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四章 空は夜に、少女は黒に
手を出すのは
しおりを挟む「回収してきたよー」
「帰ってきたか。しかし、本当にこんな石が蘇生魔法に使えるのだろうか......魔力のかけらも感じない」
「そう言うな、クレイ。魔力のかけらも感じない石。これが素材どころか、魔法の中核レベルで必要な素材らしい」
クレイ、と呼ばれた大男は、その言葉を聞いてまじまじと石を見る。
やはり、魔力のかけらもない。全く理解できないと分かっていても、気になってしまうものだ。
「それで、ほかの素材は」
「あるわよ。とは言っても、一般人にはかけらでさえ到底手が出せないような代物だけど」
ま、私たちにかかれば、と言いながらその石を用意していた魔法陣の中心に置いた。
皆が見守る中、その魔法は起動する。
「蘇生魔法――――起動」
その瞬間、少しずつ、しかし確実に魔力が動き出し、魔法陣は幾重にも展開されて回転する。
「さて、それじゃあ行こうか」
魔法陣を起動したのにも関わらずけろりとした表情で、彼女はそう言った。
皆もそうなることがまるでわかっていたかのように、その場を後にした。
全ては、目的を叶えるために。
「私たちの目的を完遂するには、サンライズの力は大きな助けになる。取れる選択肢は全て選んでいこうじゃないか」
そう覚悟を決めた様子でその金髪の女性は、街に舞い降りた。
天星教団から襲撃を受けてから数日後。
「ガイア、どうしたの?」
「......いや、なんでもない」
ガイアはこの瞬間、何かを感じ取っていた。が、それも気のせいだと切り捨てると、次を見据えて行動する。
「次、敵が天星教団なら、私たちは圧倒的に実力不足」
「本当に天星教団だったらやばいところを敵に回してるよ......」
そう、天星教団というのは世間の常識的にはいかれた宗教団体。
「違う。私たちが敵に見据えているのは本当の天星教団」
「本当の? それじゃあいかれた人たちは偽物ってこと?」
「そう」
そう言って彼女は遠くを見た。
「行動に一貫性がない。ライズ先生は自分からことを荒立てることはなかった」
「確かに、そうだね」
いつも向こうから面倒ごとが歩いてくる体質なのだろうか、とも推測してみたが、それはもういいや、とガイアが思考を終えた。
「それで、どうするの? 本物が敵なら、それこそライズ先生をたくさん相手にするってことだよね、力なんて......」
エアリには見えない道。だが、ガイアは一筋の光を見ていた。
「一つある。ライズ先生が前言っていた。別名『英雄武器』――――」
「あ、あの......」
二人はいつかの授業を思い出していた。
いつか目指せと言われていたその力を。
「心象武器を手に入れる」
ガイアは次の行動を決定した。
「とはいっても......」
そう、心象武器というのはライズが軽ーく説明をしていて、ライズ自身が持っていたために身近に感じているが、その正体は英雄が覚醒するときに持つような武器。いわゆる覚醒者は国単位で管理されるくらいの英雄だ。
それを手に入れるなんて、それこそ火事場の馬鹿力みたいなもんだ。
「でも、それ以外に力を一気に手に入れる方法なんて、悪魔召喚程度」
悪魔召喚は禁呪だ。召喚者は契約の代償で魂を持って行かれるが、その後悪魔は魂を求めて大暴れする。手を染める人こそ多いが、全て例にもれずその後街や場合によっては国が滅んでいる。
「それは駄目だね......」
流石のエアリも悪魔召喚に手を染める気はない。
早急に、というならもしかしたらあったかもしれないが、天星教団とことを構える日程が決まっておらず、また形見を取り返したいというだけ。国を代償にするほどではないと冷静に判断していた。
「それなら、どうするの? 誰かに教えてもらわないことには、何も得られないと思うの」
エアリは焦りを見せる。
が、ガイアは終始冷静に話をする。
緊急ではないとなると、他国に行くのは論外。となると――――
「国内の英雄」
ガイアは、ある人をターゲットに動き始める。
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