【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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「さて、と……
 そろそろこちらも引き上げるか」

時計の針が午前零時近くを指し―――
俺は大きく伸びをする。

ダンジョンなので営業時間は二十四時間と
言っていいが、

『表』の宿屋の方はさすがに、どんなに遅くても
十一時くらいには閉じてしまうため……
それ以降はお客さんに帰ってもらっていた。

「あなた、そろそろ」

「ああ悪い、リナ」

薄黄色のセミロングの少女が俺を呼ぶ。

基本、俺は一番客である冒険者が多いであろう
この地下二階『メダルコーナー』を、営業中は
定位置としており―――
そこへ『妻』である彼女が呼びに来てくれた。

「子供たちは?」

「もうとっくにベッドの中です。
 そろそろ、トイレに起こす時間よ」

「そっか」

こうして、俺は動き続けるゲーム筐体きょうたいを残し、
『メダルコーナー』を後にした。



「あ、サリーさん」

「おお、ヒロト殿か。
 どうだ、連れて来た連中は役に立っているか?」

地下一階の休憩エリアまで戻ったところ、
元女性騎士の『冒険者』と出会った。

シルバーの長髪に目付きの鋭い顔……
軽鎧に身を包んだその姿は、アマンダさんより
騎士的だ。

彼女は、ハーレイドッグ子爵家が手配して
くれた―――

正確にはマリア様が、過去の伝手を使って
呼んでくれた元・女性騎士団の人である。

「はい。
 今のところ、どの階層でも何か揉め事が
 あったという話は聞きません」

エリックさんの紹介なので、そうそう
問題のある冒険者は来ないと思うけど。

「そりゃあ良かった。

 これでも元騎士団だからな。
 冒険者風情ふぜい相手に手こずるようだったら、
 鍛え直しているところだ」

やはり正規兵出身という事もあり、プライドも
それなりに高そうで―――

「しかし、ハーレイドッグ子爵夫人に
 警備の人員をお願いしたのは、つい最近
 だったのですが。

 それが5・6日もしない内に来て頂いて……
 無理をさせたのではないでしょうか」

「他ならぬお姉さま……コホン、
 元騎士団長の頼みだったからねぇ。

 地の果てにいようが、そりゃ飛んでくるさ」

何か微妙な関係を聞いてしまった気がするが、
あえて聞かなかった事にする。

「それにマリア様のご子息、ロイ様の
 命の恩人とあっちゃあ断れないよ。

 事情は聞いたし、ダンジョンって事も
 教えてもらっていた。
 で、どんな無理難題でも従うつもりで
 来たんだが―――」

そう言うと彼女は周囲を見渡し、

「それが何だいここは!?
 部屋は個室で極上のベッドにお風呂付き!

 しかも大浴場までありいつでも入れる!
 メシも酒もチョー美味い!
 何よりあのスイーツの味と言ったら……!

 むしろ自分たちが金払う側じゃないかと
 思っちまうよ」

サリーさんを含め五人、元女性騎士団の人が
派遣されて来たので―――
俺は休憩エリアを拡張、彼女たちの宿泊する
スペースを用意したのだ。

おかげでパトラ・コマチを含めて七人で
ローテーションを組み、一フロアに一人、
誰かを常時入らせて見回る事が出来るように
なった。

「ありがとうございます。
 こちらが無理を言って来て頂いているので……

 あと見回るだけじゃなく、各層の魔道具を
 操作して頂いても構いません。
 ゆっくり慣れていってください」

「マリア様もアマンダさんも、このダンジョンで
 楽しんで行かれましたが、何分にもゆっくり
 出来ませんでしたので。

 サリーさんたちがある程度経験して、今度
 ハーレイドッグ子爵家の方々がいらっしゃった
 時にご案内して差し上げては」

俺とリナ、夫婦の勧めに彼女はウインクして、

「そーだな。
 時間を見つけてやらせてもらうよ」

こうして元・女性騎士団の方々を入れて―――
ゲーセンダンジョンは本格的に稼働し始めた。

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