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第1部 邂逅編
第18話 蛮行の後、深まる絆
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私がメイドさんの無惨な死を見て、私の中で何かがキレてから数時間経った。
何故かキレている間の事は覚えていないのだが、怒りで帝国軍のMGT操縦者を死なせた事だけは覚えている。
その後、メイドさんの死のショックで私は格納庫に置かれたアパタイトのコクピット内で引きこもっている。
メイドさんだった人の遺体は、軍の別の部隊の人達が処理している最中だと、今現在傍にいてくれているアルムが教えてくれた。
「あっ、今来ては……!」
「ルクレチアお姉ちゃん、ううっ!!」
「どうして、どうしてぇっ!!」
「運べってんだ! 早く!!」
「は、はいっ!!」
遺体となったメイドさんの名は、ルクレチアという名前だったらしい。
彼女を慕っていた後輩メイドや同僚メイドが泣き崩れ、遺体の処理を担当している部隊の隊長が早く運べと他の隊員に指示を飛ばす光景をコクピット内で膝を抱えながら見ていた。
「辛いな……」
「はい……」
ようやく口を開いたアルムからの言葉はそれだった。
やはり軍人だろうと、あんな死にかたは見てて辛いのだろうか?
「君の今の状態では、ある話をしない方がいいだろうな」
「いえ、話してください」
アルムが私の精神状態に気を遣って、彼が得た情報を話すのを後回しにしようとしてくれていた。
しかし、私はいずれは知る情報だからと、アルムの顔を見ながら話して欲しいと伝えた。
「今回の南部から帝国軍のMGT部隊が襲撃してきた件は、国王様が司令官経由で大臣と多数の家臣達が関わっていたという情報だ」
やはりそうだったか。
私を帝国に身売りしようとする位の奴らだから、どこかで帝国と繋がっていても不思議じゃなかった。
それがやっと明るみに出たという事なのだろう。
「国王様がステルス魔法の付加に成功した使い魔を放ち、大臣達の密会の様子を捉えたとの事。 また、ルクレチアというメイドの女性が盗み聞きしていた事を大臣が知っており、口封じに帝国に殺害させるつもりだったらしい。 奴らは彼女の動きを予め見張っており、一番隙が生じる所で帝国にサインを出して仕込むつもりでいたという話だ」
吐き気がする程の邪悪な大臣達の計画がアルムから聞かされる。
隙が生じるといえば、おそらくトイレに行く時だ。
奴らはそれを見張り、帝国にサインを出して、トイレに行くつもりだった彼女を握り締めて、そのまま殺したんだ。
それを聞けば聞くほど腹が立つが、同時に涙が止まらなくなってくる。
僅かな時間だったけど、私と話した彼女の顔を思い出すだけで……。
「ルキア、今は泣いていい」
止まらなくなってくる涙を隠そうと顔を伏せる私に、アルムから泣いていいと言われて、ハッと顔を上げる。
「君は別の世界から来てそんなに経ってないのに、あの蛮行まで見てしまったんだ。 軍人で大尉だから何とか冷静を保っているが、内心じゃ冷静でいられない位だったよ」
「大尉……」
「辛いのは我慢する必要はない。 泣きたい時は泣いてしまった方がいい。 俺が受け止めてやるからさ」
アルムの不器用ながらも優しい言葉に私の心の堰が決壊した。
「わぁぁぁぁぁぁ……っ!!」
周りに響くほどの声を上げて、アルムの胸を借りて私は泣いた。
今までの事でもずっと一人で耐えてきたが、ルクレチアさんの無残な死でそれができなくなったのだから……。
「ルキアさん……」
「見た目しっかりしてても、やっぱり辛かったのね。 別の世界から来て巻き込まれたようなものだし」
泣いている私には分からないかったが、この時にフェリア軍曹とミュリア軍曹も見ていたという。
私はアルムに抱きしめられながら、気の済むまで泣き続けたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うぅぅ、ごめんなさい……」
「構わんさ。 ルキアの場合はさっきも言ったがこの【マナトピア】に召喚されてから内心落ち着かなかっただろうし。 でも、スッキリしただろう?」
「確かに、そうですね」
泣き止んだ私は、ずっとアルムの胸を借りたままなのに気付いてすぐに胸から顔を離した。
これが他の人に見られてるんじゃという事を思い出したら恥ずかしくなったので、すぐに謝ったが、確かにアルムの言うように今までの分を精一杯泣いたからスッキリした感覚もあった。
「私を受け止めて下さってありがとうございます、アルム大尉」
「ああ。 だけど、ルキアは俺を呼ぶ時はプライベートの時なんかでは呼び捨てでいいぞ」
「ええっ!? 恐れ多いですよ!」
私がお礼を言った時に、彼からまさかの呼び捨てでいいって言われた事に驚いてしまう。
仮にも私は保護されてる者であると同時にアルム小隊の一員なんだし、他の隊員に申し訳が立たない。
「他のみんなからもプライベートの時とかはそう呼んでもらってるしな。 今は処理も終わってプライベートの時間だからな」
「わ、分かったよ。 改めてありがとう、アルム」
「よし、今日は気分転換に王都の無事だった部分を散策しようか。 おすすめの場所もあるし」
「いいの?」
「もちろんさ」
「じゃあエスコートお願いしようかな……。 あ、その前にトイレ……」
「8番デッキにアパタイトを置いてるから降りたらすぐだ」
「あ、ここ8番デッキだったのね。 じゃあ行ってくるよ」
安心したことで気が抜けたのか、またしても急にトイレに行きたくなったが、丁度アパタイトが置かれている場所が8番デッキだったようですぐにトイレが見えた。
私は小走りでトイレを済ませ、今度こそアルムと町の散策に出かける事にしたのだ。
何故かキレている間の事は覚えていないのだが、怒りで帝国軍のMGT操縦者を死なせた事だけは覚えている。
その後、メイドさんの死のショックで私は格納庫に置かれたアパタイトのコクピット内で引きこもっている。
メイドさんだった人の遺体は、軍の別の部隊の人達が処理している最中だと、今現在傍にいてくれているアルムが教えてくれた。
「あっ、今来ては……!」
「ルクレチアお姉ちゃん、ううっ!!」
「どうして、どうしてぇっ!!」
「運べってんだ! 早く!!」
「は、はいっ!!」
遺体となったメイドさんの名は、ルクレチアという名前だったらしい。
彼女を慕っていた後輩メイドや同僚メイドが泣き崩れ、遺体の処理を担当している部隊の隊長が早く運べと他の隊員に指示を飛ばす光景をコクピット内で膝を抱えながら見ていた。
「辛いな……」
「はい……」
ようやく口を開いたアルムからの言葉はそれだった。
やはり軍人だろうと、あんな死にかたは見てて辛いのだろうか?
