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193・エバンス勢VSダンジョン10・その後
しおりを挟む「……俺の負けだ、メルダ。
戦後処理はお前に任されているそうだな?」
「交渉はそうだのう。
それが何か?」
「俺自身の事だ。
逃げも隠れもしない。
王国に引き渡すなり、煮るなり焼くなり
するがいい」
魔王エバンスは潔く敗北を認め―――
妹に自分の処遇を委ねる。
するとメルダは両腕を組んで考え込み、
「ならば、アタシの代わりに城代を務めてくれ」
「城代?」
それは即ち、魔王城の代理城主……
つまり魔王としての役割を代行するという
事になる。
「いや、俺はお前に負けたのだぞ?
それがなぜ代理とはいえ魔王の座を
任せるのだ?」
「そこで少しは苦労せい、という事だ。
今回の件でわかったであろう?
どうして先代が兄上を後継者から
外したのか―――
本気で魔王の座を狙うのであれば、
きちんと勉強しろ、という事だ」
同じ赤髪を持つ妹が意地悪そうに笑い、
さらに続けて、
「それにのう兄上。
アタシは新婚なのだぞ?
可愛い妹のため、少しの間だけでも面倒ごとを
引き受けてくれても良いではないか。
ホーンドを補佐に付けてやるゆえ、
頼まれてくれい」
「何が可愛いだ。
こんな時だけ妹面するな。
……まあわかった。
敗者は勝者に従うのみ。
それにお前と違って義弟は礼儀正しかった。
懇意にしておくに越した事はないだろう」
兄と妹は憎まれ口を叩きつつ―――
こうして現魔王と旧魔王は元の位置に戻った。
「え?
王国との交渉はもう終わったのか?」
「詳細を詰めるのはこれからだが、
表面上は敵対関係を続ける事になった。
大々的に和解を公表すると、聖教会が
また騒ぎそうでな」
ダンジョン:【魔境の森】で―――
俺はメルダから報告を受けていた。
クレイオス王国とは裏側で友好同盟を結び、
対外的には今後十年の不可侵条約を結ぶと
公表する事にしたらしい。
「いろいろと面倒なんですねえ」
「全くだ。
伝統だの神様だのはろくな者がおらん。
今後10年かけて、聖教会との関係を
解消すると言っておったよ」
妻たちが疲れた表情でため息をつく。
つまり不可侵条約を結んでいる間に、
聖教会の影響を無くすという事か。
前回に続いて今回の失態もあるし、
さすがに聖教会も挽回の手立てはない
だろうしな。
「それに実質、両国ともヒロトの支配下に
置かれたからのう」
「確かに、それがバレたりすると密約以上に
問題になりそうですけど。
ヒロトお兄ちゃんのダンジョンがすでに
出来ていますから―――
地下でやり取りが行われる分には、他国に
それらの事が漏れる心配はないでしょう」
今ひとつ実感が湧かないが……
クレイオス王国もメルダの魔族領も、
俺のものになったらしい。
だからと言って、何かを強制するつもりは
無いが。
「それでヒロト、例のご褒美をあちらに
渡したいのだが……」
ああ、そういえば―――
魔族の女性陣と裏で繋がっていて、わざと
負けるよう誘導したんだっけか。
「コンビニとドラッグストアを提供するだけで
いいんだっけ?」
俺の問いにリナもメルダもうなずき、
「出来ればこれまでの分も……
食べた事が無いのがあるのは可哀そう
ですから」
「可能なら店ごと出してくれぬか?
その後の事はこちらでやるでの」
「そうか?
何から何まですまないな。
じゃあさっそく魔族領まで行こうか」
こうして俺は、妻二人と共に魔族領まで
出向く事になった。
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