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104・『地下六階』
しおりを挟む「捕縛した人って、どんな事をしてたんだ?」
長い廊下を歩きながら、俺は同行者に問いかける。
「何かまだ日の浅そうな新人冒険者を脅して
いてねー。
ワタクシがちょーっとお話しを聞いたところ、
連れて来た方がいいと判断しました♪」
黒髪黒目の猫耳メイドは、明るく笑いながら話す。
「やれやれ……
しかし、思ったより早く使う事になったな、
ここ」
俺とコマチが歩いている階は『地下六階』。
新しく作った階層だ。
これまでは地下五階までだったのだが、
――――――――――――――――――――――
ダンジョン管理者:ヒロト
レベル:22
称号:『異世界からの来訪者』『召喚されし者』
『弱き者の庇護者』『帝国を目指す者』
スキル『再現/16』『勇者/15』
ダンジョン:【エンテの街地下】
・地下一階『キャッチャー系』
・地下二階『メダルコーナー』
・地下三階『体感スポーツ系』
・地下四階『体感レーシング・シューティング系』
・地下五階『各ビデオゲームフロア』
・地下六階『多目的フロア』←NEW!
維持管理pt:1日/350
眷属pt:35名
(眷属1人当たり1日35pt×68
=2380pt加算)
ダンジョン訪問冒険者カウント:104
現在管理pt:64,700
――――――――――――――――――――――
不審者や捕まえた人を収容する部屋も必要だと
思ったので、暫定的に『多目的フロア』を新設。
管理ptはそれなりに使ったものの、
何せ地球以来の黒字を計上しているので、
それなりに余裕はあり……
また、あるテストも兼ねて試験的に作成したのだ。
「眷属も、ロン様を新たに加えたし……
この前来た元女性騎士団の人、ガド子爵家の
使用人たち―――
それにジル夫妻に治癒師のミュランさんで、
倍以上になったからなあ。
4店舗目も考えていいかも」
「それはそうと、魔境の森ダンジョンがほぼ
放置気味ですが……
あそこ、コアルームがあるんですよね?
一応維持する人とか入れた方がよくない
ですか?」
コアルームにあるコアが破壊されたら、
俺は死ぬという事らしいが―――
その前に突破不可能なエリアを設置して
あるのだ。
だけどコマチの言う通り、無人というのは
精神衛生上よろしくないかもしれない。
「そうだね。
考えてみれば、パトラとコマチ以外の
魔物も生成していないし……
あそこなら人型である必要も無い。
何体か作って送り込もうか」
「そんな事をしなくても、あそこで
泊れると言えば、希望者が殺到すると
思いますよ?
ボタンを押せば勝手に出て来る食事、
他にも『こんびに』や『どらっぐすとあ』に
行けば選り取り見取りですし―――
極上のベッドに大きなお風呂、
異世界のトイレ……
あ~もうマスター!
絶対死なないでくださいよ!
もうワタクシ、このダンジョン無しじゃ
生きられない体になっているんですから!」
何で途中から俺怒られているんだろうか。
まあ居住性や快適さを追求したのは、ダンジョンに
あるまじき事だと思うけど。
でも魔王にお任せって言われたしなあ……
そんな事を考えながら歩いていると、
突き当たりの部屋へとたどり着いた。
「えーと……
当ダンジョンの居心地はいかがでしょうか?」
顔に傷のある、いかにもな裏社会の人間といった
風貌の男を前に、軽く片手を振る。
「料理は美味いし、こんなベッドで
寝た事なんてねぇ。
風呂もついていていつでも入れる。
殺す前の慈悲にしちゃ、やり過ぎじゃねぇか?」
牢屋を作るのも面倒くさいので、ホテルの一室を
用意しただけなのだが―――
文字通り別世界の環境だろう。
「う~ん……
ウチのダンジョン、非殺傷なのがウリなので」
「意味わかんねぇ……」
頭を抱える男を前に、コマチがずい、と
近付くと、
「手荒な真似はよしてくれ。
あんたの実力はもう十分わかってっからよ」
「ん、いいコですねー。
じゃ、ちょっと付き合ってもらいまーす」
そして男を連れ出すと―――
同じ六階にある、別の部屋へと向かった。
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