かけがえのない君に告ぐ

春原しずく

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第二章 恋に落ちた日

第二十八話

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「ごめんね……」
かすれ声でジュエルが呟く。
「恥ずかしいかもしれないけど、このままれるから……」
「ううん」
美美子は薄く微笑んだ。「大丈夫。顔見えたほうが安心するから。……だから、このまま来ていいよ」
背を抱く腕に力がこもる。
互いの息が荒く尖る
頭の中が興奮で真白ましろに染まる。
愛する者の腕の中、美美子は抱かれる悦びに酔う。静かにたゆたう夜の底、あふれくる刺激に全身をしならせ、やがて来るそのときを待つ。
「ごめんね」
一秒が過ぎる。
「ありがとう」
二秒が過ぎる。
「君のこと、絶対に大事にする。神掛かみかけて約束するから、だから──、」
数秒が過ぎる。
息さえ奪うような快感が、しおのように五体に満ちる。
「だから、美美子ちゃんの全部、私だけにちょうだい」
つぼみのように若く瑞々しいその部分を、硬くこわばった先端で突かれる。それからじわじわと押し開くように、あるいは慣らすように、「それ」が入ってきて──。
「あ…………、っ…………!」
甘美な衝撃が幼い女体を一息に──貫いた。
熱くとどろく雄が、脈を打っている。ドクン、ドクン……とはじけるように荒ぶっている。
「ん、ぁ……」
背中に食い込む腕の感触が、一層強さを増した。ほころびを迎えた女陰がさかんにぬめり、猛りに猛った雄の証を手荒てあらに締めつける。
「……あっ、……」
微熱を帯びた耳許で、ジュエルが小さな声をこぼす。
「……溶けちゃいそう」
「私も」と答えたかった。「感じているのは、あなただけじゃないの」と、ただそれだけを伝えたかった。「体を心に愛を取り込み、満足を覚えているのは私も同じよ」と教えてやりたかった。
「かつてない幸せに包まれているのは、ジュエルだけじゃないわ」と知らせたかった。
けれど、始まりを告げた律動がそれを邪魔する。せっかく口を開いたというのに、ゆっくりと開始された挿抜そうばつが言葉を悲鳴に変えてしまう──。
「あ…………っ! あ、あぁ……、」
強く弱く、浅く深く。
こわばったペニスが一定のリズムを刻んで、豊かに濡れた女の秘部を征服してゆく。濡れに濡れた女性器は喜んでそれを迎え入れ、与えられる刺激を貪欲どんよくに包み込んでゆく。
「……っ、」
ぐちゅ、と粘った音が立つ。十分に湿った性器と性器が結合し、その結果として生まれ出た音だ。身のうちをあぶる欲熱よくねつにさんざんあおられ、感じすぎるほどに感じてしまった結果、生まれ出た音でもある。
「あ、ぁ……」
抜き差しされるペニスの太さ、あるいはその熱、そのぬくみを若い女陰で食い締めながら、愛し愛される悦びを甘受かんじゅする。男でありながら男でない者の愛、神でありながら人を愛した少女の愛を肌で覚える。記憶する。
「忘れなければいい」と祈った。
「ジュエルと共有したなにもかもを、この体に刻みつけておきたい」と望んだ。「心にも刻みつけたい」と望んだ。
「永遠になんて届かなくていいから、いま、このときの記憶だけは──ジュエルのことを確かに愛した記憶だけは忘れたくない」と願った。

いつか、世界が滅んだとしても。
いつか、死によって二人の行く道が分かたれるのだとしても。

ジュエルを愛した時間だけは、ずっと覚えていたい。
生まれ変わりなんてなくてもいいから、いまここにいる彼のことを、自分の全部を尽くして認めたい。
何度でも。
この命が続く限り、何度でも彼を愛したい。ただの人間である自分になにができるかわからないけれど、それでも愛したい。
ジュエルだけを愛したい──。
「あ、ぁ……っ……、」
ジュエルの吐息がすぐ近くに聞こえる。
楽のさながらの美しい響きに陶然とうぜんとしながら、美美子は彼を抱きしめる。彼のもたらす体温、そしてそのふところに息づく命ごと、二つのかいなで抱きしめる。
「あ……、ん……っ……」
美美子もまた、息を漏らす。快感で息が震える。夜のしじまの中に消えゆく響きを耳に感じながら、また吐息まじりの嬌声を散らす。
「あぁ、……ん…………」
律動が速まる。一秒が過ぎるにつれて加速してゆく快感に、魂ごとどっぷり浸かって、心を、体を明け渡す。
「ん…………、く、ぁ…………」
ドクドクとペニスが脈打つ。肉体のいちばん深いところ、蜜が生まれ出る秘めに収まった男性器が、ぐぐっとふくらむ。
そして──、

「っ……、あぁ…………ん…………!」
二人して同時に叫びつつ、極みに極めた悦楽を一気に解き放った。

「ふ……、ぁ……」
全速力で走ったあとに感じるような心地よい疲労感が、神経の隅々までもを支配する。
「あ……、」
ひくひくとけいけんするヴァギナはいまだ、くわえ込んだ男性器をきつく締めつけている。絶え間なく愛液を滴らせては放出された精液とまじわり、美美子の太ももに小さな流れを送り込んでいる。

「美美子ちゃん……、大好きだよ」
静寂のめぐる夜の底にて、ジュエルが呟くように言った。

美美子はなにも言わず、彼の右頬みぎほほにくちづけた。

【続く】
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