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2章 闇語り
97「実物」
しおりを挟む・模写について。
――――――――――――――――――――――――
お寺で修行している知り合いの話。
日本画や昔の絵画で―――
デフォルメ、もしくは当時の技法で描かれた
ものは、当然というべきか『本物』とは程遠い。
中でも、幽霊や妖怪、もしくは物の怪を描いた
ものなどは、どれも現実にはあり得ない風体を
しているが……
「まあそもそも実際にはいない物を、
どのように描いてもいいわけで」
人物画ですら写実的には描かれていない
わけだから、まして想像上の物なら―――
という話題を彼が同僚としていると、
「そこまで滅茶苦茶ではないと思うが」
と、途中から彼らの師が話に入ってきた。
師の説明によると―――
『実際にあり得ない』のであれば、それを
人形や模型にする事も難しいはずで、
「昔のストラップ、根付って言うんだが、
妖怪や妖の物も結構ある。
つまり、立体化する事は可能で―――
もし存在するのなら、実際にあり得ると
いう事だ」
しかし、それなら現在のフィギュアだって
実際に存在しなくても、いろいろと出ている
わけで―――
実際に存在している証明にはならないのでは?
と彼が師に問うと、
「まあ、全部が全部存在しているとは俺だって
思わねぇよ。
ただ何もかも、創作だ非現実的だと否定する
のも、な」
そこで師はある話を始めた。
今の時代、外国人観光客も珍しくは無いが、
ある小さな自治体でも誘致を始め―――
ちらほらと海外から客が来るようになった。
そんなある時、『山で奇妙な生き物を見た』と
数名の外国人から報告があった。
しかしその生き物が何なのか、図鑑や資料を見ても
一向にわからなかったという。
もしかしたらまだ見つかっていない新種か
固有種かも知れない、と自治体が調査する組織を
起ち上げようとしたところ―――
ある外国人から照合が取れたという情報が
入った。
それは地元の史料で、伝承と同時に当時
出現したといわれる『化け物』が描いて
あったのだが……
外国人はそれを見て『これだ』と言ったという。
「確か目が三つだとか、巨大な毛むくじゃらの
芋虫のような体だったとかで……
生物学的にあり得ない形だが、その外国人は
そうだと言って譲らなかったらしい」
技法や描写はともかくとして、当時の絵師は
リアルに描いていたんじゃねえのかな―――
師はうなずきながら話したという。
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