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一章 校内魔法対抗戦
魔族とライズの謎
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「お疲れ、エアリ」
「えへへ、負けちゃいました」
「詠唱破棄ができないのにああやって見せたところはお手柄だと思ったぞ」
「先生は何でもわかるんですね」
「まぁな」
そう、あの風弾は正確には詠唱を破棄して作成した風弾ではない。
魔法陣を使用したいわゆる『モドキ』なのだ。
にらみ合っている間に魔法陣を用意、あえて『風弾』ということによる魔法的な牽制効果は結構大きかった。
「次はガイアか」
「そうですね、あと彼女、ベアトリスもです」
そう言って、エアリは身長が少し高い女子生徒を指さす。
「そ、そうだな」
ライズ自身が生徒の名前を憶えていないとはつゆ知らず、エアリは話を続けていく。
ライズは途中まで苦笑いを浮かべながらも聞いていたが、ある時を境に上に注意を向け始める。
そしてそれは今から戦闘を始めようとしているガイアも同様だった。
彼らが見ていたもの。それは魔力の異常な集中だった。
普通の魔法ではない。そもそも人間がこれをしようとしたらどこかに大規模な魔法陣が浮かんでいるであろうレベルだ。
そしてそれがどこにもないことを確認したライズは、この魔力の原因を特定し、あえて放っておいた。
そしてその時は訪れる。
空中から、何かを割くような音とともに、一人の人が現れた。
しかし、その黒を基調とした様相のほかに決定的な特徴が出ていた。
それは、頭に生えている羊のような曲がった角。
「魔族......」
誰かが正解を言い当てる。
「クハハハハッ! こんなにも人間が集まっているとは! これはちょうどいい! 貴様らの命、頂いていく!」
そう言って、観客席、それもライズのほうへと向かっていく。
「貴様が教師だな! まずはお前からだ!」
どうやらライズを殺すことで、周囲の生徒が統率をとれない状況を作り、一人ずつ殺していく作戦のようだ。
「その方法は、俺よりもお前が強くなければ使えないがな」
「その魔力量で何を言う! 俺の十分の一にも満たない―――――」
そう言って、言葉を止めた。
「貴様、まさか―――――」
「『橙の太陽』」
ライズは詠唱を破棄して魔法を起動する。
瞬間、ライズの手から魔力がほぼすべて放出され、宙へと集う。
「クソ! あれを壊せないと―――――」
「もう遅い」
どうやらあの魔族は対処法を知ってはいるものの、実力が足りなかったようだ。
魔法は成立し、宇宙空間で収束し、小さな太陽を作り出した。
それは橙色の、夕日のような色だった。
薄い水色の空に浮かんだその異質な太陽。
それが、彼にとってのトリガーだった。
「チッ、、太陽が浮かんでも、まだ弱いままだろうが!」
そう言って魔族はライズに右足のけりをお見舞いする。
が、ライズはそれを難なくよけると、コロッセオの中心、その上空へと滞空する。
「俺から行こうか? 『レイ』」
そう言って放たれた瞬間の光。
魔族はそれを右に転がり避け、先ほどまで自分がいた場所を見返す。
石に穴が開いた。
ヒビの一つもなしに。巨大な闘技場の壁を貫通した。
「今、どこから魔力を......いや、そうだったな。確かに聞いていた通りだが、実際に見るとこうもインチキじみているとは思いもしなかった」
「インチキとは失敬な」
その言葉を交わす間も『レイ』が放出されていた。
「おかしい」
魔力を人一倍感じることが出来るようになったガイアはそうつぶやいた。
「どうしたの?」
エアリは魔力がからっきしの体を引きずるようにして避難していたために、魔力の気配に気を向けられなかった。
「魔力が踊っている」
「踊ってる?」
その表現が正しいかと聞かれたらわからないだろう。が、彼女の感覚で一番正しかったのはこれだった。
そして二人は、少し高い場所からその様子を眺めていた―――――
「さて、魔界でもさぞかし俺のことが有名らしいではないか」
「そりゃあそうだろう。なにせ天下――――――」
「「『レイ』」」
その瞬間、二本のレイが魔族を襲う。
「チイッ、輪唱までできるのかよ」
「これが出来ない奴がここまで名前を轟かせないさ」
二本になったレイがなおも魔族を襲うが、双方、まだ余裕がある。
「さて、第二ラウンドだ」
そう言って、ライズは装備を瞬間装着した。
体に黄金色の鎧、そして所々にある赤い線がものすごい勢いで光輝き、魔力が可視化されるほどに通っているのがわかる。
本来、可視化される魔力というのは異常なのだ。
というのも、基本的に魔力は魔法使いが感覚的に感じ取ることが出来る程度というものだ。そして妖精の類ですら、魔法の才がなければ見つけることが出来ない。見える魔力というのは精霊から、というのは学園で習う範囲だ。
それを鎧中に通しているライズが今異常なことくらい、これを見ている大抵の人がわかっていた。
「ライズ先生、どうなってるの......」
ただ一人、現地で見ているガイアだけが、この場で一番状況を理解しているが故、一番理解できていないのであった。
「あれが何かわかるの?」
「魔力だけ。でも、五千とは思えないほど出てる」
最初の自己紹介、確かに彼は五千と言った。
確かに言った。
「でも、そういえば」
「エアリ、どうしたの」
「ライズ先生の自己紹介、ずっと引っ掛かってたの。」
エアリは続ける。
「だって先生、「えー、魔法適正は火と光が少々。他は発動すらできない。それと魔法容量は今は五千ってところだ」って言ったんだよ?」
「ねぇ、エアリってもしかして、一言一句、全部覚えてる?」
「うん、みんなそうでしょ?」
