英雄教科書

大山 たろう

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四章 空は夜に、少女は黒に

乱入者は唐突に

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「ついてくると良い」

 そう言ってすたすたと、何の迷いもなく歩いていく。

「あぁ、自己紹介を忘れていたね。僕はヴィヌスとでも呼んでくれ」

 ヴィヌスと名乗ったその人は、戦場だろうその土地をまるで朝の散歩のように歩いていく。
 もちろん魔法が弧を描いて飛んでくることもあるが、それが何かの斥力に阻まれて消えていくその様を見て、二人は絶句するしかなかった。

 戦争で一番人を殺すだろうその力ですらも、彼女には傷一つ与えられない。
 その事実を知るだけで、相手の恐ろしさが理解できた。

 そしてやがて何もない小高い山で足を止めると、手をかざす。

 すると、そこから隠し部屋が飛び出した。

 こんな国境の狭間の、目印もないところにこんなものがあっては、誰も拠点を見つけられないわけだ、と二人は納得した。するしかなかった。

 やがて一行がある部屋に足を踏み入れた。、

「さて、儀式も最終段階だ」

 そこにあったのは見つけるのがとても困難とされた素材の数々、そして誰が討伐したか謎に包まれていた強力な敵の体の一部、そして何より、異常なほどに高まった魔力。
 何もかもが規格外。そう言葉にすることしかできなかった。

「最後に使う物を――って、また面倒な」

 何かを見つけたように、顔をしかめながら何もない天井を見上げる。
 その何かが分からず、漠然とした不安だけを抱きながら同じようにその方向を見上げた。

 そして、魔力感知に長けたガイアが先に気付いた。

「あれは......」

 そして見上げた。

 地面の底、魔力に満ちた部屋だというのに、その存在がはっきり感じられるほどに濃密な力を持つ敵。
 そしておそらく、この儀式自体を破壊するほどの影響力を持つ敵だった。

 その敵が戦争に乱入、一気に三つ巴の乱戦となることは想像に難くなかった。
 それほどの絶対的な力を知っている。
 その戦い方を知っている。

「フェニックス......」

 奇しくも、その敵は彼女らにとって並々ならぬ縁があった。
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