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46・確認
しおりを挟む「いただきまーす!」
「い、いただきます」
リナと『既成事実』した翌朝―――
俺と彼女は団体部屋で、みんなと朝食を
取っていた。
魔狐のパトラさん、銀猫のコマチさんも
含めた、普通の食事風景だが……
心無しか女子組からの熱気のこもった視線が痛い。
「主よ、あの2人は?」
「ああ、クラークさんとミントさんなら、
『お客様』だから―――
朝の食事は遅めにズレるんだ。
もう少し待って起きて来なかったら、
誰か起こしに行ってくれ」
パトラさんの質問には俺が、
「起こしに行かなきゃ起きないんじゃない?
あんなベッドで寝た日にゃ、そりゃ」
「絶対無理だと思いますよ?
あたしたちだって、最初の頃はまず
ヒロトお兄ちゃんに起こされていましたし」
コマチさんには、俺の隣りにいるリナが答える。
「そういえばさ。
この魔境の森って、擬態植物ってヤツが
いると聞いたんだけど。
パトラやコマチは大丈夫だったのか?」
俺の質問に、はちきれんばかりの胸をした
魔狐が口を開き、
「それは大丈夫ぞ?
わらわやコマチにはダンジョンの位置が
わかるでのう」
「あとワタクシたちは魔物だからねー。
人間より鼻が利くし、迷子になるなんて
コトは無いから」
次いで、黒髪黒目の猫耳メイドが語る。
「あの、お兄ちゃん。
『こんびに』ってお店、すごかったけど、
他のお店も?」
そこでグレンが、コンビニ以外の施設について
聞いてきて、
「そうだなあ。
コンビニはある程度揃っているから、最初に
再現させたけど……
コスプレ喫茶も、確か中に調理場があった
はずだし、ドラッグストアも処方箋受付が
あったから―――
何かあった時のために再現しておいた方が
いいかも知れないな。
そう遠くないうちに、全部作るよ」
などと話しながら、一通り食事を終えて……
チラ、と時計を見る。
「こりゃ起きて来ないな。
仕方がない、起こしに行くか」
「じゃあア・ナ・タ♪
あたしはミント様を起こしに行きますから」
リナが当たり前のように片付けながら話す。
宿屋の娘だったし、お客さんを起こすのも
彼女の仕事の一つだったのだろう。
「主よ、どうせなら勉強がてらみんなで
行ってみぬか?」
「確かあの2人で練習してるんでしょ?
ついでに見学させたら?」
パトラとコマチの提案に耳を傾け、
「まあ、そうだな。
じゃあクラークさんの方は俺が男の子たちを
連れていくから―――
リナは女の子たち……
結構多いけど大丈夫か?」
と、彼女に視線を向けると、
「心配ならわらわたちも出るぞ?」
「どうせこのダンジョンの中じゃ、
する事も無いもんねー」
配下の彼女たちが申し出てきたので、
そのままお願いする事にした。
「じゃあ、俺たちはクラークさんの部屋の
3階へ行くから、リナたちはミントさんの……
4階へそのまま向かってくれ」
「はい、アナタ♪」
昨夜の事があったからか、リナは妙に
色っぽく返事をしてくる。
そして二基あるエレベータに男女に別れて
乗り込み、別々の階へと上がっていった。
「クラークさん、おはようございます。
もう起きていらっしゃいますか?」
まずノックをして、様子を伺い―――
「ああ、おはよう。
すまない、寝過ごしたようだ」
ドアを開けてクラークさんが対応する。
「いえ、お客様ですからそこは……
そろそろ朝食のお時間ですが、いかが
しましょう。
1階にお越し頂ければ、朝食をご用意
いたしますが」
「そ、そうだな……
顔を洗うから待っててくれ」
そこで俺は他の子供たちに視線を移すと、
みんな熱心に接客の仕方を覚えている
ようだった。
「おはようさん。さて―――
体の具合は大丈夫かい?」
一方、四階では……
ミントの部屋で女性陣がぎゅうづめになって
熱気を放っていた。
赤髪の女性シーフの言葉の先は、セミロングの
髪の少女で、
「ええ、一応。
最初は痛いとか入らないとか聞いていたので、
ちょっと怖かったんですけど……
そこはヒロトさんが、えっと、うまく
してくれたっていうか?」
彼女の言葉に一気に部屋の温度が上がり、
『それでそれで!?』『どうなったの!?』と
女の子たちが盛り上がる。
こうして自分の夜の生活がダダ漏れになって
いるとは―――
ダンジョン管理者であるヒロトは知る由も
無かった。
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