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早朝
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「よし、これで完成か」
ライズが作ったのは一つの魔法。それは彼の能力を最大限に使ったオリジナル魔法。おそらくこの世界ではライズ以外に使えはしない、ばかげた魔法。
「今、何時だ」
時間を気にせず研究したいというライズの思いから、研究室には時刻がわかる方法が何一つなかった。
時計の魔道具もなければ、外からの音もシャットアウトして、鐘の音すら聞こえない。
外に出ると、すでに夜は終わりかけていた。
高い建物が多いため、朝日を拝むことはできなさそうだが、全てを吸い込む暗闇はどんどんと西へと追い込まれているのが見てわかった。
そして、ライズの体質的にも、感じることができた。
朝が、新たな一日が、始まった。
「ところで、今日は何日、何曜日なのだろうか」
早朝のため、誰かに聞きに行くのもはばかられる。
ライズはとりあえず、校内を散歩することにした。
教室はおろか、職員室でさえも戸が閉まりきって、鍵もかけられている校内を歩くのは、どこか新鮮だ。
とはいっても、ここに勤務してから、新鮮味を感じるほどに長い年月が経過したわけではないのだが。
もうすぐ、......なんだっけ、なんかすっごい大会が始まる。
だからだろうか、校内でちらほらと魔法の痕跡と、今なお魔法を発動しようとしている魔力が感じられる。
その中でも、一つだけ見覚えがあったライズは、次の目的地をそこに定め、コツコツと響く足音を楽しみながら向かうのだった。
ライズが来たのは寮の隣にある植物園。
ここでは栽培方法が確立している数種類の薬草の栽培をするとともに、観賞用として年中何かしらの花が咲き誇っていた。
今はもう夏の暑さに耐えられる植物が綺麗だ。
そしてそれを見ながら魔法を使っている少女に話しかける。
「おはよう、ガイア」
「ライズ先生。珍しい」
ガイアは端的にそう話した。
「まぁな」
ライズも、自覚はあるのでそう返すしかなかった。
二人は花を見る。小鳥の声と、夏だというのに涼しい空気、そして少し寒く感じる風だけが、あたりの音を支配していた。
が、沈黙を先に破ったのはガイアだった。
「ねぇ、先生」
「どうした?」
「昨日、何の魔法してたの? あと、あれは魔法容量五千じゃできない。」
「気づいていたか」
「巧妙に隠されてたからほかの先生も気づいてない―――――先生、何者」
ガイアが警戒心をあらわにした。
魔力が今か今かと励起する。
「嘘は許さない」
ガイアは、「もし、嘘をついたら全て言う」と、何かのカードをちらつかせ、半分どころか九割九分九厘脅しをしてくる。
「だが、所詮は学生だ」
その瞬間、ガイアを取り巻いていた魔力は、一斉にその矛先をライズに向け、力を放った。
それをライズは呼び出した棒ですべて薙ぎ払う。
「その手法は圧倒的実力差があって初めて使えるものだ」
棒を一瞬でのど元に突き付けて、ライズはそう言い放つ。
「ん、完敗」
ガイアは両手を上にあげた。
片手に持っていた棒を地面に落とし、ガイアは魔法をすべて停止させる。
「棒?」
ライズは起動していた魔法よりも、手に持っていた棒に興味を示す。
「そう。私のスキルも棒術だから」
「それは、本当か」
「? 嘘を言ってもしょうがない」
そう、ガイアは何故、と首をかしげながら何でもないように答えた。
それが、どれだけライズの心を揺さぶったのか、知りもしないで。
ライズが作ったのは一つの魔法。それは彼の能力を最大限に使ったオリジナル魔法。おそらくこの世界ではライズ以外に使えはしない、ばかげた魔法。
「今、何時だ」
時間を気にせず研究したいというライズの思いから、研究室には時刻がわかる方法が何一つなかった。
時計の魔道具もなければ、外からの音もシャットアウトして、鐘の音すら聞こえない。
外に出ると、すでに夜は終わりかけていた。
高い建物が多いため、朝日を拝むことはできなさそうだが、全てを吸い込む暗闇はどんどんと西へと追い込まれているのが見てわかった。
そして、ライズの体質的にも、感じることができた。
朝が、新たな一日が、始まった。
「ところで、今日は何日、何曜日なのだろうか」
早朝のため、誰かに聞きに行くのもはばかられる。
ライズはとりあえず、校内を散歩することにした。
教室はおろか、職員室でさえも戸が閉まりきって、鍵もかけられている校内を歩くのは、どこか新鮮だ。
とはいっても、ここに勤務してから、新鮮味を感じるほどに長い年月が経過したわけではないのだが。
もうすぐ、......なんだっけ、なんかすっごい大会が始まる。
だからだろうか、校内でちらほらと魔法の痕跡と、今なお魔法を発動しようとしている魔力が感じられる。
その中でも、一つだけ見覚えがあったライズは、次の目的地をそこに定め、コツコツと響く足音を楽しみながら向かうのだった。
ライズが来たのは寮の隣にある植物園。
ここでは栽培方法が確立している数種類の薬草の栽培をするとともに、観賞用として年中何かしらの花が咲き誇っていた。
今はもう夏の暑さに耐えられる植物が綺麗だ。
そしてそれを見ながら魔法を使っている少女に話しかける。
「おはよう、ガイア」
「ライズ先生。珍しい」
ガイアは端的にそう話した。
「まぁな」
ライズも、自覚はあるのでそう返すしかなかった。
二人は花を見る。小鳥の声と、夏だというのに涼しい空気、そして少し寒く感じる風だけが、あたりの音を支配していた。
が、沈黙を先に破ったのはガイアだった。
「ねぇ、先生」
「どうした?」
「昨日、何の魔法してたの? あと、あれは魔法容量五千じゃできない。」
「気づいていたか」
「巧妙に隠されてたからほかの先生も気づいてない―――――先生、何者」
ガイアが警戒心をあらわにした。
魔力が今か今かと励起する。
「嘘は許さない」
ガイアは、「もし、嘘をついたら全て言う」と、何かのカードをちらつかせ、半分どころか九割九分九厘脅しをしてくる。
「だが、所詮は学生だ」
その瞬間、ガイアを取り巻いていた魔力は、一斉にその矛先をライズに向け、力を放った。
それをライズは呼び出した棒ですべて薙ぎ払う。
「その手法は圧倒的実力差があって初めて使えるものだ」
棒を一瞬でのど元に突き付けて、ライズはそう言い放つ。
「ん、完敗」
ガイアは両手を上にあげた。
片手に持っていた棒を地面に落とし、ガイアは魔法をすべて停止させる。
「棒?」
ライズは起動していた魔法よりも、手に持っていた棒に興味を示す。
「そう。私のスキルも棒術だから」
「それは、本当か」
「? 嘘を言ってもしょうがない」
そう、ガイアは何故、と首をかしげながら何でもないように答えた。
それが、どれだけライズの心を揺さぶったのか、知りもしないで。
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