【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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09・カミュ王女Side01

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「……これは?」

「は、例の召喚者の少年―――
 ヒロト・ジンムの物にございます」

騎士の一人がわらわの前に片膝をつき、
血濡れの汚い布を差し出す。

あの日、クレイオス王城にて召喚が行われた日……
子供が一人混じっていた。

神官どもの話では、こんなに幼い者を召喚した
覚えはないという事らしいが―――
間の悪い事に、召喚者の女性の一人に見られて
しまった。

別室で詳しく事情を聞いたところ……
どうも他の召喚者に巻き込まれてしまったらしい。
余計な手間をかけさせおって。

まあ顔は良かったので、もったいないと思ったのは
確かだ。
隷属れいぞくの首輪でもはめて、飼うという選択肢も
あったが……
生かしておくとどうしても情報が流出するからな。

人の上に立つ者、決断が早くなければならない。
そこでわらわは即、処分を命じたのだが……

「ずいぶんと切り裂かれているようだが、
 そんなに彼は抵抗したのか?」

「兵士たちの話では、用を足したいというので
 馬車を止め、離れた場所でさせていたようなの
 ですが、

 そこを魔物に襲われ、そのように……」

「魔物けの匂い袋は?」

「すぐ戻って来ると思い―――
 持たせなかったそうです」

なんと……
運の悪い子供だと思っていたが、とことん
ツイてなかったようだな。

せめて来世では、もう少し幸せに暮らせるよう
祈ってやるか。
わらわは慈悲深いからな。

「他の召喚者どもは?
 あの子について、何か言ってなかったか?」

「はい。女勇者であるユウコさまが、しつこく
 神官を問い詰めていたようでして。

 カミュ王女様から言われた通り、
 『元の世界に送還した』と説明すると、
 引き下がったようです」

やれやれだ。
物事は思い通りに進む事は無いと承知して
いるが……

しかし、これも重い責任を背負う者の使命。
この程度の事で音を上げるわけにはいかん。

「まあ想定通りだ。

 その布、すぐに焼却せよ。
 証拠は残すな。

 関わった連中全てに他言無用を徹底させろ」

「ハハッ!
 そ、それと―――」

「まだあるのか?」

わらわの威厳に押されて萎縮しているのだろうが、
小出しに報告されるのは、気分が良いものでは無い。

不機嫌そうな声を出してしまい、余計騎士は
身を縮こませるが、

奥から神官、恐らく下級であろう男が一人、
騎士の隣りに歩み出て膝をつく。

「その、召喚された勇者たちは―――
 『恩恵ギフト』を授かっております。

 なので処分は、その『恩恵』が判明するまでは
 待った方が良かったのではないかと上層部が
 申しておりまして……」

今さらそれを言って何になる?
思わず大きなため息が出る。

『恩恵』は知っている。
だが、それが年端もいかない子供が持って
しまったら?
そして、元の世界に戻れないという事を
知ってしまったら?

隷属の首輪で支配したとしても、万が一が無いとは
限らない。
戦闘向けの『恩恵』では無かったとしても、
毎日母恋しさに泣かれでもしたら、うっとうしくて
かなわん。

同情して待遇改善を訴えたり、情報を漏らすやつも
出てくるだろう。

なぜ、その程度の事が考えられないのか―――

「……では貴殿が魔境の森へ向かえ。
 心ゆくまで調べて来るがいい」

「い、いやそれは」

わらわは立ち上がって、膝をついたままの
若い神官に近付き、

「そもそもだな。
 神官どもの手違いが発端であろうが。

 勇者召喚の儀―――
 あのような子供まで召喚するとは、
 わらわは聞いておらなんだぞ?

 おかげでわらわは、何の罪も無い幼子を
 始末するという非情な選択を迫られた……

 その苦渋くじゅうの決断に感謝するどころか、
 不満まであったとはな!」

「とと、とんでもございません!

 し、司祭長の話によりますと、何分にも
 初めての事ゆえ、不測の事態が発生する
 可能性があったとの事でございまして……

 カミュ王女様のお気持ちは必ずお伝えします!」

あ、と思う間もなくその若い神官は退出した。

まったく逃げ足の早い……
まあ、あ奴もただの使い走りであろう。
怒るのも大人気なかったか。

「もうよい。
 そなたも下がるがよい」

「で、ではこれにて―――」

騎士を下がらせ一人になると、改めて
思考を巡らせる。

「後は勇者どもか……
 うまく『使わねば』な」

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