英雄教科書

大山 たろう

文字の大きさ
45 / 48
四章 空は夜に、少女は黒に

今見えているのは、夢か、現か。

しおりを挟む
 
「それにしても、どうやって戦争に参加するの?」

「簡単。志願兵制度がある」

 そう、この国が戦争を行うときは必ずと言っていいほど志願兵を募集していた。
 それは一番槍を切らせるための物量を求める国側と、英雄願望が強かったり、成り上がりたい人だったりと、手柄を上げたい民間側の(一部の)意見が合致した結果だった。
 そのせい、と言うべきか、そのおかげ、と言うべきなのか、正規軍の死者は少なく、戦争も勝ち続きだった。もちろん、兵力だけでなく軍事的な魔法開発も関わっているけれどまぁ、それはさておき。

「志願兵かぁ......少し怖いな」

 もちろん、志願してくるのだろう? と、国側は何もしてこない。援助することはなく、指示を出すこともない。これが吉と出るのか、凶と出るのか。それはその人次第の面が強かった。

「援助が出ないから、自分で装備を用意できる。私はこれを使えるならいい」

 ガイアはそう言って、自身の持つ棒を掲げた。

 魔法的な補助をこれでもかと積み込んで、なおかつ表面部の高度も最高度まで高めた、ガイアの傑作。
 何故こんなものが作れるのかと言うと......才能と財力の面が大きいだろう。
 これでもガイアは、学園でも上位数パーセントに数えられるほどの実力者である。当の本人は隣に記憶力の化け物がいるため謙遜しているが。

「なら、私も何か......」

 そう言おうとしたところで、思いとどまった。

「両親が、気になる?」

 もちろん、遊びじゃない。
 これから行くのは戦争、人と人が殺しあう場所だ。
 どれだけの死人が出るか、その先に果たして答えはあるのか。

 天秤で見れば全く釣り合ってなどないと言われるであろうそれに、エアリは頭を悩ませていた。

「うん......そうだね。二人に言ったら、きっと、ううん、絶対に止められる」

「二人じゃなくても。むしろ、ソフィア先生が止めなかったほうが不思議なくらい」

 ガイアは少し驚いていた。ソフィア先生が真っ先に止めに来そうなものだと思っていたからだ。

「ガイアちゃん、どうするの?」

「もちろん、親にも学園にも内緒で行く」

 もちろん、止められるからだ。
 忘れられがちだが、この学園はエリートの集う場所。平民の割合が一割程度しかない、クラス全体で見てもひとりやふたり程度しか存在することを許されない社会なのだ。
 もちろん、平民だろうがエリートはエリートと、ある程度の地位を保証されている。
 が、問題はそこではない。

 学校が、手塩にかけて育てている生徒を未熟なまま死なせるようなことをするわけがない、ということだ。
 もちろん、両親に話が行ったころにはもう王都を封鎖されるぐらいのことはされるだろう。

「......わかった。後悔したくないから、ガイアちゃんについていく!」

「エアリ、本当にいいの?」

「任せて!」

 もう後悔しないと誓った二人。
 しかし、二人一緒に帰還だなんて、そんな優しい話を許してくれるわけがなかった。






――――――――――

 どうも、大山 たろうです。
 全話書き直すため、一月いっぱいは更新を停止させていただきます。
 思えば、プロットを書かなかったのが一番の問題だと反省しております。
 ので、プロットも書きたいので延長するかもしれませんが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
 これからも、大山 たろうをよろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

霊力ゼロの陰陽師

テラトンパンチ
ファンタジー
生まれつき霊力を持たない少年、西園寺玄弥(さいおんじげんや)。 妖怪の王を封じた陰陽師の血を引きながら、彼だけが“無能”と呼ばれていた。 霊術学院で嘲笑され、才能の差を突きつけられる日々。 それでも諦めきれなかった彼の前に現れたのは、王と対立する最強クラスの妖怪――九尾・葛葉。 「貴様の力は、枯れているのではない。封じられているだけだ」 仮契約によって解かれた封印。 目覚める霊力。動き出す因縁。 これは、無能と蔑まれた少年が、仲間と共に妖怪の王へ挑む物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...