かけがえのない君に告ぐ

春原しずく

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第二章 恋に落ちた日

第二十六話

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勃起した肉粒をさらにいじられながら、美美子は口を開いた。
「怖いの。『ふしだらな人だな』って思われることが……」
「なぁんだ、そんなこと」
ジュエルが明るく微笑んだ。
「美美子ちゃんが乱れるところ、私、いっぱい見たいよ? 『色っぽいなあ』と思うことはあっても、『ふしだらな人だなあ』とは思わない」
「……本当に?」
「うん。神様に誓ってもいい……って、神様は私か」
照れ笑いをひとしきり浮かべたあと、彼は言った。「心配しなくていいよ。私が美美子ちゃんを嫌いになることなんて、天地がひっくり返ってもない。そんなの絶対ありえないよ」
仰向あおむけに寝かせられた体に、ジュエルが覆いかぶさってきた。
「私は美美子ちゃんに夢中なの」
彼は真剣な声でそう告げると、美美子の体をしっかり抱き込み、額へとくちづけた。荒っぽさのかけらもない、やはり丁寧な愛撫であった。
「優しくしたい」
「大好きな美美子ちゃんに、いっぱい気持ちよくなってもらいたい。……いい思いをさせてあげたい」
──そんな台詞が聞こえてきそうだった。
「ん……っ……、」
唇をそっと塞がれる。すべてを奪うような激しいキスでなく、唇粘膜くちびるねんまくを覆うような静かなキスだった。唾液を啜るような淫猥いんわいなくちづけでなく、うぶな姫君ひめぎみに施すようなソフトなくちづけであった。
ジュエルの背に腕を回す。胸と胸が密着し、両者のふくらみが重なるように触れ合った。
豊かな量感りょうかんに恵まれた乳房は、間違いなく、女性特有のものだ。
しかし、腰付近を圧迫する硬い物体は、本来ならば男性しか持ちえない器官である。
(M性の体だわ……)
柔らかな肌と胸と男性器を持った、M性。肉体の九割ほどが女性でありながら、男性的な特徴も持った性。同性でありながら、異性の性器を生やしている性。
以前はM性に対して警戒心を持っていた。F性を襲うM性がこの世に多く存在しているからだ。
ジュエルには言っていないのだが、過去にM性に強姦されそうになった経験もある。
父親以外のM性の裸を間近に見たことはない。見たいとも思わない。
──けれど、ジュエルの裸には興味があった。熱く昂る性器をこの目で確かめてみたいとも思っていた。
大好きだから、全部を捧げたい。
愛しているから、なにも隠さずに全部見せてほしい。
浅ましい欲望も儚い願いや望みも、まとめて受け入れる。「神城かみしろジュエル」というM性を構成する全要素ぜんようそを、喜んで受け入れる。
拒絶なんてしない。否定だってしない。そんなことできるはずがない。
真剣に愛してくれる彼の気持ちに応えたい。持てる愛情のすべてを、秘めた恋情れんじょうのすべてを、彼だけに伝えたい。
好きだから。
愛しているから。
だから一緒にのぼりつめたい。……濡れた秘部に硬く屹立したペニスを埋め込み、さんざん律動を加えた末、中で果ててほしい。
絶頂を遂げ、快感のあまりに顔を歪める彼をこの目に焼きつけたい。

全身が性感帯になったような感覚に喘ぎを散らしながら、美美子は願った。
何度も願った。

【続く】
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