【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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55・エンテの街へ

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クラークさんとミントさんが、このダンジョンに
帰還してから三日後―――

俺は魔狐マジカルフォックスのパトラさんを護衛として、彼らに
街まで案内してもらう事になった。

リナは銀猫シルバーキャットのコマチさんと一緒に、子供たちの
面倒を見てもらうため、留守番してもらう事に
なったのだが、その不満を隠そうともせず
ふくれっ面になっていた。

「まあそう怒るでない、奥方殿」

「そうそう。
 それに、夫の留守を守るというのも、
 妻の務めですよー?」

「……むぅ」

魔物だが、大人の女性二人の言葉に、
彼女は顔を赤くしてうなずく。

「じゃあ、行ってきます。
 施設内の物は好きに使っていいから。

 うまくいけば、直接ダンジョン同士を繋げて
 帰ってくると思う」

こうして俺とパトラさん、そして冒険者二名は、
エンテの街へ向けて出発した。



「クラークさん、異常は無いですか?」

「魔物除けの匂い袋がいくらでもあるからな。
 これさえあれば、魔境の森も安全だよ」

先頭を歩く戦士風の冒険者に声をかけ、道中の
状態を確認する。

俺は、いったん手に入れた物ならいくらでも
管理ptポイントと引き換えにコピー出来るのだが、

「でも、料理まで複製出来るなんてね。
 あなた1人がいれば、どんな部隊だろうと組織
 だろうと、食いっぱぐれは無いもの。
 うらやましいわ」

シーフタイプの女性が、宿泊時の事を思い出して
いるのだろう、しみじみと語る。

実際、今のダンジョン内で養っている人員は、
俺とリナ、子供たち、パトラ・コマチを含めて
二十人超となる。

軽食の自販機やコンビニ、ドラッグストアが
あるとはいえ―――
暖かい料理をいつも人数分、同じ種類揃えるのは
難しい。

それに出来れば作り立てを食べて欲しい。
それで悩んでいた時、リナから……
『一度作った物なら複製出来ませんか?』と
アドバイスをもらったのである。

そこで俺は、取り敢えずコンビニにある材料で
肉野菜を入れた、袋ラーメンを作成。
それを自分の持ち物として登録してみたところ、
あっさりコピーに成功してしまった。

しかもダンジョン内で調達したものなら、
管理ptも1しか消費されないらしい。

もともと、姪や甥に手料理も作っていた事も
あるので―――
焼きそばにカレー、オムライス、ハンバーグなども
ストックされ……
いつでも好きな時に、暖かい手料理を出せるように
なったのである。

「まあ、そういう使い方をするぬしにも驚いたが……
 何より驚いたのは、こうして外に出られた
 事じゃなあ」

魔法使いのコスプレのような衣装を着た
パトラさんが、俺の隣りから声をかけてきた。
人間の街に向かうという事で、狐耳やシッポは
隠している。

そんな彼女の話では―――
基本、ダンジョン管理者・マスターというのは、
ダンジョンの外には出られないらしい。

「でも俺、お城に召喚された時は普通に外に
 出ていたけど?」

「多分そこで……
 勇者でもありダンジョン管理者でもある、
 そういう存在になられたのでありましょう。

 本来であれば、外に出ようにも壁に阻まれた
 ように出られないはずですから」

確かに、あの奴隷商と対峙した時も―――
普通に岩山の洞窟までは出られたからなあ。

そんな事を話しながら、俺たちは街まで歩みを
進めた。



「ン!?
 クラークにミントか」

「そこの2人は誰だ?
 初めて見る顔だが……」

エンテの街に到着すると、当然というか門の
あたりで、警備兵らしき人たちに呼び止められた。

「ああ、こちらの女性はパトラさん。
 子供の方はその弟でジンっていうんだ。

 2人ともミントの同郷らしい」

俺の名前―――
ヒロト・ジンムをそのまま使うのはリスクが
あったので、姓の方から取ってある。

「は、初めましてっ」

俺はいかにも子供っぽい態度で挨拶し、

「ミントの同郷か……
 身分証はあるのか?」

来た。これが第一関門だ。
魔物もいる世界、治安の悪さは街を囲む石壁の
高さがそのまま物語る。
そりゃセキュリティが甘いはずもなく。

俺は不安そうにミントさんの方を見上げるが、

「アタシの田舎の村に、そんなしゃれた物を
 作ってくれるところなんて無いよ」

「ミントに言われてのう。
 ここなら、作ってもらえると言われて
 来たのだが」

そこで門番兵の二人は顔を見合わせ、

「あー、そういう事か。
 じゃあ入場料払って、この仮の滞在証明を
 持っているように」

「料金は1人30エンダールだ。
 滞在期間は10日間。

 その間に、冒険者ギルドなり働き先で、
 身分証を作ってもらってくれ」

一エンダールが百円くらいだから……
一人三千円か。
結構するんだな。

ただまあ、ここは中世レベル。
安全と通行はタダじゃない。
郷に入っては郷に従え、だ。

こうして俺たちは―――
エンテの街へと足を踏み入れた。

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