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81・営業開始
しおりを挟む「いらっしゃいませー!」
「2名様ですか?」
エンテの街のスラムに近い宿屋に来客があり―――
お手伝いと思しき子供たちが出迎える。
客の一人は十代後半の、もう一人は二十代半ばの
男二人組で、胸当てや肩掛けなど……
一般人とは異なる装いをしていた。
「ああ、えーと……」
「『エリックさんの紹介で』―――
冒険者だが。
俺はコール、コイツはアルだ」
そう言って二人は冒険者ギルドの登録証を
見せると、
「……わかりました!」
「2名様ご案内でーす!!」
そして冒険者たちは、『奥』へと案内された。
「こちら、『めだるコーナー』となります。
各魔導具で遊ぶには専用のメダルが必要です。
メダルは銀貨1枚で100枚貸し出されます。
増えたメダルはお預かりして、後日再び
使う事も出来ます。
また、メダルの枚数に応じて各商品と
引き換える事も可能です。
他にご質問はございますか?」
やってきた冒険者二人組に俺が説明するも、
周囲の光景や音に気を取られ、心ここに在らず、
といった感じだ。
「い、いや……」
「何なんだ、ここは」
まあ初見の人は驚くだろうな、と思う。
俺は続けて、
「一応、ここはダンジョンです。
ですが、殺傷するような罠やトラップ等は
ありませんのでご安心ください。
ここからさらに下の階層がございますが、
魔導具の操作にかなり腕が要求されますので、
まずはこのフロアで稼いだ方がよろしいかと。
いかがいたしますか?」
「じゃ、じゃあ……」
「銀貨1枚だけ」
そう言って二人は俺に銀貨を手渡し―――
カップに入ったメダル百枚と交換する。
そして同時に、フタの開いたビンに入った
清涼飲料水、総菜パン二つ……
そしておしぼりがそれぞれ二人に手渡され、
「え?」
「これ、頼んじゃいないけど」
冒険者二人が困惑した表情になるが、
「初回の方には軽食のサービスがあります。
また上の宿屋で、冒険者登録証を見せれば
格安で料理のサービスを受けられます。
機会があればどうぞご利用くださいませ。
また当ダンジョンでは暴力やトラブルは
厳禁です。
その場合、巡回している元騎士の方が
対応する事になりますので、ご注意を。
それでは楽しんでいってください」
ポカン、とする二人は、まずは手元の
軽食を何とかしようと……
近くの小さな丸テーブルに腰かけた。
「おい、アル。
そっちはどうだ?」
「ああ、どうやらコツがつかめてきた。
『めだる』を押し出す魔導具で、3倍くらいに
増えたけど。コールの方は?」
三時間後―――
彼らは自分たちの戦果を確認し合い、
「馬の競争順を当てる魔導具で、20倍を
当てたぜ!
『めだる』も、5倍くらいにはなったんじゃ
ねえかな」
違いに数個に増えたメダルカップを見せ、
「じゃあそろそろ……」
「おう、預けられるって言ってたし。
今日はこれくらいにすっか」
そして二人は、『めだる』を受け取った
カウンターへと向かった。
「えー、集計の結果……
コールさんは420枚、アルさんは276枚
ですね」
メダル集計機で計算された枚数を二人に告げ、
俺はあるメニューを取り出す。
「え? これは?」
「もしかして、これで何か交換して
もらえるのか!?」
二人はメニューと俺の顔を交互に見て驚く。
そこには、メダル枚数に応じ―――
休憩所にある施設の商品と引き換えに出来る
旨の事が、写真入りで提示されていた。
もちろん、包装紙やビン等の入れ物を、
こちらの世界の物に変えてではあるが……
ちなみに菓子パンは一つメダル十枚、
栄養ドリンクはポーションとしてメダル百枚。
スイーツやお酒など嗜好品は割高。
(ビールやワンカップ系はやや安めに
設定してある)
さらに千枚以上になるが、例の折りたためる鏡や、
魔導具として懐中電灯、火を点けるチャ〇カマンの
ような物も揃えていた。
「ううむ……
そ、そういえばここに入る時にもらった、
あの軽食は?」
「えーと、総菜パン2つと清涼飲料水ですので……
メダル40枚と交換になりますが」
総菜パンは菓子パンと同じだが、清涼飲料水は
ただの水ではないので、それなりにやや高め。
するとそれを聞いた二人は、
「あ! じゃあ3セットくれ!
夕食と明日の朝飯用―――
もう1セットは誰かに売れば、結構な
額になる!」
「じゃあ俺もそれで。
おーし、明日っから腰を据えて増やすぜ……!」
「あまり日持ちしないので、気を付けて
くださいね。
では、ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております」
こうして冒険者二人は、満足そうな顔で
帰っていった。
ちなみに、『冒険者』が『ダンジョン』に
滞在した事により、管理ptも増え、
時間としては短いが、コールさんは150pt、
アルさんは100ptを献上してくれたのだった。
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