【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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78・その頃メルダは02

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「ぬうぅうう~……
 あのバカども、このアタシをこんな目に
 合わせおって……
 今に見ておれぇええ……!!」

魔王城―――
その玉座ではなく地下牢、その一角に、
魔王・メルダはいた。

正確には彼女はすでに魔王ではなく……

「メルダ様、お食事でございます」

そこへ執事風の老人がその牢屋へと近付き、

「おお、ホーンドか。
 すまぬな」

ゴシックロリータ風の黒いドレスに身を包み、
赤い長髪を持つ少女が鉄格子てつごうし越しに身を寄せる。

「おいたわしや、メルダ様……
 よもやこのような事になろうとは」

「あのバカどもめぇ~……
 ほんっとーに! 何も! わかって
 おらぬのだから……!!」

アタシは爪を噛みながらその時の事を思い出す。
話は、ホーンドがヒロトを見つけ―――
それをアタシに報告しに、魔王城に戻った時に
さかのぼる。



―――メルダ回想中―――



「何!? 本当か!?
 人間の街でヒロトを発見したと……!」

「はい。魔境の森に近い位置にある街ですが、
 そこの宿屋を拠点としていたようです。

 当初は魔境の森の中にダンジョンを作った
 ようですが、なぜか外を自由に移動出来るので、
 今は街で落ち着いているとの事」

その報告を聞いてアタシは喜んだ。
とにかく無事である事がわかったのと―――
人間側に捕まっているのではないとわかった
からだ。

「それにしても、そのカミュ王女とやら……
 なかなか間抜けよのう。
 外を自由に動き回るダンジョンマスターなど、
 拠点作りにどれだけ役立つ事か。

 しかしまあ、そういう事情であれば―――
 ヒロトがアタシに連絡しなかったワケも
 わかるな」

恐らくあちらに呼ばれた事で……
ダンジョンマスターとしての能力も、
何らかの制約がかかった事は想像出来る。

「よし、ヒロトを救出しに行くぞ!
 何ならアタシ自ら出迎えに行っても」

「残念だがその必要は無い」

突然声をかけられ、そちらに視線を向ける。
そこにいたのは、アタシと同じ赤髪の、そう―――

「兄上……!?

 どうしてここに来たのだ?
 アタシの前に出る事を許した覚えは無いぞ!」

アタシの前に現れたのは、同じ血を分けた兄。
エバンスその人。
しかし先代から王位継承権をはく奪され、
追放されていたはず。

「許してもらわなくても結構だ。

 なぜなら、今からこの俺が魔王となるの
 だからな」

「なんだと!?」

驚くアタシの玉座の間には、いつの間にか
多くの兄上の手の者と思われる魔族たちが
入り込んでいて、

「こ、これは……
 どういう事でしょうか、エバンス様」

ホーンドがアタシの心を代弁するかのように
問い質す。

「お前らの消極的な戦いに―――
 ガマンの限界って連中が多かったんだろうよ。

 『可能な限り戦闘を避けよ』とか、
 『勇者の能力を見極める事に専念せよ』とか……

 それで被害出ているんだぜ?
 付き合い切れるかってーの」

「ただ一度の戦闘で手の内を全てさらすわけには
 いかないのだ!
 それはあちらとて同じであろう!

 それに下手に被害を拡大させると、全面戦争に
 おちいる恐れが……!」

そんなアタシの言葉をさえぎるかのように、
剣先や槍の穂先ほさき、魔法攻撃の詠唱えいしょうが向けられる。

黙り込むアタシに兄上は近付き、

「ま、お前も牢屋で頭冷やして来い。

 出てくる時にはクレイオス王国を滅ぼすか、
 占領しておいてやるよ」



―――メルダ回想終了―――



こうしてアタシは捕らえられ……
地下牢に監禁された。

幸い、世話係にホーンドを充てられ―――
外部の情報はある程度入るけど。

「兄上たちは何もわかっていない!

 あちらは勇者召喚に成功しているのだ!
 もし今回の戦闘である程度の被害、もしくは
 死者を出せば……
 さらなる召喚に手を出すに違いない!

 だから適度に、今の戦力で十分だと相手に
 思わせておく必要があるのに」

「全員が全員、メルダ様のお考えを理解している
 わけではありませんからな……」

そう言うとホーンドは小声になって、

「(……それでメルダ様。

 門番や警備兵のスケジュールは手に入りました。
 協力者もいるので、いつでも実行出来ます)」

「(そうか。

 こうなっては仕方が無い。
 近いうちに決行しよう。

 ここを出て―――
 ひとまずヒロトのダンジョンに
 身を寄せるのだ)」

こうしてアタシは……
脱出の時を待つ事になった。

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