魔導戦記マギ・トルーパー

イズミント(エセフォルネウス)

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第2部 激戦編

第42話 ルキアのピンチ、そして

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「あそこね……!」

『そのようです。 多分指揮官機というのはあのフォルムの奴でしょう』

 アルム小隊、ブリューナク、魔法少女部隊、そしてリュート小隊と共に出撃した私は、モニター越しに帝国軍のMGTを見る。
 その中に緑色の機体が指揮官機なのだろうか?
 手には剣ではなく、【カタナ】という反身の武器を持っており、背中に二つランチャーみたいなものがある。

『対応が早いな。 流石と言う所か』

『お前が指揮官機の操縦者か?』

 帝国軍の緑色のMGTから広域のスピーカーで声が発信される。
 指揮官機の操縦者の声だろうか、その声色は男性だった。
 アルムも訝しんだ様子で聞いていた。

『そうだ。 私はフォルス・ノーヴァー。 この緑の機体……【フォレストグリーン】の操縦者だ』

「フォレスト……グリーン」

『私の目的はお前たちの足止めとそこのオーパーツと操縦者の娘の確保だ』

「……っ!!」

『我々の足止めとルキア嬢の確保だと!?』

 フォルスという人物の目的が足止めだけでなく、私とアパタイトの確保もだとは……。
 それを聞いた私は寒気に見舞われる。

『キスク皇帝は、オーパーツも帝国の管理下にあるべきとおっしゃっている。 なのでそのオーパーツをこちらに返してもらおう』

『ふざけないで! 元々オーパーツはファシナシオン領内で発見されたモノなんですよ!!』

『それを勝手に帝国の物だと言うのなら……傲慢もいいところだ』

 フォルスの発言を聞いて怒り心頭のマイア王女とその発言を傲慢と断ずるジョージ中尉はなかなかに肝が据わっている。
 私は寒気がおさまらないのか、何も言えないのだけど。

『他国の批判など知った事ではない。 この世界はキスク皇帝自身がルールなのだ。 さぁ、オーパーツと娘をこちらに……』

「断る」

『む?』

 流石に続けてフォルスが言ってた発言に私は怒りが込みあがる。

「黙って聞いていれば勝手に自分ルールを持ち上げるとはね。 そんなあんたらにアパタイトは渡さないわ!」

『言うじゃないか、ルキア』

 アルムも心配そうに私を見ていたが、さっきの私の発言で安堵したみたいだ。

『ならば、力ずくでもそれを成す! 行け、我が部隊よ!』

『来るぞ! ルキアを守りながら戦うぞ!』

『了解だ!』

『分かりましたぁ!!』

 フォルスが戦闘開始を宣言したと同時に14機のMGTも行動を起こす。
 アルム、ジョージ中尉、マイア王女が私を守るようにしてフォルスと対峙する。

『デバイスッ!!』

『なんのっ!!』

(速い!?)

『ルキアさんッ!!』

 アルムがマギ・デバイスを仕掛けてかく乱させてくるが、フォルスはそれを難なく躱す。
 そしてそのまま私に目掛けて刀を振るう。

「うぐっ!?」

『ほぉ、このムラマサブレードを防ぐとはな……うおっ!?』

「あんたと話している暇はないのよ!!」

『やるな! だが……』

『させんよ!!』

『くっ!』

 咄嗟に出したシールドでムラマサブレードというカタナを防いだところにファイアバレットライフルで距離を取る。
 ゼネアのノベンバーより装甲が厚いのかあまりダメージを与えられていないが、まずは距離を取ることが最優先だ。
 そこにジョージ中尉がマギ・スパイクでフォレストグリーンの腰の部分を撃ち貫く。

「アパ子、フェリア軍曹たちは?」

『14機のMGTと力を合わせて戦ってます。 あっちは大丈夫でしょう』

 アパ子にフェリア軍曹たちの様子を確認させてもらったが、あっちは大丈夫のようだ。

『ルキアさん、大丈夫ですか!?』

「ええ、何とか」

『なら、私達で連携しましょう。 アルムさんとジョージさんも仕掛けています』

「了解」

『そうはさせん! これで!!』

『ルキア、マイア王女! 避けろ!! ショルダーキャノン砲が撃たれる!!』

「え……!?」

 アルムが叫んだ瞬間、背中に背負った二つの物が……キャノン砲がこっちに向けられた。
 同時にそれが発射された。

「きゃあぁぁぁぁっ!!」

『ああぁぁぁぁっ!!』

『マスター!!』

『ルキア嬢、マイア王女!!』

 私もマイア王女もさっきのキャノン砲を避けられるはずがなく、直撃を受けてしまう。
 そのまま吹き飛ばされ、思いっきり倒れてしまう。
 機体もかなりの損傷を受けてしまっており、その損傷率は70%を超えている。

「うぐ……、ぅ……」

『これで邪魔をする者はいない。 さてオーパーツを運んでいこう』

(連れ去られる……!? 嫌だ……、そんなの……)

 いつの間にか私の傍に現れ、私ごとアパタイトを運ぼうとするフォルス。
 抵抗したいが、さっきので身体を打ってしまい痛みが走る。
 アパ子もさっきので気を失っている。
 このままでは……帝国に連れ去られる……、そう思った瞬間だった。

『ソウジュウシャノキキヲカンチ、ソウジュウシャノキキヲカンチ』

「え?」

 不意にコンソールから何らかの文字と音声が響き、痛めた身体を起こす。
 何が起こって……?

『オーパーツが光って……!? 何が起こっている!?』

 フォルスも何が起こっているのか理解が追い付いていない。
 あの男の視点では、機体が光っているように見えている。

『テキタイセイ、スグソバニカンチ。 ソウジュウシャノキキトハンダン』

「操縦が受け付けない!? ま、まさか……!?」

 急に起き上がるような動きを見せて来たので、止めようと思ったが何故か操縦が受け付けない。 
 そして、コンソールから流れる無機質な音声はこの言葉を発した。

『エマージェンシーシステム、キドウシマス』
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