魔導戦記マギ・トルーパー

イズミント(エセフォルネウス)

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第2部 激戦編

第47話 内乱介入

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『ブリッジより各位へ。 間もなくフィーアクロイツ共和国の首都に近づく。 首都付近は戦闘が行われているので、準備が完了した機体からすぐに出撃を』

 リーゼと再会してからここまで、幸い帝国軍の足止めを食らうことなくフィーアクロイツ共和国の首都付近まで来ることが出来た。
 だが、既に首都付近で辺境の部隊とフィーアクロイツに滞在している連合軍が政府側として戦闘を行っているらしい。
 なので、準備が完了したアルム小隊から先に出撃する事に。

『ルキア、そっちは大丈夫か?』

「ええ、アパタイトは問題ないわ。 いつでも出れる」

『魔法少女部隊やブリューナク、リュート小隊は少し時間が掛かるみたいなので、私達が先に出撃ですかね』

『ああ。 だが、三番艦からも部隊が出撃するから、そっちとも連携して戦っていこう』

「了解。 アパタイト、出ます!」

 格納庫のデッキから私が先に出撃する。
 続いてアルムやフェリア軍曹、ミュリア軍曹、カロン軍曹という順番で出撃した。
 一方、三番艦からも部隊が出撃しており、その中に見たことのないMGTがあった。
 リーゼが設計したというMGTなのだろうか?

『いやー、それがルキアが乗ってるアパタイトか。 青みがかかった色に華奢なフォルムがイカすね』

「そういうリーゼこそ、それが貴方の機体?」

『そうさ。 ボク用に自分で作り、細かい部分では整備員さん達に手伝って貰ってようやく完成したやつさ。 名前は【フォカロル】だよ』

『名前がやや物騒ですね』

『悪魔っぽい名前ですしねぇ』

 リーゼの機体名にフェリア軍曹とミュリア軍曹が突っ込みを入れた。
 確かに【フォカロル】って異界の悪魔の名前の一つだった気がするしね。
 確か、ソロモンっていうやつの……。

『マスター! こっちに攻撃を仕掛けて来る機体が!』

「早速!?」

『多分、俺達も政府側の援軍だと思われているだろうな』

 色々考えていたら、辺境の部隊の一部がこっちに攻撃を仕掛けて来た。
 多分、政府側の援軍だと思われたのだろうとアルムは予想する。

『帝国の第一皇子を匿う政府の味方をする者は死ねぇ!』

「帝国と常に激戦続きだからって!」

『ぐぉあっ!』

 私は、襲いかかってきた機体に蹴りを入れて地面に叩き落とした。
 帝国との境界線に近い為に、常に帝国軍との激戦を繰り広げているっていう気持ちは分かるけど、こっちにまで明確な敵意は向けられたくはなかったな。

『貴様……、このグレスコ辺境伯に対して! 何故、帝国の第一皇子を匿う政府に味方する!』

「なるほど、貴方が辺境伯ね。 キスクに追放されて行き場を失ってるその人を匿うのは悪なのかしら?」

『当然だ! こっちは帝国と厳しい戦いをしているのに、政府は第一皇子を匿うと判断したんだ! だから、我々が鉄槌を下すんだ!』

『それが、世界の管理を目論むキスクに与する行為だって、分からないのか!』

『うるさい! 第一皇子を処刑したら、キスクを討てばいいだけの話だ!』

 攻撃を凌ぎながら仕掛けた話は平行線。
 今のやり方が帝国による世界の管理を目論むキスクに与する行為だとアルムは言ったが、グレスコ辺境伯は第一皇子を処刑したら、キスクを討てばいいと返す。
 ここまで過激だとはね。

「予想はしてたけど……」

『本当に分からず屋ですね』

 私達とフェリア軍曹が分からず屋のグレスコ辺境伯に嫌気が指していた時、リーゼからの通信が入ってきた。

『ルキア、やはりその辺境伯からおかしな魔力を感じる。 別れ際にボクが渡したアレを使おう』

「分かったわ、リーゼ。 アパ子、装填は?」

『大丈夫です。 いつでも撃てます』

 どうやら、やはりあの辺境伯からおかしな魔力を感じていたようで、渡して貰った【アンチマギバレット】を使う事に。
 アパ子に確認して貰い、いつでも撃てると言ってきたので、私はファイアバレットライフルを構える。
 リーゼも同様に辺境伯を狙いすますようにライフルを構える。

『いいかい? 狙うは奴の足元だ。 上手くやってくれよ』

「分かったわ。ファイアっ!」

 リーゼとのやり取りの後、ファイアバレットライフルを二人同時にグレスコ辺境伯の機体の足元を狙って撃った。
 炎に包まれた【アンチマギバレット】は、狙い通りに辺境伯の足元に着弾、そのまま小爆発し、紫色の霧が包み込む。

『ぐ、ぐわあぁぁぁぁ!』

 機体の中に入り込んだ霧は、コクピット内のグレスコ辺境伯にも包み込んでいるのかも知れない。
 苦しみによる絶叫が響き渡り……。

『ぐぅ、まさかこのような形で変身魔法を破られるとは……』

(一気に異質な魔力が‥‥!?)

『マスター! グレスコ辺境伯の機体が爆発します!』

 急に異質な魔力を感じたかと思えば、突如MGTが爆発した。
 そして、その爆発の中から現れたのは……二つの角と背中に紫色の羽を持ったロングヘアのイケメン風味の異質な人型だった。

『あれは……、魔族!』

『という事は、魔王軍!?』

 それを見たアルムとミュリア軍曹が驚きの声を上げる。
 私もあの容姿を初めて見るので、開いた口が塞がらずにいる。
 
「仕方ない。 変身魔法が解除された以上、名乗ろうか。 私は魔王軍七大幹部の一人、【変化】のモーシャスだ」

「本当に魔王軍がこの内乱を裏で……!」

『しかも七大幹部とやらがいきなりお目見えとか、これは予想外だねぇ』

 いきなりの魔王軍、そして七大幹部のお目見えとなった事で私もリーゼも予想外だった。
 他の辺境の部隊の兵士達がどんな状態なのかも知らずに。
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