。
壊したり捨てたりするのも何だし、
何かの縁と思って」
返済期限が差し迫ったある日、祠の前でついグチを
こぼしてしまった。
もうお酒を供える事が出来なくなるかもしれない、
今までお世話になりました、と―――
その夜、彼は夢を見た。
杖をついた、異様に頭の長い老人が深々と頭を下げ、
彼に告げた。
「何も心配はいらない、
その時が来れば全て解決するから、
そう言っていた」
しかし、金策が好転するでもなく、期限まであと
一日と迫ったある日。
所用から帰宅してみると、酒蔵や家から、酒と言わず
家財道具と言わず運び出されているのを目撃した。
「契約はあと一日残っているはずです、
と言ったら、業者も同席していた若いヤツも
目を丸くしてたなぁ」
どうやら期日を勘違いして差し押さえしてしまった
らしい。
運悪く、というべきかそこに警官がやってきた。
同席していたのは弁護士だったらしく、事の次第を
弁解するも、
「だって、それは不法侵入と窃盗の
現行犯だよって。
しかも運んでいる最中に壊れてしまったのも
あったから、器物損壊も追加で」
結局、警察署で話し合いが行われ、こちらは
被害届けを出さない、向こうは借金を白紙にする、
すでに運び出した物に関しては、現状復帰の代わりに
借金で相殺する、という事で和解した。
その祠は、今も彼の家の庭に置かれ、
毎日お酒を欠かさず供えているという。
自営業ではあるが、小さい店ながらも経営は
楽ではなく、昔、店を手放すかどうかという
瀬戸際にまでなった事があったらしい。
「20年ほど前、あるところから借金して
しまってね。
返済期限が近付いていたけど、打つ手が
全くなかった」
ほとんど諦めていて、ただ日常を過ごして
いたという。
いつものように商売をし、日課をこなしていた。
その日課の中に、庭にある祠の
ようなものにお酒を供える、というものが
あった。
「家を買った時に、荒れてはいたけど
そんなものがあったんだ。
壊したり捨てたりするのも何だし、
何かの縁と思って」
返済期限が差し迫ったある日、祠の前でついグチを
こぼしてしまった。
もうお酒を供える事が出来なくなるかもしれない、
今までお世話になりました、と―――
その夜、彼は夢を見た。
杖をついた、異様に頭の長い老人が深々と頭を下げ、
彼に告げた。
「何も心配はいらない、
その時が来れば全て解決するから、
そう言っていた」
しかし、金策が好転するでもなく、期限まであと
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どうやら期日を勘違いして差し押さえしてしまった
らしい。
運悪く、というべきかそこに警官がやってきた。
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弁解するも、
「だって、それは不法侵入と窃盗の
現行犯だよって。
しかも運んでいる最中に壊れてしまったのも
あったから、器物損壊も追加で」
結局、警察署で話し合いが行われ、こちらは
被害届けを出さない、向こうは借金を白紙にする、
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借金で相殺する、という事で和解した。
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毎日お酒を欠かさず供えているという。
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