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08・食事とトイレとお風呂と
しおりを挟む「じゃあパンを取りに行こう。
トイレは……後は実際に使ってみてくれ」
俺は大部屋で、一緒に食事を取りに行く
子供たちをまとめていた。
ちなみに、食事を用意する前に『食べた』後に
備え―――
子供たちにトイレの説明を試みたのだが、
ウォ〇シュレットや水洗、自動的に水が出て来る
洗面所は理解の範囲外だったらしく、
使用後、トイレットペーパーで拭く事、流す事、
手を洗う事だけは教えた。
後はもう慣れてもらうしかない。
生理現象だし、嫌でも覚えるだろう……多分。
「何コレー!?」
「すっごくあまーい!」
「こんな柔らかいパン、食べた事ない……!」
用意したパンに、子供たちが夢中でかぶりつく。
菓子パンの自販機にあった―――
あんぱん、クリームパン、ジャムパンなどなど。
栄養とか消化とか、あまり子供に食べさせては
いけない物だとわかっちゃいるが……
今はとにかく空腹を何とかするのが最優先。
他にコーンスープやポテト・かぼちゃの
ポタージュといった、温かい飲み物も一緒に
摂らせる。
病人の子は、まだ固形物は食べられそうに
無かったので……
何とかスープだけ飲んでもらった。
「何か……眠く……」
「ふわあぁああ」
お腹がいっぱいになった事で落ち着いたからか、
眠気が襲ってきたのだろう。
「んー、じゃあ寝る前にお風呂に入っちゃおうか」
「えっ!? お風呂!?」
一番の年長者の女の子が、目を丸くして驚く。
お風呂というワードに反応したのであれば、
当然この世界にもあるのだろうけど―――
「と、とんでもありません!
そんな手間のかかる事を」
こちらの世界では、これが普通の反応だろう。
洗面所でも驚いていたけど、恐らく水道は
完備されていない。
イコール、水は汲んでくるしか無いという事だ。
人が入れるくらいの水を用意し、さらにそれを
沸かすというのは、とんでもない重労働。
それを俺がやると思っているのだろう。
「これも見てもらった方が早いかな。
病気の子を1人にするわけにはいかないから、
半分ずつ入ろう。
えーと……」
そういえば、ここにいる子供たちの名前を
俺は知らない。
取り敢えず、まとめ役らしい女の子に
改めて聞く。
「君の名前は?」
「あ、あたし―――
リナっていいます」
「リナちゃんか。俺の名前はヒロトだ。
よろしくな。
じゃあ、お風呂へ行こうか」
そこで俺は彼女を含む半数を連れて、
大浴場へと移動した。
「ううぅうう……
こんなにたくさんのお湯なんて―――
信じられません……!」
シャンプーとリンスで綺麗に洗った、
その薄黄色のセミロングの髪をお湯に
ひたしながら、リナがうなっていた。
俺もみんなと一緒にお湯に浸かりながら、
ようやく人心地つく。
全員に施設としての浴場の使い方を
レクチャーし、体の洗い方も教え……
しかし、下は四・五才―――
一番年長者のリナは、多分十才か十二才くらい
だろう。
そんな子供たちの体を中身アラフォーの俺が
洗うのを手伝うのは、完全に事案だが……
ここは異世界。何の問題も無い(と思いたい)。
そもそも甥や姪の面倒を見ていた事もあるし、
そういう目で見る事は無い。
無いったら無い。
「う~……ん」
ふと、水面を見て俺はうなる。
俺の外見―――
風呂に入る際、大型の鏡の前で脱いだ時……
俺はそこで初めて自分の全体を認識した。
真っ白なセミロングの髪に、まるで男の娘という
ジャンルに入れるような顔……
しかし、俺があの城に召喚された時、王女や
神官っぽい人たちは、俺の外見については
何も言ってなかった。
いつから変わったのか。
やはり正式に、ダンジョン管理者となった時
だろうか。
いつの間にか手の傷も消えていたし……
まあこれは考えても始まらない。
俺はバシャッ、と両手で顔を洗い、
「この施設は、蛇口をひねれば
お湯も水も出てくるから―――
今日からは、毎日お風呂に入ってもらうから、
そのつもりで」
「~~~……」
リナは何か言いたそうにしていたが、諦めたのか、
そのまま口元までお湯の中に沈んだ。
「ほい、じゃあ着替えるよ」
お湯から出ると、ドライヤーで子供たちの髪を
乾かし、備え付けの部屋着に着替えさせる。
家族連れの客も想定していたからな。
あの時の俺にグッジョブと言いたい。
また、大量に汗をかいたはずなので、
浴場に備え付けの冷蔵庫にあった、
牛乳やコーヒーミルクで水分を補充させ―――
団体部屋まで彼らを戻した後、また俺が
引率者になって、もう半数をお風呂へ。
全員をお風呂に入れ終わった後、
最後に病人の子の体を、管理室から持ってきた
ウェットタオルで汗を拭いて……
「取り敢えず、今日はもう寝よっか……」
それぞれをベッドに寝かせた後―――
俺も力尽きるようにして、体を横たわらせた。
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