Dal Segno ~異世界転移した俺は、自分の願いを叶えるために何度でもやり直す~

大山 たろう

文字の大きさ
11 / 23
第二章

2-4 裏返った好感度は確実に爪を剥く

しおりを挟む
 俺はなすすべなくその攻撃をもろに受け、その体を爆発四散させた。



「は......こんなに貧弱だと......」



 少しショックを受けているようだが、俺はあいにく死ねないのでね。



 結構な激痛だったが、我慢できないほどではない。なにせ一瞬痛かっただけで、今は脳内の興奮物質みたいなのがドバドバなのを感じているからだ。

 どこに意識が存在しているかはわからないが、俺の肉体だったタンパク質がそこら中に転がっているのが見える。



「と、十時君!」



 折原さんが叫んでいるのが見える。心臓に悪いだろうから早く戻りたいけど、まさか再生能力が入ってない、なんて言わないよな......



 とか考えていたところで、少しずつ、肉片が動き出す。まるで時が戻るようにして、あるいは設計図の通りに並べられるように、意味をなさなかったタンパク質が意味を成す位置に置かれた。



「さて、これでどうですか」



 俺は唖然としている教官の首筋に剣を当てて、そう言ってやる。



「は、はは、こんなスキルまで存在しているとは。異世界の人間はやはり、侮れない」



「ほう......それで、私は合格で?」



「あぁ、合格だ」



 そう言われたので俺は剣を下す。殺してしまったと唖然としているのであれば、それは不意をを突いたということで許してくれるだろうと踏んでいたから、まぁ良い結果で終わったのではないだろうか。



「それでは、個人練習に移る。どんどん練習してくれたまえ」



 そう言った途端、みんなは走り出して場所を確保した。

 その中で、俺に近づく影が三つ。



「面貸せよ、俺のスキルは知っているだろ?」



 その言葉だけで、俺は従わざるを得なくなる。

 彼のスキルは破壊。物を、そして人を壊すことに特化するであろう能力を持っている彼に逆らえば、スキルレベルが上がったときに何をされるか分かったものじゃない。

 ちなみにスキルの詳細はさっき戦闘訓練をしたときに意気揚々と語っていた。不用意に話すなとあれほど言われていたっていうのに。はぁ、こんなバカが力を持つと大変だ。



「あぁ、わかった」



 そんな思考をしながら俺はまたも、裏に連れていかれる。



「さて、潰すか、今日も折原さんから離れなかったからな!」



「あぁ、本当にむかつくぜ!」



「ふっ、折原さんを諦めなかった自分を恨むんだな!」



 やはり折原さん関係らしい。彼女は結構な戦力だから、下手な言い方をすると手放したくない、うまく言っても協力関係という、彼らにはどちらでも関係ない言葉しか出てこない。



「『破壊』」



 先ほど自信満々に語っていた。lv1効果、何でも壊す能力を発動させる。ステータスを参照して成功率が左右されるらしい。彼はそのステータスに関しては自身があるんだろう。

 俺の体はいとも簡単に破壊され、血肉をまき散らした。



「ははっ、これでも蘇るんだろう? だから拷問するしかないんだよ! やれ!」



「あぁ! 『夢幻』!」



 一気に周囲の視界が変わる。

 暗い部屋で椅子に縛り付けられ、身動き一つとれない。おかしい、俺の体は爆発四散したはずなのに。

 先ほど、破壊の彼とは違って詳細まで語っていなかったから、よく覚えていなかった。まぁ、この効果から察するに、夢の世界で悪夢とかを見させられるんだろう。目の前にいる骸骨の男が、ペンチをもってこちらに近づいてきた。何をするのだろうか。



 メチメチメチッ......バキッ。



「うああああああああ」



 痛い、痛い、痛い。

 視線を下げると、そこには血を垂れ流した指先が。どうやら爪を剥がれたようだ。

 さっき死んだときはこんなに痛みが長続きしなかったのに。どうしれこれだけ弱い攻撃で、しかも夢の世界で痛みを感じるのだろうか。

 思考がまとまらない。問題点が浮かんではすぐに激痛にかき消され、また解決策が浮かんでもすぐに苦痛に飲み込まれる。結果何も行動を起こせず、また爪を剥がれる。

 そんな永遠に続くと思えた拷問は、突如終わりを迎えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない

戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――! 現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、 中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。 怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として 荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。 だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、 貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。 『良領主様』――いや、『天才王子』と。 領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、 引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい! 「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく! ――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚! こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています 是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

暗算参謀は王国を追放される――戦わずして勝ち続けた男の失脚譚――

まさき
ファンタジー
現代日本から異世界へ転生した主人公。 彼に与えられた唯一の能力は、瞬時にあらゆる数値を弾き出す「暗算」だった。 剣も魔法も使えない。 だが確率と戦略を読み解くことで、王国の戦を幾度も勝利へ導いていく。 やがて王国の戦略顧問として絶大な信頼を得るが、 完璧すぎる功績は貴族の嫉妬を招き、巧妙な罠により不正の罪を着せられてしまう。 証明できぬ潔白。 国の安定を優先した王の裁定。 そして彼は、王国を追放される。 それでも彼は怒らない。 数字は嘘をつかないと知っているからだ。 戦わずして勝ち続けた参謀が、国を去るその日までを描く、 知略と静かな誇りの異世界戦略譚。

筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~

九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。 ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。 そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。 しかも精霊の力に満たされた異世界。 さて…主人公の人生はどうなることやら。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...