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179・カミュ王女Side18
しおりを挟む「カミュ王女様。
具合はどうですか?」
勇者・島村頼音のために作られた
ダンジョン―――
そこにわらわは滞在していた。
「もう王女はやめてください、レオ様。
わらわはもう、王族としての身分を
返上いたしましたゆえ……」
あの一件以降、ヒロト・ジンムからは―――
『島村さんに一任します』と、わらわの扱いは
彼に託され、
その庇護の元、王宮内で彼に与えられた部屋、
その地下のダンジョンで過ごしていた。
「返上したと言っても、保留になっていたはず。
落ち着くまでゆっくりするといいですよ」
「……ありがとうございます」
彼が用意してくれたお茶に口をつける。
侍女や執事にやらせた事はあっても、
殿方が自ら女性に飲み物を用意するなんて、
考えられない事だけど、
『俺がしたくてやっているんだから』
そう彼に押し切られ、それが自然だと
受け入れられるようになった。
「あの……レオ様は本当によろしいのですか?
元の世界に戻れなくても」
「またその話ですか。
未練が無いと言ったらそりゃ嘘になります
けどね。
他のメンバーよりはまあ、俺は吹っ切れて
いるから」
わらわが気にしないように―――
という事でも無いのだろう。
多分本音で、彼は語ってくれている。
「それに、前にも言ったと思うけど、
『あんたとその身内だけは、絶対助ける』
それは嘘じゃないから」
「その事は、わかっておりますが……」
彼が嫌い、というわけではない。
いやむしろわらわの方が惚れてしまったの
だろう。
ただもう一歩、踏み出す事が出来なかった。
「ん? これは?
ノートPCがなんでこんなところに」
「あ、そ、それは……
ヒロト殿の奥方たちが持って来て
くれたものです」
そこでレオ様が、板のようなものに気付く。
それはメル殿とメルダ殿が、
『出来ればレオさんと二人で見てね♪』
と、わらわに半ば押し付けるようにして
渡して来たものだが、
「わらわではその、使う方法がわかりません
ゆえに―――
そ、その。
出来ればレオ様と一緒に見て欲しい、
と言われておりますが」
「ふーん?」
彼が何やら操作すると、真っ黒だった板に
鮮やかな絵が浮かび上がる。
確かダンジョンの他の部屋にも、絵が動く
魔道具があったが―――
それと似たようなものだろうか。
「ネットは繋がらないんだっけか。
えっと……『最初に再生してください』?
動画か、こりゃ」
手馴れた感じで彼は魔道具を操作していく。
すると、画面にリナとメルダ、ヒロト殿の
二人の妻が映し出され、
『見てますか、カミュ様』
『こちらで動画とやらを選抜したでのう。
レオとやらと一緒に楽しんでくれ。
『2人で見て』ふぉるだに入っておるから』
わらわは意味がわからず首を傾げるが、
「このフォルダか?
俺とカミュ王女様に見て欲しいものって」
カチカチと魔道具を操作する音が響く中、
次の絵が映し出され―――
「え?」
「は?」
そこには、あられもない格好をした女性が、
男性と体を折り重ねる絵が動いていて……
「ん、んなっ!?」
レオ様は慌て始め、その動く絵が消える。
「い、今のは―――」
「わっ悪いカミュ王女様!
まさかあんなのが再生されるなんて!?」
彼が悪いわけでもないのに、ペコペコと
混乱にも似た困惑具合で頭を下げてくる。
わらわはクスッと笑い、
「い、いえ。
大丈夫ですよ、わらわも子供じゃないん
ですから」
「だ、だけど」
そこで、そういえば色仕掛けをした事も
あったと思い出し、
彼の片腕に手を回して、胸を押し付ける。
「も、もう少し見せて頂けませんか?
異世界の文化を理解するためにもですね、
レオ様との今後の事を考えるといろいろ
覚えておいた方がいい……
あ、いえ、その。
あああくまでもわらわはその」
冷静に努めようとしたが、結局わらわも
混乱したように声が上ずってしまった。
すると今度はレオ様が苦笑して、
「ま、まあ……
じゃ、他のも見てみる?」
「は、はい。
お願いします―――」
そしてわらわとレオ様はその後、いくつか
『どうが』を鑑賞した後……
そのまま、『一つ』になった。
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