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ライズの休暇
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これは趣味も含まれているが、それよりも教師として生徒が何か良からぬことに手を染めていないか確認していたのだ!
そう、ライズは開き直って物色......もとい、調査の結果を精査する。
落ちていたのは魔法の痕跡と、何かを製作した跡だけ。それ以外はいたって健全な女子の部屋だった。
服が脱ぎ散らかされているみたいな、そういう特徴という特徴がないあたり、つかみどころがわからない女子だなぁ、と思うところはあるものの、どうせ部屋を見て出てくるつかみどころなど馬鹿らしいものしかないだろう。思考を切り替えた。
悪魔召喚や邪神信仰の類が無くて安心している。ああいうのに結構取り入れやすい年ごろだからな。ガイアの部屋に悪魔召喚のための血で描かれた魔法陣とか、邪神交霊の触媒を並べられててもそれはそれで疑うが。
ともあれ、あとは残っていた何かの製作跡が何だったか。
この魔法の痕跡は製作のために起動したのだろう。つまり製作したものによっては、すでに彼女は悪の組織だってことだ。端的に言うと。
ともあれ、もう彼女が活動状態に入っている。もう視線に気づくだろうし、魔法使いなのだから直感的に魔法の気配を察知できるだろう。これ以上深追いすると痛い目を見る、具体的に言うと全財産没収を食らう。だからこの辺で引くか。明日は勤務じゃないから、研究に没頭だな。
ライズは、魔法を解いて、一人で一日ぶっ通しの研究の準備を始めるのだった。
翌日。
「おはよ」
ガイアが教室へと入る。
「おはよー、最近どうしたの、体調悪かったの?」
そう挨拶しながらもエアリが駆け寄っていく。
「そういうわけじゃない。今日は、ライズ先生は?」
「昨日いたから、今日は来ないんじゃないかな?」
そう言った瞬間、一瞬だけ強大な魔法の気配を察知した。
方向は―――――ライズの研究室。
「あそこだね」
「うん、あそこ」
ライズの居場所は特定した。何をしているのかもわかった。が。
「ライズ先生に何か用事でもあったの?」
「ううん、急ぎの用事じゃないから大丈夫」
ガイアはそう言うと、速足で自分の席へと座った。
エアリはその用事が気になったのだが、詳しく聞くのもなんだか、と結局聞くのをやめてしまった。
その間、というかその魔法の気配を一瞬だけ解き放ってしまったその時から、ライズの魔法研究は始まっていた。
「やっぱ、広範囲殲滅用の魔法は理論的に組み立てたほうがよさそうだな。プッチンして作った魔法は大抵単体高火力だからなぁ......これも失敗。次。」
ひたすら彼は繰り返している。地面と壁、そして宙、天井、いたるところに描かれた魔法陣が、彼の魔法研究を助けている。
周囲への被害を殺すための魔法や、魔力の回復を早める物、発動した魔法の威力、範囲を縮小するもの、その効果は様々だったが、一つ言えるのは、この魔法陣を展開してぶっつけ本番の魔法詠唱をしているのは、この国、この大陸、この世を探しても彼一人だろう。それぐらいに設備は整っており、それを一人が夜を徹しただけで作り上げられたとは思えないほどの完成度だった。
その魔法陣をフル活用して、ライズはひたすらに研究を行う。
「この構文は駄目だ。次。」
広範囲殲滅用の詠唱を無詠唱にすると、その膨大な消費魔力はさらにうなりを上げ、そのうえ唯一のとりえである広範囲殲滅ができないほどに威力減衰をする可能性があるため、意識的にその構文を、この理論を、と組み立てないと魔力食いお化けが出来上がるだけだ。それにこれは命綱。己の命を守るため、妥協なんてしてはいられない。
ひたすら、ただひたすら魔法を唱え続けた。その結果を記し、つぎの休暇に生かす。ライズの生活は、魔法師が百人見たら九十九人が狂ってる、というような生活だった。
一人はこの生活をしたいと思う魔法馬鹿だ。
もともと、この魔法師の界隈には、完成された魔法を覚えたほうが効率が良い、という一種の風潮ができていた。
もちろん、研究は研究者の領分だ、その意見が悪いとは言わない。ライズの場合はこうならざるを得なかっただけである。が、それがなかったとしても、手札が汎用的な魔法しかないのは不安で仕方がないと思うのだ。
っと、思考がそれた。
そうライズは思考をすぐに次の魔法へと移して、ひたすら、食事もとらずに魔法を、広範囲殲滅用の魔法を放ち続けるのだった。
「少し漏れてる」
「え? なにが?」
ガイアとエアリが休み時間にライズの研究棟を見ながら、そう話した。
「魔力が」
