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171・占領下の王都
しおりを挟む「かーっ!
また負けた!!」
「バッカお前、その女の子は性能的に
厳しいだろ」
「うるせぇ!!
俺はこの子が好きで使ってんだ!
性能なんかで選んじゃいねぇんだよ!!」
「お、おう……」
クレイオス王国王都・ネーヴェ―――
そこの地下で、魔族たちが異世界の魔導具を
操作していた。
「おう、空いているか?」
そこへ、高校生くらいに見える
赤髪の少年が入って来ると、
「魔王様!」
「エバンス様!!
おう、お前らそこをどけ!」
魔王と呼ばれた少年のため、彼の操作する
魔導具の席を空けさせようとするが、
「やめろ。
うかつな行動をすると、ダンジョンの外へ
放り出されるぞ。
それより、魔導具を解除出来たヤツは
いるか?」
彼の問いに、誰も答える事はなく、
「まあいい。
どうやら食事を無限に出す魔導具も
ある事だし―――
腰を据えてやるぞ」
「「「ハハッ!!」」」
配下の魔族たちは魔王の命令に従い、
再び魔導具に向き合い始めた。
「……よし。
誰か供をせよ」
「おい!
誰かこの魔導具の操作に長けたヤツを」
「構わん。
ここに来てまだ10日も経っていない。
誰がやっても同じだろう。
操作した事がある者で良い」
俺の言葉に、一人がおずおずと片手を挙げ、
「で、では私めが……」
「よし、やるぞ。
お、お前はそいつか。
なかなかいい趣味をしているな」
指示に従い―――
俺は協力操作する部下と共に、画面内で
分身となって動く人物を選ぶ。
そいつは人間の幼そうな少女を選び、
俺は自分より(外見上は)年上の、痩身の
女性を選択する。
この魔導具は限られた場所の中で飛び回り―――
接近攻撃と遠距離、双方を使って相手を攻撃。
そして相手陣営を倒せば勝利だ。
「しかし異世界とはいえ、あっちの女性は
こんなに強いのか?」
「普通に戦っていますしねえ。
あまり男女差が無いのかも知れません」
それはあり得るかも。
他の魔道具でも、たいていは戦闘員に女性が
混ざっているし。
まあそれを言うとこちらの世界にも、人間に
女性騎士団がいるし、俺の妹のメルダは魔王
だった。
そういう意味では大差無い世界かも知れん。
「だが弱ったな。
思ったよりダンジョン攻略に時間が
取られ過ぎている。
これでは他の人類国にクレイオス王国占領を
宣言する事も、また魔族領の支配下に組み込む
事も出来ん」
「いったん魔族領に引き返すというのは」
共に魔道具を操作している部下が
進言してくるが、
「だからこのダンジョンがある事が厄介なのだ。
引き揚げを黙って見逃してくれるとは思えん。
しかも今回は勇者がいる事がわかって
いるしな。
聖教会とは違い、あれは脅威だ」
そしてこの十日で変わった事と言えば―――
王都に人間の荒くれ者がチラホラと姿を現す
ようになったくらいだ。
逃げ遅れたのか、それとも火事場泥棒でも
しようとしたのかはわからないが……
邪魔なので牢屋に放り込んである。
「まったく、こんな事で足止めを食うとは……」
魔道具を操作しながらグチをこぼす俺に、
後ろから声が聞こえ、
「エ、エバンス様!」
「後にしろ。見ての通り俺は今忙しい」
俺は魔道具の操作を続けようとしたが、
「そ、それが―――
先ほど使者が参りまして」
「あん? クレイオス王国のか?
だから待たせておけと」
「し、しかし……
メルダ様の使者でございます!」
その言葉に俺は操作する手が止まり、
画面の中の人物がやられた。
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