【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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63・探し物はなんですか

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「ああ、やっと見つかったよ、まったく」

宿屋、そこの食堂で―――
初老の女性が備え付けのイスに腰かける。

「俺たちを探していたのか?」

「そりゃ何でまた―――」

戦士の男と女シーフの冒険者は、
意図がわからず聞き返す。

「お前さんたちが持ってきたポーションが
 あるだろう。

 アレを探している御仁ごじんがいるのさ」

「!」

「…………」

その言葉に若い男女は顔色を変えるが、

「お待ち。
 お前さんたちの事は何も言っていないよ。

 仕入れ先をバラすのは、この商売で
 一番の禁忌タブーだからね」

続けて出た彼女の話に、二人ともホッとした
表情になる。

「ただねえ。
 あのポーションについてなんだがね。

 ある病気の子がいてさ。
 薬も何も受け付けなかったみたいなんだが、
 そのポーションだけは飲む事が出来たって
 話らしいんだよ。

 しかも一時的にだが回復に向かったと」

「あれか」

「確かに即効性がありそうだったけど……
 治癒魔法ヒールとかは?」

クラークとミントは詳しい情報を得ようと、
会話を継続させる。

「お抱えの治癒師ヒーラーがいたらしいんだけど、
 王都に行っちまっているんだと。

 なんでも、国が勇者たちを召喚したんだが、
 その中に聖女様がいらっしゃってね。
 医学知識もかなりのもので、医者も治癒師も
 こぞって教えを請いに出かけているそうだ」

「そりゃ間が悪いな」

クラークはブロンドの短髪をかきあげ、

「けどよ、医者だって治癒師だって―――
 全員出払ったわけでもないだろうに」

ミントの問いに、雑貨屋の女主人はため息を
ついて、

「もちろんそいつらも呼んだって話だよ。

 だけどレベルが低い治癒魔法や、
 生半可なまはんかな薬じゃもうダメみたいでね。

 それで今、必死になってそのポーションの
 仕入れ元を探しているのさ」

そこで冒険者の二人はいったん顔を見合わせ、

「それで―――
 誰が探しているってんだ?」

「聞いた感じ、お偉いさんみてーだけど」

その問いに年配の女主人は二人と視線を交わし、

「この街を治める領主……
 ハーレイドッグ子爵ししゃく様さね」



「なるほど……
 お話はわかりました」

あの年配の女性が帰った後―――
クラークさん・ミントさんと改めて合流。
大まかな事情を説明してもらった。

あの人は、いわゆる非合法ルートの物も
扱ってくれる、雑貨屋の主人だという事。

以前彼女に売ったポーションが病気の子供に
必要という客が現れ……
その伝手としてクラークさんたちを探していた事。

ただ仕入れルートを明かすのはこの業界では
御法度ごはっとなので……
この事を一応、彼らに伝えるだけは伝えて
おこうとした事など。

「子供が絡んでいるとなると、ちょっと
 後味悪くなるね」

コマチさんが猫耳を伏せるようにして、
困惑した表情になり、

「緊急事態ではあるんですが……
 罠という可能性は?

 そのハーレイドッグ子爵という方の評判は
 どうなんでしょう」

俺の質問に、ローラさんがまず口を開く。

「悪徳領主とか、理不尽な事をするとか……
 そういった噂は聞きません」

次いで冒険者の若い男女が、

「まあ貴族様だし、俺たちのような平民が
 関わる機会もほとんど無いですし」

「依頼で会った事も無いから―――
 正直、わからないとしか」

肩をすくめて、お手上げのように語る。

「でも、お話が本当でしたら……」

赤毛を三つ編みにまとめた少女が、
心配そうに声を上げ、

「時間はあんまり残されてないよね」

コマチさんも、プリムちゃんに同調するように
言葉を継ぐ。

そしてふと、全員の視線が俺に注目していて……

確かに熱くらいなら、俺のダンジョンに連れて
来れば―――
たいていの事なら何とかなる気はするけど。

俺は深呼吸するように、大きく鼻で息をすると、

「クラークさん、ミントさん。

 今すぐハーレイドッグ子爵家に行って、
 確認して来てくれませんか?」

二人はコクリとうなずき、同意を伝えてくる。

「下のドラッグストアから栄養ドリンクを
 持って行ってください。

 もし子供の容態が本当に悪かったら、
 こちらで受け入れます。

 ただしその場合、病気の子供を除いて
 連れて来てもいい人数は3人のみ。
 両親と、護衛が1人つけば十分でしょう。

 そして『どのような条件でも飲む』という事を
 その子爵に確約させてください。
 子供が本気で心配なら、親としては何でも
 飲むはずです」

また、今日明日いっぱいこちらで待機し―――
もし二人が明日中に戻らなかった場合は、
パトラさんも呼んで救出に向かう事などを
取り決め、

彼らに子爵家へ向かってもらう事になった。

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