【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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117・ズコウファミリーVSダンジョン04

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「カーッ!!
 アンタ、勇者様かよ!

 まいったねぇ、こりゃ」

改めて眷属になる事を承諾した、裏社会の
ボスが、俺の事情を説明され……
天井を見上げるほどのけぞる。

「ええまあ、最初は魔王に呼ばれたんですが、
 一応、クレイオス王国に召喚された勇者の
 1人です。

 もっとも先ほどお話しした通り、
 即座に追放と―――
 『処分』されそうになりましたけど」

それを聞いて、バームードさんとグレッグさん、
そして最後の勝負から戻って来たエレンさんも
苦々しい表情になる。

「いくら予想外、つってもなあ」

「ずいぶんと身勝手な理由ですねえ……」

男性陣はいくらか落ち着いて聞いているが、

「スジが通らねぇだろうが!

 オヤジィ、黙ってられるのかいこんな事」

赤茶のツインテールを揺らし、組織の中では
唯一の女性代表者の少女がボスに振り返る。

「ンな事言われてもよぉ。

 それでヒロトさん。
 アンタ、俺たちに何をさせたいんだ?」

スキンヘッドの頭に手をやりながら、
ズコウさんが聞いてくる。
まだこちらが勝った場合の話を
していなかったし―――
ここでようやくその話を切り出す事にする。

リナとグレン、プリム、そしてサリーさんが
交渉をただ黙って見守り……
組織のトップは両腕を組んで考え込んでいたが、

「眷属になってもらったのは、秘密保持の
 ためです。

 クレイオス王国は―――
 俺が生きている事を知ったら、間違いなく
 追手を差し向けるでしょう。

 よくて生け捕り、悪ければ予定通り
 息の根を止めにくる。

 それを回避するためにも、眷属になってもらう
 必要がありました」

頬に傷のある男と、一見お堅い職業をしてそうな
眼鏡の男性がうなずき、

「その上で俺が求めているのは―――
 今後、あなた方のような人種が来た時に、
 そちらで対応して欲しいんです」

「そりゃあまあ、俺のシマに来ればこちらで
 対応するけどよ。
 そんなんでいいのか?」

拍子抜けするような要求だったのか、彼は
意外そうに返す。

「実際、俺やこのダンジョンにはお金は
 必要ありません。
 眷属や滞在してくれる人間がいれば、
 それが利益になる仕組みです。

 ですので、先ほどの―――
 他の裏社会の勢力からダンジョンを守る事、
 秘密を守るという事、冒険者や他の眷属と
 トラブルを起こさない事……

 これらを守って頂ければ」

そこで俺はいったん一息つき、

「まあ後は……
 女子供に手を出さないとか、奴隷絡みの件には
 触れないとか」

ローラさん・プリムちゃん母娘の件があるので、
そこは一応釘を刺しておく。

するとバームードさんとグレッグさんが
微妙な表情となって、

「その件についてはちっと謝らせてくれ」

「末端が引き受けたようなんですけどね。
 その奴隷商、すでに借金が返済されていた事を
 隠して依頼してきたようなんです」

その答えに、俺はリナと顔を見合わせる。

「借金の取り立てや、そのカタに……
 ってのはそりゃやるけどさ。

 そもそもウチは、カタギに手ぇ出すのは
 御法度ごはっとなんだよ」

エレンさんが両腕を組んで苦々しく語る。

俺の境遇について、やけに正義感が強いと
いうか、曲がった事を許さない口調だったから
戸惑っていたが―――
そういう事だったのか。

奴隷制は合法だし、借金で身売りなんて
形を変えて俺の世界にも残っている。

冒険者に対する因縁付けも、自分の縄張りシマ
勝手に商売されている事に対してだし、
そもそも冒険者をカタギと呼べるかって
なるとなあ。

「どちらにしろ、それは俺の監督不行き届きだ。
 まあその件についちゃ、後々詫びを入れる
 つもりだった」

「それで、俺との協力については……」

俺が話を元に戻すと、ズコウさんは
そのスキンヘッドの頭をペシペシと叩いて、

「正直言って俺も、国のやり方は気に食わねぇ。

 正義の味方を気取るつもりは毛頭ねぇが、
 スジは通さねぇとなあ」

事も無げに答えるが、そこで元女性騎士団の
一人が、

「そう簡単に言うがな。
 これからの動き次第では、国を敵に回す事に
 なるのかも知れんのだぞ?

 下手をすれば魔族とも敵対するかも」

事実、俺の立場はかなり微妙だからな。
どちらの味方もしないつもりだが、それは同時に
双方の敵にもなり得るという事だ。

するとバームードさんとグレッグさんが、

「へぇー、魔族ともねぇ」

「それはますます、面白い事になりそうです」

それがどうした? と言わんばかりに
二人は不敵に笑う。

そしてエレンさんがリナに拳を突き出して、

「ま、アタイとしちゃ……
 そこのお嬢さんに勝ち逃げされたまま、
 ってのもね。

 負けず嫌いだからさ」

「あはは……
 再戦なら、いつでも受けて立ちます」

それを聞いたグレンがバームードさんに向かい、

「つ、次は勝ちますよっ」

「おう、俺だって負けてやるつもりはない」

次いでプリムとグレッグさんが―――

「今度やる時はわたし、もう付き合いません!
 最初から全力でわたしのやり方で戦います!」

「それは怖いですねえ。
 わたくしも、戦術を考える事にしましょうか」

お互い、ライバル同士と認め合った会話。
最後に俺がズコウさんに近付き、

「えーと、では……
 俺はダンジョンを『作れる』んです。

 取り敢えず、そちらの本拠地の地下に
 作っても構いませんか?」

「……あ?」

俺の言葉に、何を言っているのかわからない、
という表情にボスはなったが、

「ひとまず地下二階の、『メダルコーナー』と
 同じ物を作りましょう。
 同じ階に宿泊部屋を複数、大部屋も。

 大浴場や飲食の自販機も付けておきますか」

「い、いや待て。
 あのギャンブルに使えそうな魔道具を
 その階ごと!?

 つまり、俺にその商売を任せると?」

ズコウさんが聞き返し、俺は答える。

「正式に俺の眷属になったんでしょう?
 だったら、それなりに報いますよ。

 あ、ちなみに自販機の商品は、消費しても
 1日経てば勝手に補充されますので。

 説明したと思いますが、俺やダンジョンには
 お金は必要ありません。
 それで儲けるのであればご自由に」

理解するのに時間がかかったのか、しばらく
彼は茫然ぼうぜんとしていたが……
やがてそれに疲れたかのように、ソファに
座り直した。

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