Dal Segno ~異世界転移した俺は、自分の願いを叶えるために何度でもやり直す~

大山 たろう

文字の大きさ
21 / 23
第二章

2-3 想像はいつも穴だらけ

しおりを挟む
 街に着き、一息ついたところで、後方から爆音が聞こえる。
 とてつもない大きな音ではなく、単純な、しかし重なり合った爆発音だった。

「わわっ、何があったのかな」

 折原さんは大きな音にびっくりしているようだ。そして王城の様子を見て唖然としていた。
 そりゃそうだ。ついさっきまで自分がいたところが突如爆発したのだから。

「一回王城に戻ろう!」

 そこで俺は失敗をしたと初めて気づいた。
 そうだ、そりゃそうだ。自分が世話になった人が残っている、単なる好奇心や興味、理由は様々だが、四十人いるクラスで王城にいかない人がいない訳がないじゃないか。

「そうだね、すぐに向かおうか」

 その現場に俺はいかざるを得ない。
 こっちで待っていても、結局誰か死んでまたやり直す羽目になる。
 その前に、王城の中に誰か入る前に、俺が干渉しないと。

 走って向かった。体力が回復してなかった折原さんを置いてでも、俺は王城へと向かった。
 幸い、と言うべきか、まだ街に着いたばかりだったから一番乗りのようだ。

 中の様子を見る。まぁ、見たとおりだ。前とは少し違って助かっているけど。

 王城の門の中、そこには生命体が存在しないからか、着陸してから停止している魔物が数十体ほどいた。中には着陸点を探して空中で待機している個体までいる。

 二番は折原さんだったようだ。これでよし。
 というのも、俺が一人の時に折原親衛隊が来たら、どうあがいても止められない自信がある。
 適当なことをいえば嘘つけと押し通って死ぬだろうし、ほんとのことを言っても嘘つけと押し通って死ぬ。
 約束を取り付けても、命令を受けていると言っても、どうやっても無理だ。
 好感度パラメータが存在したら、きっと彼らの俺に対する好感度はゼロに等しいから。
 それに比べ折原さんなら、クラスメイトとの交流も多く、信頼関係を築けている。俺と違って。
 なら、俺は折原さんを説得するだけだ。

「折原さん、こんな状況になってる。外に出てくる様子はないけど、こっちから攻撃したら反撃してくるかもしれない。王城から少し離れていよう」

「......中の人は」

 やはり、ネックはそこだ。
 彼女は優しい。優しすぎる。
 数日間、共にしただけの人が命の危機かもしれない、となっただけで、自分の命を懸けてしまう。
 それは英雄願望とかの、欲望まみれた理由じゃない。ただ、自分がそうするべきだ、という信念に、正義にしたがって行動する。
 俺も、元の世界で無償の奉仕、ボランティアならする。けど命を懸けろと言われたら即座に逃げる自信がある。
 これが俺と彼女の決定的な違い。わかっていた。策もない。信じてくれと、そう言うしかない。

「それなら、俺が入る。どうなるかわからないから、少し離れていて」

 最初からこの問題に言葉が通じるとは思っていない。
 だから俺が行く。唯一、死んでも戻れるから。

「一人で行くの!? それなら私も行く!」

「俺は死なないんだ、安心して」

 がっ、と両肩をつかまれた。
 一気に焦りの表情を浮かべていたが、俺のスキルだと分かると俺を抑えていた手を離した。

 これで、俺のスキル情報がバレる。少なくともクラスメイト、下手をすれば敵陣営に。

「それでも、なりふり構っている暇はない」

 俺は、すぐに門を抜け、王城敷地内に侵入した。
 すぐさま、敵が反応した。やはりというか、助かったというか。王城内の異世界召喚者、若しくはもっと広げて人類を攻撃するように指示されてたんだろう。

「手前で......ここ!」

 俺は渾身のグーパンを食らわせる。が、ぴくともしない。右足を思いっきり腹に入れたが、一歩も後ろに下がる様子はない。

「まじか......おりゃグペッ」

 一撃。右手を振っただけで俺のHPは全損した。首にクリーンヒットだった。
 まだ、一撃分残っている。今使ったのは即時復活だ。まだ、まだなんとか......

 ぐちゃ。

 そのまま流れるようにして敵のしっぽが俺の腹部に命中、俺の体は頭部が吹き飛び、体は四肢がもげ、臓器をまき散らした。
 頭部が近くの木に当たる。折原さんが衝撃を受けているのが見えている。が、俺は何も言えない。

 おーい女子B、早く来てくれー

 なんて言ってみるが、届いている気はしない。
 というか、ここで死んだら四天王二人、どうしよう。

「何があったの......って、死んでるのね」

「あ、でも、彼は死なないって」

「そうみたね、霊魂が見えるもの」

 都合よく三番目は女子B。助かった。
 というかこの様子ならほかのやつらが来る心配はないんじゃないか?

 とりあえず、魔王軍の四天王が二人、飛んでくるかもしれないから、俺の体を無理やり操ったりとかして、街に撤退できないか?

「やってみる」

 女子Bが俺の体に対して魔法を使った。
 その瞬間、ぐちゃぐちゃと肉がもまれる生々しい音を立てながら、俺の体は何一つ正しくない位置で固定された。
 臓器が腕の部分についてる。え、そんなことできるの。

「できた。撤退する」

 情報のソースなどを聞くことはなく、女子Bと折原さんは王城門の外から離れる。俺の体も、女子Bに引き付けられている。

 そこに折原親衛隊が登場した。

「王城で何が! ってそれは......」

 もはやそれ、と呼ばれるほどに、俺の外観は醜悪か? あぁ、醜悪だった。臓器が丸見え血ドロドロのあたり。
 というか、何人か吐いてる。死んでるのを見るのは初めてか。俺はたくさん見てきた。主に前周回で。

「死んでた十時君。今は私のスキルで動かしてる」

「あぁ......そうですか。折原さんをかばって......」

 ん? どうやら勘違いをしてくれている。が、俺の好感度が上がりそうだから助かる。

「王城には入らないでって、全員に教えてあげてくれないかな。十時君、抵抗できずに死んじゃった」

 死なない、とは言われたものの、この現状を見るとどうにも信じがたいと思うのも必然だろう。折原さんは泣きながらそう言っていた。

 うん、助かる。こうしてくれると折原親衛隊も扱いやすい。

「折原親衛隊って......」

「どうかしましたか」

「なんでもない」

 女子Bが俺の言葉に反応して笑いをこらえていた。俺の声はやはり女子Bにしか聞こえないようだ。

 と、王城を見ると、空中に二人の男がいるのが確認できた。

 ! 姿を隠せ!

「みんな、どこかに姿を隠して」

「あ、あぁ、分かった、それなら俺はほかのクラスメイトに言ってくる」

 そう言って折原親衛隊は散開し、街に広がった。
 そして折原さんと女子B、そして化け物の俺は街の裏路地の入口に隠れた。

「それで、どうしよっか」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...