「君の今の状態では、ある話をしない方がいいだろうな」
「いえ、話してください」
アルムが私の精神状態に気を遣って、彼が得た情報を話すのを後回しにしようとしてくれていた。
しかし、私はいずれは知る情報だからと、アルムの顔を見ながら話して欲しいと伝えた。
「今回の南部から帝国軍のMGT部隊が襲撃してきた件は、国王様が司令官経由で大臣と多数の家臣達が関わっていたという情報だ」
やはりそうだったか。
私を帝国に身売りしようとする位の奴らだから、どこかで帝国と繋がっていても不思議じゃなかった。
それがやっと明るみに出たという事なのだろう。
「国王様がステルス魔法の付加に成功した使い魔を放ち、大臣達の密会の様子を捉えたとの事。 また、ルクレチアというメイドの女性が盗み聞きしていた事を大臣が知っており、口封じに帝国に殺害させるつもりだったらしい。 奴らは彼女の動きを予め見張っており、一番隙が生じる所で帝国にサインを出して仕込むつもりでいたという話だ」
吐き気がする程の邪悪な大臣達の計画がアルムから聞かされる。
隙が生じるといえば、おそらくトイレに行く時だ。
奴らはそれを見張り、帝国にサインを出して、トイレに行くつもりだった彼女を握り締めて、そのまま殺したんだ。
それを聞けば聞くほど腹が立つが、同時に涙が止まらなくなってくる。
僅かな時間だったけど、私と話した彼女の顔を思い出すだけで……。
「ルキア、今は泣いていい」
止まらなくなってくる涙を隠そうと顔を伏せる私に、アルムから泣いていいと言われて、ハッと顔を上げる。
「君は別の世界から来てそんなに経ってないのに、あの蛮行まで見てしまったんだ。 軍人で大尉だから何とか冷静を保っているが、内心じゃ冷静でいられない位だったよ」
「大尉……」
「辛いのは我慢する必要はない。 泣きたい時は泣いてしまった方がいい。 俺が受け止めてやるからさ」
アルムの不器用ながらも優しい言葉に私の心の堰が決壊した。
「わぁぁぁぁぁぁ……っ!!」
周りに響くほどの声を上げて、アルムの胸を借りて私は泣いた。
今までの事でもずっと一人で耐えてきたが、ルクレチアさんの無残な死でそれができなくなったのだから……。
「ルキアさん……」
「見た目しっかりしてても、やっぱり辛かったのね。 別の世界から来て巻き込まれたようなものだし」
泣いている私には分からないかったが、この時にフェリア軍曹とミュリア軍曹も見ていたという。
私はアルムに抱きしめられながら、気の済むまで泣き続けたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うぅぅ、ごめんなさい……」
「構わんさ。 ルキアの場合はさっきも言ったがこの【マナトピア】に召喚されてから内心落ち着かなかっただろうし。 でも、スッキリしただろう?」
「確かに、そうですね」
泣き止んだ私は、ずっとアルムの胸を借りたままなのに気付いてすぐに胸から顔を離した。
これが他の人に見られてるんじゃという事を思い出したら恥ずかしくなったので、すぐに謝ったが、確かにアルムの言うように今までの分を精一杯泣いたからスッキリした感覚もあった。
「私を受け止めて下さってありがとうございます、アルム大尉」
「ああ。 だけど、ルキアは俺を呼ぶ時はプライベートの時なんかでは呼び捨てでいいぞ」
「ええっ!? 恐れ多いですよ!」
私がお礼を言った時に、彼からまさかの呼び捨てでいいって言われた事に驚いてしまう。
仮にも私は保護されてる者であると同時にアルム小隊の一員なんだし、他の隊員に申し訳が立たない。
「他のみんなからもプライベートの時とかはそう呼んでもらってるしな。 今は処理も終わってプライベートの時間だからな」
「わ、分かったよ。 改めてありがとう、アルム」
「よし、今日は気分転換に王都の無事だった部分を散策しようか。 おすすめの場所もあるし」
「いいの?」
「もちろんさ」
「じゃあエスコートお願いしようかな……。 あ、その前にトイレ……」
「8番デッキにアパタイトを置いてるから降りたらすぐだ」
「あ、ここ8番デッキだったのね。 じゃあ行ってくるよ」
安心したことで気が抜けたのか、またしても急にトイレに行きたくなったが、丁度アパタイトが置かれている場所が8番デッキだったようですぐにトイレが見えた。
私は小走りでトイレを済ませ、今度こそアルムと町の散策に出かける事にしたのだ。
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