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【第二章】ユウカ・バーレン
【第四話】告白①
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朝の目覚めは意外に悪くなかった。
あんな話を聞かされた後にもかかわらず、わりと気持ちはスッキリしている。
内容はともかくにしても、自分の正体と、これからの目的がハッキリしたからかもしれない。
現時点でやることも決まっている。
情報収集だ。
これからの行動を決めるにしても、何も知らないじゃ何も決められない。
これから生活を続けると共に学んでもいくだろうが、そんな情報は早いに越したことはないのだ。
何事に対しても出来る限り幅広く、詳細な情報が欲しい。
恭司は体を起こすと、グイッと伸ばした。
現在の時刻は5時。
まだ起きて立ち上がるにはいささか早くも感じる時間だが、部屋にいても特にやることはないため、恭司はとりあえず床に足を付けた。
体に痛むところも特には無い。
どうやら傷の方は完全に治りきったようだ。
昨日の実戦で筋肉痛などといった症状も出ていない。
恭司はそのまま足に重心を掛けて立ち上がると、体を全体でグルグルと回して軽いストレッチを行った後、部屋を出た。
コーヒーを飲もうと、リビングへと足を向けた。
こんな時間だ。
まだ二人は寝ているだろう。
だから、ソロリソロリと歩いた。
だが、
リビングに着くと、そこには既に先客がいた。
「ん…………?早いな。もう起きたのかね」
リビングにいたのはアベルトだった。
カップを手にし、コーヒーを飲んでいる。
その横には荷作りを終えたカバンが置いてあり、よく見ると、服装も外出用のものだった。
「もしかして、もう行くんですか?」
恭司は複雑な気持ちでそう尋ねる。
昨日の件で、アベルトに対して苦手な意識が芽生えていることは否めない。
なんせ「お前は危険だ」と真正面から通告され、その場で死刑台にまで送ろうと思っていた人物だ。
初対面で途方も無いほど危険な命令まで受けている。
苦手に感じるのはある程度仕方のないことだ。
だが、
それと同時にアベルトによって死刑を免れているのも事実ーー。
恩人の親で、今後頼りにしなければならない人物であることも事実だ。
だからこそ、
彼がもう行ってしまうことに対して、不安に感じてしまうのかもしれない。
「ん。まぁね…………。これでもなかなか忙しい身だ。昨日もほとんど無理矢理空けたんだよ。自分で助けるように言っておきながら、娘とほぼ一つ屋根の下で同居状態になっている男のことが気になって仕方がなくてね」
「…………すみません」
「謝らなくて良い。まさかその男があの三谷恭司だったなんて予想外もいい所だったが、最終的には私の計画を手伝ってくれるんだ。人柄も意外なまでに悪くなかった。私にとっては良いことばかりさ」
「………………」
嘘が入っている。
昨日、アベルトが恭司に対して向けた目の中には、間違いなく恐れがあった。
不安があった。
それに関する発言まであった。
誤魔化したい訳ではないだろう。
これはおそらく、アベルトから恭司に対しての、『こういうことにする』という意思通達だ。
「さて、それでは私はこれで失礼するよ。まだやり残した仕事がたらふく残ってるものでね…………。それと、言い忘れていたが、この家の物はなんでも好きに使ってくれて良い。ユウカも特に反対することもないだろう。この家を我が家だと思って精一杯くつろいでくれたまえ」
「はぁ…………」
「あぁ、あと…………君のこれからのことだが、まずはユウカと同じ学校へと通ってもらうことにした。昨日も言った通り、詳細はユウカに話してあるから、あの娘にしっかり話を聞いて、二人で活動してくれ。もし分からないことがあれば、あの娘に言えば私に連絡が付くようになっているから」
「…………ずいぶんと、ユウカのことを使うんですね。そこまでのことを任せるには、ユウカはまだ若すぎるように思いますが」
「若さの話をするなら君だってあの娘と同い年だ。それでも、それだけの価値がある。ユウカについても同じことだよ。アレは、ただ若いだけじゃない。それだけのことを任せられるだけの技量と頭脳を持っている」
「それでも、この計画の発端者はあなたで、メンバーはこの3人しかいないんです。なら、あなたが直接指示を出されるのが当然ではありませんか?」
「それが出来ないから、こういう仕組みを取ったんだ。何も分からない状態にいる君には申し訳ないと思うが、私にも都合がある。私は私で君たちの手助けとなるよう動くつもりだ」
「それで…………勘弁しろと?」
「あぁ、そういうことだ。改めてもう一度言うが、君はユウカと共に、ユウカに指示を聞いて動いてくれ。なに、別に上司部下の関係じゃないんだから、気楽にやればいい。指示を仰ぐというよりは相談だと思ってくれ。結局は私が間接的に指示を出しているんだから、ルートにユウカを経由するというだけの話さ」
「…………その指示、私が直接あなたから受け取るというのは?」
「ダメだ。何も知らない君相手に、その都度説明込みで指示を出すことなどできない。私はそれほど自由に時間は取れないんだ。それに、私がまだ、君のことをそれほど深く信用出来ていない」
「…………私のことを信用出来ないのは理解出来ます。ですがやはり、その信用出来ない男と実の娘を常に一緒にいさせようとするあなたの考えについては、理解致しかねます」
「それについての回答は既に行っただろう。あの娘は普通の娘じゃない」
「普通じゃないから、何かあっても構わないと?」
恭司はアベルトに食い下がる。
慎重なアベルトが、その点だけはやけに雑な対応で済まそうとしているのだ。
