【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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131・忍び寄る手

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「え? 王国から依頼が?」

『そうなんだ。
 それで、この事を早く伝えなければと思って、
 緊急回線とやらを使わせてもらった』

俺はダンジョン:【エンテの街地下】で、
【ハーレイドッグ子爵家地下】にいる
ガド子爵から連絡を受けていた。

「依頼って何ですか、子爵様」

俺の隣りにいるリナが先を促してくる。

しかし、いくら何でも今さら俺を捜索している、
なんて事は無いと思うんだけど。

『魔境の森から……
 とは言わなかったが、最近エンテの街に来た
 子供はいないか、というものだった』

フラグ回収早過ぎるだろ自分。
いや待て、まだ俺を探していると決まった
わけでは。

『それで、その子供の特徴なんだが……
 黒髪黒目の子供という事という事だった。

 しかしヒロト殿を始め、そんな子供は
 いないし―――
 だが関係があるかも知れないと思い、
 一応連絡する事にしたんだ』

うん、確定ですねコレは。
俺はやや疲れたようにため息を吐き出して、

「今回、クレイオス王国が召喚した勇者たちは
 日本人で、全員黒髪黒目なんです。

 俺も日本人なんですが、魔王・メルダが
 転生させたのと、ダンジョン管理者として
 召喚したので―――
 現状、このような外見になったのかと」

モニターの向こうでガド子爵様がふむふむと
うなずいて、

『ではやはり、ヒロト殿を探しているという事で
 確定か。

 しかしなぜ今頃……
 勇者たちがそれなりの評価を得たからか?』

始末しようとしたけど、やはり役に立つかも
知れないから、戻って来い―――
が、一番あり得そうなパターンか。

もしくは勇者たちが思ったよりも強力な戦力だと
わかったので……
万が一生存していたら報復される―――
それを恐れての事か。

「それでガド子爵様はどう対応を」

『ロイの遊び相手に、何人か子供たちを
 従者・メイド見習いとして雇ったが、
 そもそも黒髪黒目の子供など見た事が無い、
 と報告しておいたよ』

身も蓋も無いが、事実そうだからなあ。

「そうですね。
 今のところはそれで大丈夫かと。

 子供たちや子爵家にそれで危害が及ぶとは
 思いませんが、万が一の時は地下を通じて
 こちら、そして【魔境の森】まで避難を」

『わかった。
 それと、王国も調査のため人員を派遣して
 いるかも知れない。

 念のため、外での行動は控えた方が
 いいと思う』

「ありがとうございます。
 それでは―――」

そこでいったん回線を切って、妻と向き合う。

「でもどうしたものかな。

 勇者絡みだとしたら、やはり合流するなり
 連絡するなりして、事情を伝えた方が
 いいかも。

 でもそうなると救出とセットだしなあ」

どちらにしろ、元の世界に送り返したはずの
俺が生きていてこの世界にいる、というのは
王国に取って不都合な事実のはずだ。

それを彼らが知ったとしたら、王国が
何もせずにいる可能性は極めて低い。

「お兄ちゃんとしても、同郷の人に被害が
 およぶのは避けたいんでしょう?

 やっぱり、助けに向かった方がいいと
 思います」

「そうなんだよなあ。
 メルダと同じように、うまくこちらへ
 向かってくれるよう誘導するか、

 それともパトラ・コマチを中心として
 強行突破するか―――」

俺がうなっているとリナはモニターを
指差して、

「当人に聞いてみたらどう?
 王都・ネーヴェから魔境の森を通って、
 ダンジョンまでたどり着いたんだし、
 逃走についても何か有効な方法を知って
 いるかも」

「そうだな。
 ちょっと聞いてみるか」

そこで俺は今度は、本拠地であるダンジョン:
【魔境の森】へ回線を繋げた。



『無理であろう。
 勇者たちは黒髪黒目―――

 絶対にいないというというわけではないが、
 こちらの世界じゃ目立つなんてものではない。

 アタシたちですら、ここに来るまで
 どれだけ苦労した事か』

メルダはすぐに対応・相談に乗ってくれたが、
否定的な感じだ。

「う~ん。やっぱり難しいかな」

『まず王宮から連れ出すだけでも難しいで
 あろうな。

 追手のいないアタシたちでも、人目を
 避けるのは大変だった。
 それが勇者たちが逃げたとあっては、1日で
 追いつかれるわい』

猛禽類《もうきんるい》のような目をした、
赤の長髪の少女がやや呆れながら語る。

「何か手段は無いんでしょうか?」

リナがモニターの向こうのもう一人の妻に
掛け合う。

『無いわけでもないぞ。

 というよりリナよ。
 アタシより先にヒロトの事を知って
 おきながら―――
 気付かぬのか?』

「?? と言いますと?」

俺を横目に、妻二人がモニター越しに
話し合う。

『ヒロトはダンジョン管理者であろう。

 それに、各ダンジョンの行き来も、
 今は地下の連絡通路を使用している
 はずだが』

「あ……!」

何かに気付いたように、薄黄色の髪の
少女が口に手を当てる。

『わかったか。

 王都まで行って何らかの建物を買い取り、
 そこの地下にダンジョンを作るのだ。

 人の住む場所にもダンジョンが作成可能
 なのは、すでに実証しているしのう』

ここでようやく俺も理解する。

そうだ、何もわざわざ陸路を通る必要は無い。
俺はダンジョン管理者なんだから―――
王都まで出向き、どこかにダンジョンを作って
【魔境の森】まで繋げばいいだけ。

「ありがとうございます、メルダさん!」

『メルダで良い。
 何、同じ夫を持つ身だ。
 2人でヒロトを支えようぞ』

俺もモニターの向こうの妻に向かい、

「ありがとう、メルダ。
 これからもよろしく頼む」

『お礼なら直接もらえると嬉しいのう。
 もちろん、リナも共にな……♪

 前回のリベンジもあるし、今度は
 負けぬぞ?』

「望むところですよっ!」

妻二人が何やら勝負ごとのように熱気を
帯びるのを、俺は見て見ぬフリをした。

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