【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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121・新妻の扱い

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「さてと……」

ズコウファミリーとの賭け試合(イカサマ)を
制し、一段落した後―――
俺はリナと一緒に管理者部屋へと向かった。

「おおヒロト!
 待ちかねたぞ!」

そこには肉食獣のような目をした少女、
魔王・メルダがおり、

「どうですか、ここでの生活は」

「いやー言う事なしだ!

 それに、もう例の厄介ごとも片付けたので
 あろう?
 さすがはアタシの旦那様だ!」

リナの問いに、彼女は元気よく答える。

実はズコウファミリーと一戦する前に、メルダは
こちらのダンジョン:【エンテの街地下】まで
同行させていたのだが、

取り敢えず状況が落ち着くまで管理者部屋で
待機させ……
顔は出さないようにさせていた。

今はその座から降ろされたとはいえ、
さすがに魔王だ。
騎士団やハーレイドッグ子爵家の人も混乱
するかも知れないし……

一応、俺を呼んだ魔王と接触した事は各自に
伝えてはいたが、その紹介の機会をいつに
するかで悩んでいた。

「でもあなた、いつくらいにご紹介します?」

人間の方の妻が、薄黄色のセミロングの髪を
いじりながら聞いてくる。

「出来れば直接会った方がいいと思うけど、
 子爵様も多忙だろうしなあ。

 それにちょうど人手が出来たし―――
 魔境の森のダンジョンの守りも強化したいと
 思っていたところだ」

「と言うと、アタシたちが最初に入った
 あのダンジョンだな?

 いよいよ手を付けるつもりになったか」

そこで俺とリナ、魔王・メルダは―――
魔境の森ダンジョンの強化策について
話し合う事になった。



「そういえば今のヒロトの配下は……
 魔狐マジカルフォックス銀猫シルバーキャット―――
 この2人だけだったのう」

「ああ。
 一応、他に人間の眷属がいるけど……
 これじゃ少ないんだよな?」

するとメルダはロングの赤髪と一緒に、
首をブンブンと上下に振る。

このダンジョンに連れて来た時、今の状況や
戦力について彼女に聞かれたのだが、

『ハッキリ言って異常』とピシャリと
断定されてしまった。

そもそも、当初の戦力としては管理ptポイント
百から二百くらいの魔物を三・四十ほど生産し、
それとトラップを絡ませて防衛にあたらせるのが
セオリーらしい。

それがたった二体、しかも五千ptも消費して
生産した事で、かなり呆れられてしまった。

さらに彼女たちの仕事は、子供たちの護衛&
お世話だからなあ。

「こちらはともかく、本拠地はあちらであろう?

 まあ、『永久るぅぷ』のトラップは誰にも
 破られないであろうが―――

 それでも無人状態でコアを放置していたと
 思うと、ゾッとするわい」

これも彼女から聞いたのだが……
当初は管理者権限で、ダンジョンに入る人員を
制限出来ていたが、

これはいわゆる『初回特典』というべきもので、
一ヶ月も過ぎると出入りは無制限になってしまう
らしい。

まあ考えてもみれば当然か。
人間を誘い込んで管理ptを獲得していくのが
ダンジョンの基本なのに―――
出入りを制限する事自体コンセプトから外れて
いるのだろう。

「まあ、元女性騎士団か?
 人員を増やしたからよかったようなものの、
 本当に危険だったのだからな?」

「だからこれから生成するって」

そして、戦力増強として魔物生成を行う
事となり、俺がステータス画面を開こうと
した時、

「ここではやめい。
 あちらのダンジョンに行かせるのであろう?」

「そうですよ。
 それと、向こうにはホーンドさんたちが
 いるんですよね?

 だったら、ある程度外見は大人しめにした
 方がいいんじゃないですか?」

と、妻二人につっこまれ……
そこで俺たちは生成する種類を話し合った後、
ダンジョン同士をつなぐ地下通路へと移動する
事にした。



「よし、ここらでいいか。
 じゃあ、魔物生成を行う」

あれから管理者部屋で話し合った結果―――
取り敢えず獣人ビーストを十体、それに
狼を二十体ほど生成する事になった。

場所は、通路途中に設置された休憩エリア。

以前、子供たちをエンテの街地下に移す際、
長距離移動でもあったので、途中トイレに
行きたいと言う子供たちの事を考え、
だいたい五百メートルにつき一つの割合で
作られている。

これは、【ハーレイドッグ子爵家地下】や、
【ズコウファミリー本拠地地下】との
連絡通路も同様だ。

「さてと……」

俺はステータス画面を開き、生成していく。

獣人は一体千ptほどのコスト。
男五名、女五名の十人。
体格は人間より少し大きい程度で、顔以外の
体毛が濃い事を除けば……
人間とさほど変わりはない外見。

狼タイプは魔物化したパトラやコマチより、
若干下回る程度の大きさで―――
風狼ウィンド・ウルフと表示されている。

いわゆる大型犬より一回り大きい感じ。
こっちは一体五百ptの消費だ。

「マスター。ご命令を」

「ガルルルゥ……!」

さっそく仕事に取りかかろうとする魔物たち。
そこで俺は休憩エリアに設置した各種自販機から、
飲食物を出してまず彼らをもてなす。

獣人はそのままで、風狼は取り皿や適当な容器に
入れて差し出し、

「ああ、まずは食べながら話をしよう」

みんな一様に動揺しているが俺は構わず、

「俺はジンム・ヒロト。
 今のところ4つのダンジョンの管理者だ。

 ここにいる2人は俺の妻で―――」

「リナです」

「メルダだ。よろしくな」

彼女たちがぺこりと一礼すると、俺は片手の
手の平を上にして魔物たちに向ける。

「とにかく食べてみてくれ」

そして恐る恐る彼らは飲食物に口を付けると、

「……!
 な、何ですかコレは!?」

「う、うまい……!
 あたい、こんなの食べた事無いよ!」

「ガルルッ、ガルルルッ♪」

総菜パンや菓子パンにかぶりつく魔物たち。
俺はそのまま続けて、

「食べながらでいいから聞いて欲しい。

 君たちにやって欲しいのは今のところ、
 本拠地のダンジョンの防衛と管理、
 そして眷属の護衛だ。

 俺のダンジョンは基本的に戦闘はしない、
 非殺傷タイプになっている。
 なるべく相手を殺したり傷つけたりしない
 方向で動いて欲しい」

すると獣人も風狼も、きょとんと首を傾げる。
まあそうなるか。

だがこれは慣れてもらうしかないだろう。

「あー……メルダ。
 頼まれてくれるか?

 彼らを魔境の森のダンジョンまで連れて行って、
 いろいろ教えてやって欲しい。
 各施設の使い方はもうわかるだろ?」

「それはわかるが―――
 アタシが行くのか?

 せっかくこっちに来たばかりだというのに」

ジュースを飲みながら不満そうに彼女は返すが、
もう一人の妻が、

「嫌ならあたしが行きますよ?

 それに本拠地でしょう?
 お兄ちゃんの命とも言えるコアが
 設置されている場所……

 やっぱりそこは、一番信頼されている
 人が行くべきで―――」

「それならアタシが行くわい!」

と、メルダは案内と説明を引き受けてくれた。

「まあ食べ終わってからでいいから。

 君たちはひとまず妻の指示に従ってくれ。
 まずは、俺のダンジョンがどういうものか
 経験して覚えて欲しい」

こうして魔王は俺が生成した魔物たちを引き連れ、
魔境の森の方へ―――
そして俺たちはエンテの街地下へと戻る事に
なった。

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