そんなわけないじゃない、そう心の中でつぶやいた。
だが、もちろんその声が届くはずもなかった。
「えへへ、負けちゃいました」
「詠唱破棄ができないのにああやって見せたところはお手柄だと思ったぞ」
「先生は何でもわかるんですね」
「まぁな」
そう、あの風弾は正確には詠唱を破棄して作成した風弾ではない。
魔法陣を使用したいわゆる『モドキ』なのだ。
にらみ合っている間に魔法陣を用意、あえて『風弾』ということによる魔法的な牽制効果は結構大きかった。
「次はガイアか」
「そうですね、あと彼女、ベアトリスもです」
そう言って、エアリは身長が少し高い女子生徒を指さす。
「そ、そうだな」
ライズ自身が生徒の名前を憶えていないとはつゆ知らず、エアリは話を続けていく。
ライズは途中まで苦笑いを浮かべながらも聞いていたが、ある時を境に上に注意を向け始める。
そしてそれは今から戦闘を始めようとしているガイアも同様だった。
彼らが見ていたもの。それは魔力の異常な集中だった。
普通の魔法ではない。そもそも人間がこれをしようとしたらどこかに大規模な魔法陣が浮かんでいるであろうレベルだ。
そしてそれがどこにもないことを確認したライズは、この魔力の原因を特定し、あえて放っておいた。
そしてその時は訪れる。
空中から、何かを割くような音とともに、一人の人が現れた。
しかし、その黒を基調とした様相のほかに決定的な特徴が出ていた。
それは、頭に生えている羊のような曲がった角。
「魔族......」
誰かが正解を言い当てる。
「クハハハハッ! こんなにも人間が集まっているとは! これはちょうどいい! 貴様らの命、頂いていく!」
そう言って、観客席、それもライズのほうへと向かっていく。
「貴様が教師だな! まずはお前からだ!」
どうやらライズを殺すことで、周囲の生徒が統率をとれない状況を作り、一人ずつ殺していく作戦のようだ。
「その方法は、俺よりもお前が強くなければ使えないがな」
「その魔力量で何を言う! 俺の十分の一にも満たない―――――」
そう言って、言葉を止めた。
「貴様、まさか―――――」
「『橙の太陽』」
ライズは詠唱を破棄して魔法を起動する。
瞬間、ライズの手から魔力がほぼすべて放出され、宙へと集う。
「クソ! あれを壊せないと―――――」
「もう遅い」
どうやらあの魔族は対処法を知ってはいるものの、実力が足りなかったようだ。
魔法は成立し、宇宙空間で収束し、小さな太陽を作り出した。
それは橙色の、夕日のような色だった。
薄い水色の空に浮かんだその異質な太陽。
それが、彼にとってのトリガーだった。
「チッ、、太陽が浮かんでも、まだ弱いままだろうが!」
そう言って魔族はライズに右足のけりをお見舞いする。
が、ライズはそれを難なくよけると、コロッセオの中心、その上空へと滞空する。
「俺から行こうか? 『レイ』」
そう言って放たれた瞬間の光。
魔族はそれを右に転がり避け、先ほどまで自分がいた場所を見返す。
石に穴が開いた。
ヒビの一つもなしに。巨大な闘技場の壁を貫通した。
「今、どこから魔力を......いや、そうだったな。確かに聞いていた通りだが、実際に見るとこうもインチキじみているとは思いもしなかった」
「インチキとは失敬な」
その言葉を交わす間も『レイ』が放出されていた。
「おかしい」
魔力を人一倍感じることが出来るようになったガイアはそうつぶやいた。
「どうしたの?」
エアリは魔力がからっきしの体を引きずるようにして避難していたために、魔力の気配に気を向けられなかった。
「魔力が踊っている」
「踊ってる?」
その表現が正しいかと聞かれたらわからないだろう。が、彼女の感覚で一番正しかったのはこれだった。
そして二人は、少し高い場所からその様子を眺めていた―――――
「さて、魔界でもさぞかし俺のことが有名らしいではないか」
「そりゃあそうだろう。なにせ天下――――――」
「「『レイ』」」
その瞬間、二本のレイが魔族を襲う。
「チイッ、輪唱までできるのかよ」
「これが出来ない奴がここまで名前を轟かせないさ」
二本になったレイがなおも魔族を襲うが、双方、まだ余裕がある。
「さて、第二ラウンドだ」
そう言って、ライズは装備を瞬間装着した。
体に黄金色の鎧、そして所々にある赤い線がものすごい勢いで光輝き、魔力が可視化されるほどに通っているのがわかる。
本来、可視化される魔力というのは異常なのだ。
というのも、基本的に魔力は魔法使いが感覚的に感じ取ることが出来る程度というものだ。そして妖精の類ですら、魔法の才がなければ見つけることが出来ない。見える魔力というのは精霊から、というのは学園で習う範囲だ。
それを鎧中に通しているライズが今異常なことくらい、これを見ている大抵の人がわかっていた。
「ライズ先生、どうなってるの......」
ただ一人、現地で見ているガイアだけが、この場で一番状況を理解しているが故、一番理解できていないのであった。
「あれが何かわかるの?」
「魔力だけ。でも、五千とは思えないほど出てる」
最初の自己紹介、確かに彼は五千と言った。
確かに言った。
「でも、そういえば」
「エアリ、どうしたの」
「ライズ先生の自己紹介、ずっと引っ掛かってたの。」
エアリは続ける。
「だって先生、「えー、魔法適正は火と光が少々。他は発動すらできない。それと魔法容量は今は五千ってところだ」って言ったんだよ?」
「ねぇ、エアリってもしかして、一言一句、全部覚えてる?」
「うん、みんなそうでしょ?」
そんなわけないじゃない、そう心の中でつぶやいた。
だが、もちろんその声が届くはずもなかった。
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