英雄教科書

大山 たろう

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一章 校内魔法対抗戦

宮廷魔法師

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 夏休み行われるはずだった宮廷魔法師との訓練も、学校とのすり合わせがうまくいかなかった結果、夏休みが明けてからとなった。



 その間ライズは魔法研究を、生徒たちは帰省したり魔法の練習を行ったりと様々な方法で夏休みを過ごしていた。



 そして新学期が始まり、全生徒がまた一つの学園へと集まった。



「今年は宮廷魔法師様との練習に、希望者が全員行けるという特例となりました! なので希望者はこの後教室に残ってくださいね~」



 ソフィア先生がそう伝える。

 その言葉を理解した生徒たちは、一斉に男女構わず野太い声を上げた。



「はぁ、こんなにもうれしいものなのか」



「もちろんですよ、なんと言ってもあの宮廷魔法師様ですからね! 英雄様と同じくらいに天上の存在にあって、そのうえ魔法の訓練をしていただけるというのですから、これ以上のことはないですよ!」



 そう興奮して話すソフィア先生。

 今天上の存在と話した英雄様と話しているとは全く思っていないようだ。



「はぁ、そうですか」



 いまいち実感がわかないライズは、そう返すことしかできなかった。







 授業も終わり、放課後。

 一度教室の様子を見に行くと、ほぼ全員が教室に残っていた。



 逆に残っていない生徒に話を聞いてみると「平民の私が―――」だの、「その日は用事が―――」だのと言っていた。

 そして教室に残った生徒に向けて、説明会が始まった。



「宮廷魔法師様と魔法訓練をします。前半では魔法を的に当てる練習を見てもらい、後半で実践を行います」



 教室でその説明を受けていた生徒たちは緊張感をあらわにしていた。

 国のトップ、それどころか魔法でこれほどの領地を得てきたこの魔法大国の国におけるトップ、つまり大陸上でも一二を争うレベルだと言える宮廷魔法師と実践ができるとい言うのだ。

 勝てるわけがないが、何かを得ようと必死になっている。



 その後もスケジュール説明や注意事項など事細かに説明していた。



「―――以上です。皆さんにとって、良い経験になることを祈っています」



 そう言って、説明をしていた先生は教室から出て行ってしまった。



 生徒たちは緊迫した雰囲気を醸し出していた。

 今から死地に行くってわけでもないのに、大げさな奴らだ、とライズは思っているが、生徒にとっては同じようなものだった。



「それじゃ、頑張れよー」



 そういつもと変わらぬ伸びた声で、ライズは教室から立ち去った。



 そしてこの行事もまた、無事に終わるはずがなかったのだった。











「さて、今日が宮廷魔法師に教えてもらう日になる」



「宮廷魔法師様です、様をつけてください様を!」



 隣でソフィア先生が大きな声で注意してくる。

 あぁ、また始まった、と少しうんざりした目をライズは生徒たちに向けたが、生徒たちの目線も大体同じだったために助けを求めるのは諦めた



「えー、宮廷魔法師ーさま? に教えてもらうから、とりあえず移動、魔法師団の練習場へと向かう」



 そう言って、ライズは引導のために前を歩こうとするが、我先にと皆が走っていくために、ライズは結果的に最後尾に行ってしまった。



「ライズ先生は宮廷魔法師を軽く見てる」



 そう言ってきたのはガイア。



「宮廷魔法師は王国の矛で盾。英雄みたいな雲の上で何をしているか知らない人に比べて、自分の志す道の先を歩く人たちだから、尊敬の念を集めやすい」



「そう言っているお前はどうなんだ?」



「私は宮廷魔法師なんてところで収まるつもりはない」



 全く、志は高い。

 後はそこに実力が伴うかどうか、だが。きっと大丈夫だろう。



「ガイアー! こっちきてー!」



 少し前からエアリの声が響く。



「行ってくる。あ、そうだ」



「どうした?」



「宮廷魔法師に教えてもらった後、ライズ先生も教えて」



「今日は無理かもしれないな。また来週当たりでいいか?」



「もちろん。英雄にご教授してもらえるなんて、宮廷魔法師とかどうでもよくなる」



「その発言、聞かれたらまた冷たい目線を受けるからやめといたほうがいいぞ」



 ハハハ、と乾いた笑い声が響いた。
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