かけがえのない君に告ぐ

春原しずく

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幕間 あなたに捧げる二、三の断章

第二話

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それから、須藤すどうさんは放課後になると、私のところに来るようになった。
お付き合いを始めてからしばらくは、教室のドアの近くで待っていたんだけれど、ある日をさかいに室内に入って、私が絵を描く様子を見守るようになった。
なんでも、ショートカットのF性が、「中に入れば? あんたたち、クラス公認の仲なんだし、遠慮しなくていいよ」と言ってくれたんだって。
「それ、たぶん、新町しんまちさんだ」と私は思った。あの人、単純そうに見えて、意外と気がくとこあるからね。

自慢じゃないけど、私はとても人見知りで、他人の視線を近くに感じるのがとても苦手なんだ。
だから、彼女の視線にわざと気づかないふりをして、絵を描いた。
スケッチブックに向かっている最中は、ひとの目など気にする必要ないもんね。
だから、私、ずっとうつむいていた。

年上なのに、M性なのに、私は須藤さんをうまくリードすることができなかった。
けど、須藤さんはそんな私にいつも笑顔を向けてくれた。いつでもどんなときでも楽しそうに、話をしてくれた。
たまに私が自分の話をすると、嬉しそうに相づちを打って、喜んでくれた。

……だけど、私はそれでも彼女を警戒していた。
いままでの短い人生の中で、「他人は自分を傷つける存在だ」って学習していたからね。

なのに、須藤さんは、この世の幸せをひとりじめにしたような顔をして、私に付き合ってくれた。

だから、とても不思議に思った。
私のような暗くて陰気で性格になんのある人間のどこに惹かれたのか、さっぱりわからなかったものだから。

話を少し変えるね。

年の離れた姉がいる影響なのかな、私は昔から年上に弱かった。実際、リードするよりもリードされるほうがしょうに合っていたし。小さな子どもが苦手だったし。
でも、正直に告白すると、私は須藤さんに惹かれつつあった。年下とは思えないくらいしっかりした彼女を、好きになりかけていた。

須藤さんは一年生の中でもかなり華奢なほうで、一見すると小学生みたいに幼い顔立ちをしている。
けどね、中身は本当にしっかりしているんだ。
勉強をちゃんとやるし、宿題もきちんとこなすし、運動も結構できるし、言葉遣いも綺麗なんだよね。

だから、とても不思議だった。
こんな天使みたいな子がどうして、私のようなゴミクズを好きになったんだろうなって、思った。
毎日のようにその理由を考えてみたけれど、残念ながら答えは出てこなかった。

一方的になつかれて、ちょっとだけ嬉しく思ったのも事実だよ。

ただ、私は、年下の子に苦手意識を持っていた。
いつからそうなったのか覚えていないけれど、年下の相手をすることを意識的に避けていたんだよね。

【続く】
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