【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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112・おんなのたたかい(前哨戦)

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ぬしよ、本当に主を召喚した呼んだ
 魔王が来たのか?」

「間違いない。
 ホーンドさんもいたし、他にも結構人がいたのが
 気になるけど……」

魔狐マジカルフォックス―――
魔物ほんらいの姿になったパトラの背に乗って、
俺は魔境の森のダンジョンへの地下道を急ぐ。

「まあそれなら、あいさつくらいはしないと
 いけないかな?」

「そうですね。
 ヒロトお兄ちゃんをこちらの世界に呼んだ
 人なら、無関係では無いですし」

そんな俺に平行するように……
銀猫シルバーキャット、コマチの背に乗って
リナも同行していた。

当初は俺とパトラだけで行こうとしていたのだが、
リナが監視カメラを見て、

『魔王って誰? 女性?
 この人? この人なの?

 じゃあ、あたしも行きます!』

何が『じゃあ』なのかはわからないが―――
そこで彼女も半ば無理やりついてくる事に
なった。



「メルダ!
 それにホーンドさん」

俺たちが魔境の森のダンジョンに到着すると、
ロビーでくつろいでいた一行と対面。

すでにコンビニや軽食の自販機から手に入れたで
あろう、パンや麺類の空き袋や容器があった。

一行は俺の声に気付き―――
その中でロングの赤髪の、猛禽類もうきんるいのような
瞳をした少女が立ち上がり……

「ヒロト~!!
 会いたかったぞ~!!」

と、俺にダッシュで駆け寄る。
しかし今の自分の体格で、女子高生くらいの
彼女が突っ込んでくるのはやや怖い。

受け止めるか避けるか迷っていると、
リナが俺の前に立ちはだかり、

それを見たメルダも、彼女の前で急ブレーキを
踏んだかのように止まった。

「何だ、お前は?
 おいヒロト、この小娘は何じゃ?」

当然の質問をしてくる魔王メルダ。
どう説明したものか迷っていると、リナが
その薄黄色のセミロングの髪を見せびらかす
ようになびかせ、

「ヒロトの妻、リナです」

その答えに―――
メルダはおろか、あちらの一行も動画の
一時停止ボタンを押したかのように動きを止め、

その一瞬後から、理解した順に驚きの表情を
見せた。

「何だとーーー!?

 お、おいホーンド!
 どういう事だ!?」

魔王がそのまま、執事風の老人の胸元を
つかんで締め上げる。

「わわ、わかりません!
 そもそもわたくしがお会いした時、彼女の姿は
 ありませんでしたので……!」

そういやそうだったっけ。
あの時、リナは留守番させていたし。
(■56話 魔族との出会い(2回目)参照)

「とにかく落ち着け、メルダ。

 それにお前、魔王だろ。
 どうしてこんなところに?」

「む、むう……」

俺はホーンドさんを何とか解放させ、改めて
彼女に事情を聞く事にした。



「クーデター!?」

「そ、そうなのだ。
 今アタシの魔族領は、バカ兄……
 エバンス兄上に乗っ取られた」

こちらのダンジョンにも『会議室』を
カスタマイズ・増設し、まずはそこに集まって
情報を共有する。

「エバンス様はかなり好戦的な性格のお方ゆえ、
 先代が後継者候補から外していたのです」

「大丈夫なのかソレ。

 そいつが今、魔族領のトップって事は―――
 人間側の国と全面的な戦争もあり得るって
 事じゃないか」

ホーンドさんの言葉に俺は思わず聞き返すが、

「さすがにそこまでバカじゃないと思いたい。
 戦争ともなれば、準備だって相当なもの。
 そればかりは兄上1人でどうなるものでも
 無いし。

 ただクレイオス王国が勇者召喚に成功してからと
 いうもの、あっちの方が好戦的なのだ。

 最近は大人しいが、また攻められたら兄上は
 喜んで反撃に出て……
 全面戦争の糸口にするであろうな」

そういえば勇者たちはすでに参戦したって、
ミュランさんからの話でもあった。

「戦争そのものは、短期間で終わったと
 聞いているけど」

「恐らくは戦力としての勇者の試験運用―――
 そして敵味方へ周知させる事が目的であろう。

 一度の戦いに全てを賭けるほど、向こうも
 バカではあるまいよ。

 現に前線におった勇者3人、そこそこ戦ったら
 即座に撤退したと聞いておる」

そこで俺は首を傾げる。

「勇者が3人?

 俺が聞いた話だと、男の勇者3名、
 女性の勇者も3名―――
 合計6人が戦場に出たという事だけど」

「いや?
 目撃された勇者は男だけで、3人だと
 聞いておるぞ?

 まあ女性勇者の方は、後方支援でも
 担当していたのかも知れんが」

確かに、女性勇者の一人ユウコ・タケダは
『聖女』だという事だし……
さすがに全員が戦闘向けでは無いか。

俺が一人考えていると、メルダがいつの間にか
座っている席の近くまで来て、

「それでヒロトよ。

 何で結婚しておるのだ?
 誰に断って身を固めておる?

 何のためのアタシが自分の好み全反映で
 再構築したと思って……!」

「これお前の趣味かよ!
 ていうか俺だって大変だったんだからな!」

「第一、あなたがちゃんとしていないから、
 お兄ちゃん、殺されかけたんですからね!?」

俺を中心として、反対側に座っていた嫁が
魔王に反論する。

「でもアタシが先に声かけたわけでぇ~……
 この姿だってアタシがいなければ……

 それにリナとやら。
 妻と言っているが、ちゃんとその務めは
 果たしておるのか?

 口だけではダメなのだぞ?
 特に夜とか、あと夜とか、それに夜とか」

「ちゃんと舌も指も手も使っていますよ!
 ね、お兄ちゃん?」

やめてリナさん。
ギャラリーのいる前で同意を求めないで。

「ほぉ、それはそれは」

「なかなか高度なご奉仕させてますね、マスター」

パトラとコマチがニヤニヤしながらこっちを
見つめ、魔王の一行も困惑しつつも生暖かい目を
向けてくる。

どうするんだこの空気と思っていると、さらに
妻がメルダに向かって爆弾投下。

「だいたい、男も知らないような顔して……
 (女の勘)」

「し、ししし知っておるわい!!
 我魔王ぞ!? トップぞ!?
 男なんてもうとっかえひっかえだし!?
 年齢層も幅広くバッチ来いだしぃ!?」

誰の得にもならない見栄を張って
どうするんだ魔王。
そしてその反応はもう半分認めちゃっているから。

その混乱はしばらく続き……
結局、小一時間ほど経ってから収束した。

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