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188・首脳会談02
しおりを挟む「で、では―――
これらの技術力はエルフ族のものでは
なく、転生者としての知識であると!?」
「……正確には……
みっちゃんを含め、わらわたち転生者の
記憶に基づくものを……
みっちゃんのスキルで再現した……
というところでしょうか……」
一通り説明が終わると、竜人族一行は
困惑を通り越し、混乱した様子で聞き返す。
「こ、ここがマオル大陸というのは、
事実なのですか!?」
「『ゲート』を使えば一瞬ですからね。
距離は関係ありません」
メルダ竜皇姫の問いには
ヴァルマこと武田医師が―――
フレデリカにはティーネール女王が答え、
「こ、こんな魔法……
いや、スキルか?」
「その『ゲート』さえあれば、理論上、
いくらでも軍を送り込める事に」
「いやそれ以前、こんな施設を国内に
作られたら―――」
他の竜人族たちも、その脅威と効果を
分析して背筋が寒くなる。
「だから事実上……
我がガド帝国も、ヴァルマ様および
みっちゃん様の支配下なのだ」
「即ち、マオル大陸全土は―――
2人のものだと言って過言じゃないニャ」
グレンダ女帝と、獣王国・王姫、
ヒルデガルドもそれを追認し、
「では、いったいどうしたいのだ?
我がノグラード竜皇国に
何を求めている?」
竜皇姫の質問に武田医師は目を閉じ、
「……そもそも、今回の発端は……
テオ君とみっちゃん、2人がどうも
調べられている、というものでした……
……そしてそれを命じたのがあなた……
竜皇国の竜皇姫という事がわかったの
です……
……もちろん、あなたは2人を手に入れる
つもりだったのでしょう……
それが高じれば、二国間、いえ……
……下手をすれば大陸間の争いに
発展すると……
みっちゃんは危惧したのです……」
それを聞いたフレデリカは両目を閉じて、
眉間に人差し指をあて、
「まあ、確かに―――
今回、2人がイルミア大陸にいるという
報告を受けて、正直ホッとしたものです」
それを聞いて他の看護師たちはうなずき、
「だからあっちの大陸まで出向いて、
あなたたちをおびき寄せたんだよ」
「いきなり竜皇姫様が乗り込んで来るのは、
予想外だったッスけどね」
白波瀬と弥月看護師が事の次第を
説明し、
「それに今回は、いきなり国の頂点に
狙われていたのであるからな」
「ガド帝国の時はまだ、漠然とした
情報を元にでしたけどね~。
メルダ様はテオ君とみっちゃんを、
最初からあのVR装置で知った上で……
でしたから~」
校倉と和泉看護師が、さらに状況を
詳しく語る。
「ええとなんだ、つまり―――
ワシたちをこうして捕まえたのは、
衝突を回避するためであったのか?」
「……平たく言えばそうなります……
……もちろん、要求したい事もあるには
あるのですが……」
メルダの言葉に武田医師は静かに返すと、
「しかし、エルフ族はめったに人間とは
交流しないと―――
ヴァルマ様は先ほど仰られたのでは」
フレデリカが疑問を口にすると、
「……確かにわらわはエルフ族では
ありますが……
それ以前に転生者であり、前世は
医者だったのです……
……そこにいる4人も、わららの
元部下にして、医療従事者……
……みっちゃんは元患者……
……即ち、わらわたちの要求する
ものは……
この世界の医療技術の発展に
他なりません……」
すると竜人族の護衛たちはざわめき出し、
「それは、こちらにしかメリットが
ないように聞こえるが」
「あの魔導具も医療技術だというのか!?」
「そうまでして、そちらに何がある?」
と、当然の疑問を口にするも、
「―――静まれ」
メルダ竜皇姫の言葉に竜人族たちは
静まり返り、
「……そちらが、あくまでも平和的に
この世界の医療技術を高めたい、
それを信じた上で言おう。
国の施政者として―――
それに従う事は出来ん」
彼女の言葉に、室内にいる者たちの視線が
一斉に集まった。
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