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180・勇者Side18
しおりを挟む「はー、しまむーがついにカミュ王女様と」
「いいんじゃない?
彼女、今のところ功罪両面があり過ぎて
微妙な立ち位置だし。
勇者とくっつけば、安全は確保されるでしょ」
弥月ちゃんと白波瀬さんが、雑談のように
話し合う。
男勇者である島村さんが、カミュ王女様と正式に
付き合う事になったらしい。
そう、私―――
武田裕子に女性騎士団経由で情報が来ていた。
「それでアイツ、今日来てないのか」
熊谷さんがガシガシと頭をかきながら、
ぼやくように語り、
「そうなるとこの―――
ジンム君からの要望書はどうしようか」
武藤さんが配られた紙を手に、周囲を見渡す。
そして傍らには彼の『妻』であるブロンドの
少女がおり、
「どれどれ……
得意なげぇむについて教えて欲しい?」
「アンクちゃん、日本語読めるの?」
私が同じ内容が書いてある紙から顔を上げて、
彼女にたずねる。
「ニホンゴ? っていうのがどういうものか
わかりませんけど……
ただ、ところどころ意味のわからない単語が
混じっているような」
そういえば、ヒロト君が用意してくれた魔道具も
普通にみんな使っていたし―――
何らかの補正や共通認識みたいなものがかかって
いるのかも。
「そういえば、メルダさんのお兄さん?
エバンスとの決着をゲームでつける事に
なったんですよね。
多分それで、ヒロト君もこんな書類を
送って来たと思うんですけど」
「頼音の得意なゲームかぁ。
アイツ、3D系なら結構やってたような」
私の部屋―――
【聖女様の部屋地下】ダンジョンに
集まった本題に戻る。
「ゲームと言うと、あの魔道具ですか?」
そこでようやく、私の隣りに座っていた
ブラウンの短髪をした少年―――
クラリス様が会話に入ってきた。
「くおぉおおお……
うやらましくなんかないぞ……!」
ツインテールの女子高生が、何かを求めるように
私たちに手を向けてきて、
「一番手のかかった勇者様は、これまた
いきなり改心した王女様と発情期に
入っちまうし。
クソッ何て時代だ!!」
大企業の秘書のようなワンレンロングの
綺麗な髪をした、同性の勇者が両手を
空に拝むように上げて吠える。
私たち、女性勇者陣からしてみれば―――
一番和を乱しそうな島村さんと、警戒対象だった
カミュ王女様がくっついた事で……
かなり複雑な気分になったのは確かだけど。
その矛先を私に向けられても。
「で、ですから前も説明しましたよね?
クラリス様はあくまでも患者であって、
私は聖女以前に医者という立場で」
それを聞いていた彼は、否定も肯定もする事
なく、ただ私の片腕にしがみつく。
「いやーだってねえくまっち。
あのお2人を見てどう思いますか?」
突然弥月ちゃんから話を振られた熊谷さんは
戸惑うが、
「え!? お、俺に言われても。
……まあでも、その子アレルギーだったん
でしょう?
その原因を突き止めてくれて、食事をしても
苦しくならないよう改善してくれたばかりか、
美味しいご飯まで作ってくれる聖女様って。
そりゃその子から見たら―――」
「確かになあ。
それまでの苦しみや苦痛から解放して
くれただけじゃなく……
すでに胃袋までつかんでいるんだから」
武藤さんもウンウンとうなずいて追撃して来る。
「というわけでクラリス君。
君と同年代か、もしくはお兄さん弟君は
いないかね?
それか知り合いにそれくらいの」
「え、えっと……」
「子供に何を話しているんですかっ!」
クラリス様に手を伸ばしてくる白波瀬さんに、
熊谷さんが抗議するも―――
しばらくは男女関係の話で盛り上がった。
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