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3章 怪異にまつわる雑談・雑考
19「霧消」
しおりを挟む・現代怪談話・伝聞
――――――――――――――――――――――――
都内で勤めている営業マンから聞いた話。
まだバブルが崩壊して間もない頃―――
勢いがあった業種はそれなりに儲かっていて、
接待によくゴルフを設けていた。
「で、たいていそういうところには、
打ちっ放しの練習場もあるわけで」
そこで一・二時間ほどお得意様と一緒に
練習した後、コースを回るのがいつもの
流れだった。
「でまあ、そういうところは広い場所を
確保しなきゃいけないわけだから……
郊外である事が多いんだ」
都心から離れ、土地に余裕のある場所で、
当然自然も多い。
大きめの鳥も飛んでくる。
打ちっ放しの場所にも大型の鳥がやってきて、
のんびりとエサをついばんだり、羽を休めたり
していた。
「当初は危ないなあ、とか思っていたんだけど、
思ったより当たらないものなんだよね、アレ。
それで僕も練習を始めたんだけど」
ふと一緒に打っているお得意さんに目をやると、
どこか様子がおかしい。
寒気でもするのか小刻みに震えており、
声をかけようとしたところ、彼の視線の先に
気付いた。
そこには、数羽の鳥に混じって―――
墨を溶かして塗ったような鳥がいた。
長い脚、ツルかタンチョウのような外見。
しかし見事に真っ黒な……
彼は思わず、それに向かってゴルフボールを
打った。
するとボールは弧を描いて、ホーミング弾のように
命中し、
「ボシュッ、って感じで……
霧消するように消えたんだ」
同時に、お得意様がその場にへたり込み、
『助かった、助かった』と彼に何度もお礼を
言った。
その帰り、ゴルフ場の駐車場へ戻ったところ、
なぜか彼の車だけ、鳥のものと思われる
大量のフンが浴びせられていた。
茫然としていると、同行していたお得意様が、
「大丈夫大丈夫、クリーニング代は
こっちで持つよ」
以来、そのお得意様とはさらに懇意になり、
今でも仕事でいろいろと融通を利かせてもらって
いるという。
ただ、この時の事を話題にすると―――
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