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49・カミュ王女Side05
しおりを挟む「……勇者たちは行ったか?」
末端の連絡役と思われる兵士の前で、
長いウェービーヘアーの金髪をなびかせながら、
身分の高そうな女性が問いかける。
「ハッ。
レオ様率いる男性陣の勇者は現在、
魔王メルダの支配地へ向けて進軍中との事。
女性陣の方々は、その後方をついていく
予定です」
わらわは心の中でため息をつきつつ、
物事が順調に進んでいる事に安堵する。
男の勇者どもを最前線へ向かわせ、
その実力を測ると共に……
女の方はこの機に王家の男どもへ『献上』、
文句を言わせないようにしておくのだ。
「これで一気にこの戦争の趨勢が決まりますな」
わらわの機嫌を取るためであろう、司祭長が
下手に出て語る。
もっともその真意は、勇者召喚を成功させた
我々にもおこぼれを……
という腹積もりであろうが。
「魔族との争いは長年に渡る。
そんな簡単な話ではあるまいよ。
今回はあくまでも様子見。
一戦交えたら、すぐに退くよう申し付けてある」
「……それはなぜですかな」
立派なヒゲをたくわえた老人が、
疑問を呈してくるが、
「目的は3つある。
1つは、勇者と魔族を戦わせ―――
敵味方に勇者の存在を知らしめる事。
もう1つは勇者という戦力が、どれだけ
魔族に通じるか確かめる事。
あと1つは、女勇者がいなくても前線は
問題ないという証明のためだ」
わらわの答えに司祭長は片眉を吊り上げ、
「お言葉ですが、支援は重要です。
確かに女性勇者の恩恵は、数さえ揃えれば
代用は可能でしょうが―――
それでも1人で10人以上に匹敵するとなると
話は別です。
ここは1つご再考を……」
このキツネめ。
貴様の魂胆などお見通しだ。
せっかく聖教会が召喚した勇者なのだ。
あの女どもにも活躍の機会を与え―――
発言力を強化したいという意図が透けて見える。
「だから、それらも踏まえての今回の戦いだ。
もし彼女たちが必要であるとわかったら、
もちろん考慮しよう」
「ありがとうございます」
うやうやしく頭を下げる司祭長にわらわは続けて、
「ああ、そういえば―――
男性勇者の方は、女性を戦闘に加える事に
消極的なのだ。
特にレオ様は……
どこかの国の男どもと違ってな。
もし説得が必要になったら、その時は
司祭長に頼むとしようか。
当然、引き受けて頂けるな?」
ヒッ、と彼は息を飲む。
「どうした?
彼女たちを戦力として加えたいのであろう?
わらわの口からはとても言えぬでな。
まさか断るとは言うまい?」
見下すようににらみ付けると、老人はガクガクと
身を震わせ、
「そ、その時は―――
聖教会としても慎重に審議いたしまして、
説得に適した人間を選んで送りましょう。
では失礼いたします……!」
逃げるように退室する司祭長を見送り、
わらわはやれやれ、と今度こそリアルに
大きくため息をついた。
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