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127・後始末
しおりを挟む「お疲れ様でした、ズコウさん」
俺はダンジョン:【エンテの街地下】の俺用の
管理者部屋で―――
【ズコウファミリー本拠地地下】の管理者部屋と
繋げていた。
『ウチの名を騙る連中を報告してくれて、
こっちこそ礼を言いたいくらいだ。
さっそくお役に立てたようで何よりだぜ』
モニターの向こう側で、スキンヘッドに黒ヒゲの
裏社会のボスが不敵に笑う。
「それで、引き渡した連中は」
『……聞きたいか?』
俺は首を左右にブンブンと振る。
隣りにはリナもいるので、あまり教育上
聞かせたくない話は困る。
『別に殺したりはしねえよ。
そんな事しても1エンダールにもなりゃ
しねぇしな。
ただ、ちょーっとワリのいいところで
働いてもらうだけだ』
「とにかく、今回の件は助かりました。
何かお礼をしたいのですが、ご希望とか
ありますか?
また時代劇のDVDでも」
俺がそう言うと、ズコウさんは両腕を組んで、
『それもいいがなあ。
そういやちょうど奥さんもそこにいるよな?
ちと相談に乗ってもらいてぇんだが』
「??
あたしに、ですか?」
予想外の申し出に俺もリナも戸惑うが、
『いや、女の意見を聞きたいってだけだ。
ウチにも夜の商売をしている女どもが
いるんだけどよ。
あのダンジョンの甘いパンとか、
すごく気に入ってなあ。
もし報酬をくれるってんなら、その女どもが
喜ぶようなモンが欲しくてよ。
出来りゃ、大浴場にも入れてやりてぇし』
酒・女・ギャンブルは裏社会の定番。
当然、そっち系の商売に従事する女性もいるの
だろう。
そして【ズコウファミリー本拠地地下】の
菓子パンを食べてみて……
非常に好評だったようだ。
しかし困ったな。
あちらのダンジョンは、こちらとは
差別化を図っていて、
管理者部屋の他に、『メダルコーナー』と
『大浴場』、『VIPルーム』―――
そして各種自販機を設けている。
菓子パンの自販機はわかるし、大浴場にも
入れてやりたいだろうが……
『コンビニ』や『ドラッグストア』の商品が
ウチの冒険者の目玉だから、そうおいそれと
あちらに追加してやる事は出来ない。
どうしたものかと悩んでいると、
「その女性の方々に、専用の大浴場を用意すると
共に、宿泊部屋を用意してあげるのはどうで
しょうか。
すでにそちらにはお風呂も宿泊部屋も
ありますよね?
それを増やす形で、女性に提供するんです。
個室にお風呂もついていますから、
休む場所としては十分かと」
俺の腕に両腕を絡めたまま、リナが提案する。
『そりゃいいな。
今のところ幹部や来客用に使っているが、
それが自由に使えるとなりゃ、女どもも
喜ぶだろう』
「わかりました。
その女性の方々に、眷属になってもらう
必要はありますけど。
では、明日にでもカスタマイズに
向かいますので」
『おう、眷属についちゃ問題は無いと思うぜ。
じゃ、待っているからよ』
そこでモニターを停止させると、
俺はリナに向かい、
「ありがとう、リナ。
個室を提供するとは気付かなかったよ」
「ここの元女性騎士団の方々にも、
好評ですからね。
それに確か、複製だとそんなに管理pt
使わないんでしょ?」
そこまで計算に入れていたのかと、彼女を
頼もしく感じる。
「そういや、アイスの自販機とかもあったな。
種類は少ないから、冒険者の商売とも
被らないだろうし―――」
「ダメです、お兄ちゃん」
と、俺の意見を嫁が強い口調で否定する。
「な、何でだ?」
「それは次回、何か報酬をあげる時でいいと
思います。
個人にあげられるものならともかく……
魔道具や施設系は一度渡したら、もう
戻せませんし―――
そうなると後々、報酬で苦労すると
思いますよ?」
リナにたしなめられ、俺は反省する。
先の先まで読んでいるなあ……
俺は妻を抱き寄せると、その薄黄色の髪の頭を
撫でながら、
「すまない、リナ。
俺、そこまで気が回らなかったよ。
ご褒美をあげないとな。
何がいい? 何でもいいぞ」
「何でも?」
そこで妻は肉食獣のような目になる。
「う、うん」
「じゃあ、今度の『ぷれい』―――
全部あたしの言う事を聞いて欲しいの
ですよ!」
それから俺は、衣装からシチュエーションに
至るまで……
長々とレクチャーを受ける事になった。
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