【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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132・王都へ行こう01

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「聖女様に会いたい、ですか?」

グリーンの短髪の青年が、俺の言葉に聞き返す。

彼はミュランさん。
ハーレイドッグ子爵家お抱えの治癒師ヒーラーであり、

その子爵家の一人息子、ロイ様が熱を出した時、
ちょうど王都・ネーヴェへ聖女様に異世界の
医学知識を学びに行っており、

そのためハーレイドッグ子爵夫妻が俺に助けを
求めた、という経緯がある。

「お金さえ出せば会えるとは思いますが……
 聖教会に寄付という形で」

「いくらくらい寄付したんですか?」

俺の隣りで、リナが金額を問う。

ここはダンジョン:【エンテの街地下】の
会議室で、

妻の他に王都に行く時は同行させる予定の、
パトラとコマチも同席させていた。

「私の場合は……
 30万エンダールほどでしょうか。

 持てる全財産を吐き出しましたが、
 それだけの価値はあったと思っています」

え、ちょっと待って。
一エンダールが百円くらいだから……

一万エンダールが百万円で、
十万エンダールが一千万円で―――

……三千万円!?

「結構な値段がするのだのう」

「この上の店が土地付きで5万エンダール
 だっけ?」

魔狐マジカルフォックス銀猫シルバーキャット
二人の配下が互いに顔を見合わせる。

「ただ、自分の場合は全財産を差し出した事で、
 ユウコ様に学ぶ機会を得ましたが―――

 会うだけであれば、もっと安い金額でも
 大丈夫だと思われます」

ああ、なるほど。
治癒師のミュランさんが全財産を寄付……
聖教会もその意図は理解したはず。

逆に言えばただ会うだけで良ければ、
それより低い金額でも構わないという事か。
しかし銭ゲバだな聖教会……

「それなら1万エンダールも寄付すれば
 いけるかな?

 そして王都・ネーヴェで―――
 ダンジョン作成のための土地建物の購入。

 王都って相場はどれくらいなんだろ?」

「借りるならともかく、購入となりますと……
 7,80万エンダールはするかと。

 場所が良ければそれこそどこも100万
 エンダール超だと思います」

俺の言葉にミュランさんがおずおずと答える。
都市部や条件が良ければ高いのは、異世界も
同じか。

「あ、そういえばパトラさん、コマチさん」

「む? 何だ?」

「なーに? リナちゃん」

リナの言葉に、魔狐と銀猫の二人が振り向く。

「お2人とも冒険者登録しているんですよね?
 その依頼料とかは……」

すると、はち切れんばかりの胸を持つ
魔法使いタイプの女性は首を左右に振り、

「さすがにそれほど稼いではいないかと……」

「護衛とか遠征とかすれば違うんだろうけど、
 ワタクシたちは基本、単発の仕事しか
 受けないしねー」

黒髪黒目のメイドも続いて、否定的な
答えを出す。

「ハーレイドッグ子爵家か、ズコウさんに
 融通してもらうというのは。

 今はお兄ちゃんの眷属ですし」

次のリナの提案に俺はうなずく。

子爵家は俺をロイ様の命の恩人と、恩義に
感じてくれているし、ズコウさんのところへは
あのメダルゲームを提供している。
多少の無理なお願いは聞いてくれるかも。

「それがいいかも知れないな。
 じゃあさっそく―――」

するとミュランさんがおずおずと手を挙げて、

「ええと、事情は聴きましたが……
 ヒロト様は今現在、王国側から捜索されて
 いるんですよね?

 となると、王都でも一通り調査されている
 可能性がありまして、

 そんな折、王都の一等地をポンと購入する
 一団というのは―――
 間違いなく目をつけられると思いますが」

それを聞いて一同、顔を見合わせる。

何もそこまで考えなくても……と思うが、
相手は国家。

大々的に魔境の森の捜索も行っているのだから、
それ以外のところにも調査の手は伸びている
だろう。
ましてや、それがお膝元の王都ならなおさら。

全員が考え込む中、リナが俺と視線を合わせ、

「ね、お兄ちゃん。

 ハーレイドッグ子爵様に、王都に誰か
 知り合いはいないか聞いてみたら?

 それなら、建物を買う必要も無いし、
 お金もかからないし……」

室内のリナ以外が『それだ!!』という
顔になり―――
さっそく俺たちは管理者部屋へと移動し、
【ハーレイドッグ子爵家地下】へと回線を
繋いだ。



『あら、ヒロト殿』

「あ、マリア様。
 お久しぶりです」

モニターに映ったのはガド当主ではなく、
その夫人、マリア様であった。

「ガド様はいらっしゃいますか?」

『ごめんなさい、夫は今所用で出かけて
 おりまして……

 何でも冒険者ギルドに呼ばれたとかで』

??
子爵様が冒険者ギルドへ?

「わらわたちを通さず、直接?」

「確かに子爵様には、ギルドに情報収集
 してもらうよう、依頼を出してはいるけど」

パトラとコマチが同時に首を傾げる。

ただ、今は子爵の連絡役となっていた、
クラークさんとミントさんが里帰り中だ。
それで直接向かったのかも知れない。

『それで、何かあったら私が対応するよう
 留守を預かっておりました。

 ご用件は何でしょうか?』

「ええと―――
 ハーレイドッグ子爵家って、王都に
 知り合いや親戚はいらっしゃいますか?」

そこで俺は、これまでの経緯を話す。
すると彼女は、

『そういう事でしたら、子爵家より……
 私の伝手を使った方がいいかも知れませんね』

「え? マリア様の……と言いますと?」

そこで子爵夫人はニコリと微笑み、

『私が元々、女性騎士団長を務めていたのは
 ご存知だと思います。

 王都にはその本拠地がありますし、
 王宮の中にも専用の施設がございます。

 私から一筆書きますので、それを持って行けば
 断られる事は無いかと……』

「あ、ありがとうございます!」

モニター越しに俺はマリア様に頭を下げる。

『ただ、ある意味男子禁制の場ですので、
 女性が行かれた方がよろしいかと。

 リナ殿はそちらに派遣した元騎士団の
 者たちの信頼も厚いので―――
 同行された方がいいと思います』

「そうなんですか。
 ではその通りに……」

俺はリナの方を振り向くと、彼女はそのまま
モニターの向こうのマリア様へ、

「じゃあ、あの『大浴場』や―――
 『コンビニ』も用意してあげた方がいいかも
 知れませんね」

『そのあたりは万事、リナ殿にお任せ
 しますわ♪』

元女性騎士団の方々もそうだけど、
マリア様といつの間に仲良くなったのかな?

俺はそんなリナに誇りと信頼を寄せつつ、
王都行きの計画を立てる事にした。

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