【完結】百怪

アンミン

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2章 闇語り

96「度合い」

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・感度の強さについて

――――――――――――――――――――――――

お寺で修行している知り合いの話。

よく『霊感がある』『見える人』という表現で、
普通の人には見えないものが見える―――
そんな区別があるが、

「それは全員、同じなのだろうか」

彼は同僚にその疑問を振ってみた。

つまり、『見える』『見えない』という二択
だけではなく、怪談によっては『感じる』という
人間の話もある。

「そもそも、ある日突然―――
 見えたり聞こえたり、感じたりするものなの
 だろうか?」

そこへ、日課の勤行ごんぎょうを終えた師が入ってきた。

「俺か?」

彼らは、師へその疑問と共に……
いつ頃から人非ざる気配や、そのような感覚に
目覚めたのか聞いてみると―――

「いつの間にか、としか言いようがねえなあ。

 そもそも、固定観念というか……
 元からあるものを『認識』出来るように
 なっただけというか。

 ただ、その度合いというものはあると思う」

そう言って彼らの師匠が話し始めたところに
よると―――
彼も若い頃はいろいろと各地を渡り歩き、
修行としてあえて、災害や大規模な事故の
あった土地を巡り歩いたという。

「全部、自分に背負うんだよ。
 それでちゃんとした寺や聖地まで
 連れて行くんだ。

 この辺だと上野のお山だな。
 あそこが関東仏教の総本山だから」

そうして、あちこちから数人背負い―――
歩いて上野の山まで行く、という事を
繰り返していた。

しかしある時、途中で体がとてつもなく
重くなり……
どうしても動けなくなったところ、師匠の
師匠が駆け付けてきて、

『ガハハハハッ!!

 お前、200人も背負ってくるたぁ、
 根性入っているなぁ!!』

その後、彼は自分の師匠に助けられ―――
何とか上野の山まで行く事が出来たらしい。

「俺としちゃ、その時は5、6人だけ
 『連れて』来たと思ってたんだよ。

 そン時ゃ自分も、『200って何だよ!』
 って自分に突っ込んだわ」

その後、彼の師匠曰く―――
確かに最初はその5、6人だけだったのだが、
それを中心にあれよあれよという間について
来てしまった、との事。

「何でも、古今東西放っておかれた霊たちが、
 『この人に乗ればいいかも』という事で、
 次から次へと乗ってきたんだとさ。

 でもその時の俺には見えなかったわけで……
 まだまだ未熟だと感じたよ」

「じゃあ今は100でも200でも、
 平気になったんですね」

彼が聞くと、師はプッと吹き出し、

「ふざけんな。

 その時ゃ丁重にお断りしてるよ。
 せめて20人ずつくらいにしてくれってな」

そう言って師はカラカラと笑った。

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