「え、ほんと? 全然わかんないや」
「隠されてる、抑え込まれてる、無駄をすべて省かれてる。あそこでは何が起きているの......?」
ガイアは一人、あの研究室を覗きたい衝動に駆られるのだった。
そう、ライズは開き直って物色......もとい、調査の結果を精査する。
落ちていたのは魔法の痕跡と、何かを製作した跡だけ。それ以外はいたって健全な女子の部屋だった。
服が脱ぎ散らかされているみたいな、そういう特徴という特徴がないあたり、つかみどころがわからない女子だなぁ、と思うところはあるものの、どうせ部屋を見て出てくるつかみどころなど馬鹿らしいものしかないだろう。思考を切り替えた。
悪魔召喚や邪神信仰の類が無くて安心している。ああいうのに結構取り入れやすい年ごろだからな。ガイアの部屋に悪魔召喚のための血で描かれた魔法陣とか、邪神交霊の触媒を並べられててもそれはそれで疑うが。
ともあれ、あとは残っていた何かの製作跡が何だったか。
この魔法の痕跡は製作のために起動したのだろう。つまり製作したものによっては、すでに彼女は悪の組織だってことだ。端的に言うと。
ともあれ、もう彼女が活動状態に入っている。もう視線に気づくだろうし、魔法使いなのだから直感的に魔法の気配を察知できるだろう。これ以上深追いすると痛い目を見る、具体的に言うと全財産没収を食らう。だからこの辺で引くか。明日は勤務じゃないから、研究に没頭だな。
ライズは、魔法を解いて、一人で一日ぶっ通しの研究の準備を始めるのだった。
翌日。
「おはよ」
ガイアが教室へと入る。
「おはよー、最近どうしたの、体調悪かったの?」
そう挨拶しながらもエアリが駆け寄っていく。
「そういうわけじゃない。今日は、ライズ先生は?」
「昨日いたから、今日は来ないんじゃないかな?」
そう言った瞬間、一瞬だけ強大な魔法の気配を察知した。
方向は―――――ライズの研究室。
「あそこだね」
「うん、あそこ」
ライズの居場所は特定した。何をしているのかもわかった。が。
「ライズ先生に何か用事でもあったの?」
「ううん、急ぎの用事じゃないから大丈夫」
ガイアはそう言うと、速足で自分の席へと座った。
エアリはその用事が気になったのだが、詳しく聞くのもなんだか、と結局聞くのをやめてしまった。
その間、というかその魔法の気配を一瞬だけ解き放ってしまったその時から、ライズの魔法研究は始まっていた。
「やっぱ、広範囲殲滅用の魔法は理論的に組み立てたほうがよさそうだな。プッチンして作った魔法は大抵単体高火力だからなぁ......これも失敗。次。」
ひたすら彼は繰り返している。地面と壁、そして宙、天井、いたるところに描かれた魔法陣が、彼の魔法研究を助けている。
周囲への被害を殺すための魔法や、魔力の回復を早める物、発動した魔法の威力、範囲を縮小するもの、その効果は様々だったが、一つ言えるのは、この魔法陣を展開してぶっつけ本番の魔法詠唱をしているのは、この国、この大陸、この世を探しても彼一人だろう。それぐらいに設備は整っており、それを一人が夜を徹しただけで作り上げられたとは思えないほどの完成度だった。
その魔法陣をフル活用して、ライズはひたすらに研究を行う。
「この構文は駄目だ。次。」
広範囲殲滅用の詠唱を無詠唱にすると、その膨大な消費魔力はさらにうなりを上げ、そのうえ唯一のとりえである広範囲殲滅ができないほどに威力減衰をする可能性があるため、意識的にその構文を、この理論を、と組み立てないと魔力食いお化けが出来上がるだけだ。それにこれは命綱。己の命を守るため、妥協なんてしてはいられない。
ひたすら、ただひたすら魔法を唱え続けた。その結果を記し、つぎの休暇に生かす。ライズの生活は、魔法師が百人見たら九十九人が狂ってる、というような生活だった。
一人はこの生活をしたいと思う魔法馬鹿だ。
もともと、この魔法師の界隈には、完成された魔法を覚えたほうが効率が良い、という一種の風潮ができていた。
もちろん、研究は研究者の領分だ、その意見が悪いとは言わない。ライズの場合はこうならざるを得なかっただけである。が、それがなかったとしても、手札が汎用的な魔法しかないのは不安で仕方がないと思うのだ。
っと、思考がそれた。
そうライズは思考をすぐに次の魔法へと移して、ひたすら、食事もとらずに魔法を、広範囲殲滅用の魔法を放ち続けるのだった。
「少し漏れてる」
「え? なにが?」
ガイアとエアリが休み時間にライズの研究棟を見ながら、そう話した。
「魔力が」
「え、ほんと? 全然わかんないや」
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