英雄教科書

大山 たろう

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一章 校内魔法対抗戦

英雄のスタートライン

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「殲滅終了」

「お疲れ様です」

 帰ってきたルナにガイアはそう返す。
 性格的に、欲望にまっすぐで、それ以外を適当にしがちなライズとは違って、ルナという人は仕事のできるお姉さんのような印象を受けていた。ガイアは自然と敬語となっていた。

「私に魔法を教えてほしい」

「魔法適正が合わないと思う。私は光と闇しか使えない」

 ルナもまた、特異的な魔法適正であるために、一部の属性しか使うことが出来ない。
 そのうえ、一般的に希少とされる光属性と闇属性の二つしか使えない人など、世界探しても一人だけだろう。

 そしてガイアは、逆に光と闇に対する適性が絶望的だった。」

「私は土属性しか使えない......」

 そうぼそりとつぶやいた。するとルナが意外にも「それならオリジナルでもつくる?」と話を振る。「ぜひ」とガイアが返すと、二人っきりの魔法製作が始まった。
 という話は、部屋の隅で寝ていたライズは知らない話だが。

 翌日。みんなが何事もなかったかのような顔をして教室に入っていた。
 何事もなかったかのような、と称したが、正確には彼らにとっては昨日は何もなかった、と思わさせられているのだ。これもまた、ルナの力添えあってのことだった。

 今日は一応ルナの魔法の効きを確認するためだけに、一応、勤務をしているライズ。

「ライズ先生、中止になってしまったとはいえ、一応初戦とかありましたし、感想とか言ってもらえますか?」

 ソフィア先生がそう言った。ライズとしては、何か話を振られることはわかっていた。が、いくら何でも感想をいきなり言えって言われても「あぁ、まあ、よかったよ」が限度じゃないだろうか。

 少し思案したライズは、そのまま、口を開いた。

「英雄は理由を見つけてスタートライン、実力が伴って二流、そして一流は芯が強い。頭の隅にでもおいておくといい」

 ライズは、そう言葉を発したっきり、教室から出ていった。

「そ、それでは、授業が今日から通常通り始まります、間違えないようにしてくださいね!」

 そのソフィア先生の言葉で、教室がいつもの空気をやっと、取り戻した。



「ねぇ、あの言葉。なんだったんだろね」

 クラス中が、ライズ先生の最後の言葉の意味を考えていた。

「ねぇエアリ、あの文章、どこかで見たような気がするんだけど、覚えてない?」

「あの文章って言うと、ライズ先生のあれだよね! うーんっと、たぶんこれかな?『英雄のスタートラインは戦う理由を明確にした時。実力はその後だ』英雄サンライズが国王様に褒賞をもらうときのインタビューで発した言葉だっけ。それが本に書いてあったよ」

「そう。ありがと。」

 ガイアは英雄になりたいわけではなかった。
 ただ、自分の身一つで、どこまで行けるのかを試したいだけだった。
 どこまで、そう考えているガイアの瞳は、どこかライズに似た光を帯びているようだった。
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