そこは恭司にとっても重要な所ーー。
適当な感じで済まされるわけにはいかない。
それに、
道理も合ってないのだ。
ユウカは普通の娘じゃないから恭司と一緒でも構わない。
でもアベルトは恭司のことを信用出来ないと言う。
まるで、アベルトにとってユウカが、どうでもいい存在みたいだ。
あんな話を聞かされた後にもかかわらず、わりと気持ちはスッキリしている。
内容はともかくにしても、自分の正体と、これからの目的がハッキリしたからかもしれない。
現時点でやることも決まっている。
情報収集だ。
これからの行動を決めるにしても、何も知らないじゃ何も決められない。
これから生活を続けると共に学んでもいくだろうが、そんな情報は早いに越したことはないのだ。
何事に対しても出来る限り幅広く、詳細な情報が欲しい。
恭司は体を起こすと、グイッと伸ばした。
現在の時刻は5時。
まだ起きて立ち上がるにはいささか早くも感じる時間だが、部屋にいても特にやることはないため、恭司はとりあえず床に足を付けた。
体に痛むところも特には無い。
どうやら傷の方は完全に治りきったようだ。
昨日の実戦で筋肉痛などといった症状も出ていない。
恭司はそのまま足に重心を掛けて立ち上がると、体を全体でグルグルと回して軽いストレッチを行った後、部屋を出た。
コーヒーを飲もうと、リビングへと足を向けた。
こんな時間だ。
まだ二人は寝ているだろう。
だから、ソロリソロリと歩いた。
だが、
リビングに着くと、そこには既に先客がいた。
「ん…………?早いな。もう起きたのかね」
リビングにいたのはアベルトだった。
カップを手にし、コーヒーを飲んでいる。
その横には荷作りを終えたカバンが置いてあり、よく見ると、服装も外出用のものだった。
「もしかして、もう行くんですか?」
恭司は複雑な気持ちでそう尋ねる。
昨日の件で、アベルトに対して苦手な意識が芽生えていることは否めない。
なんせ「お前は危険だ」と真正面から通告され、その場で死刑台にまで送ろうと思っていた人物だ。
初対面で途方も無いほど危険な命令まで受けている。
苦手に感じるのはある程度仕方のないことだ。
だが、
それと同時にアベルトによって死刑を免れているのも事実ーー。
恩人の親で、今後頼りにしなければならない人物であることも事実だ。
だからこそ、
彼がもう行ってしまうことに対して、不安に感じてしまうのかもしれない。
「ん。まぁね…………。これでもなかなか忙しい身だ。昨日もほとんど無理矢理空けたんだよ。自分で助けるように言っておきながら、娘とほぼ一つ屋根の下で同居状態になっている男のことが気になって仕方がなくてね」
「…………すみません」
「謝らなくて良い。まさかその男があの三谷恭司だったなんて予想外もいい所だったが、最終的には私の計画を手伝ってくれるんだ。人柄も意外なまでに悪くなかった。私にとっては良いことばかりさ」
「………………」
嘘が入っている。
昨日、アベルトが恭司に対して向けた目の中には、間違いなく恐れがあった。
不安があった。
それに関する発言まであった。
誤魔化したい訳ではないだろう。
これはおそらく、アベルトから恭司に対しての、『こういうことにする』という意思通達だ。
「さて、それでは私はこれで失礼するよ。まだやり残した仕事がたらふく残ってるものでね…………。それと、言い忘れていたが、この家の物はなんでも好きに使ってくれて良い。ユウカも特に反対することもないだろう。この家を我が家だと思って精一杯くつろいでくれたまえ」
「はぁ…………」
「あぁ、あと…………君のこれからのことだが、まずはユウカと同じ学校へと通ってもらうことにした。昨日も言った通り、詳細はユウカに話してあるから、あの娘にしっかり話を聞いて、二人で活動してくれ。もし分からないことがあれば、あの娘に言えば私に連絡が付くようになっているから」
「…………ずいぶんと、ユウカのことを使うんですね。そこまでのことを任せるには、ユウカはまだ若すぎるように思いますが」
「若さの話をするなら君だってあの娘と同い年だ。それでも、それだけの価値がある。ユウカについても同じことだよ。アレは、ただ若いだけじゃない。それだけのことを任せられるだけの技量と頭脳を持っている」
「それでも、この計画の発端者はあなたで、メンバーはこの3人しかいないんです。なら、あなたが直接指示を出されるのが当然ではありませんか?」
「それが出来ないから、こういう仕組みを取ったんだ。何も分からない状態にいる君には申し訳ないと思うが、私にも都合がある。私は私で君たちの手助けとなるよう動くつもりだ」
「それで…………勘弁しろと?」
「あぁ、そういうことだ。改めてもう一度言うが、君はユウカと共に、ユウカに指示を聞いて動いてくれ。なに、別に上司部下の関係じゃないんだから、気楽にやればいい。指示を仰ぐというよりは相談だと思ってくれ。結局は私が間接的に指示を出しているんだから、ルートにユウカを経由するというだけの話さ」
「…………その指示、私が直接あなたから受け取るというのは?」
「ダメだ。何も知らない君相手に、その都度説明込みで指示を出すことなどできない。私はそれほど自由に時間は取れないんだ。それに、私がまだ、君のことをそれほど深く信用出来ていない」
「…………私のことを信用出来ないのは理解出来ます。ですがやはり、その信用出来ない男と実の娘を常に一緒にいさせようとするあなたの考えについては、理解致しかねます」
「それについての回答は既に行っただろう。あの娘は普通の娘じゃない」
「普通じゃないから、何かあっても構わないと?」
恭司はアベルトに食い下がる。
慎重なアベルトが、その点だけはやけに雑な対応で済まそうとしているのだ。
そこは恭司にとっても重要な所ーー。
適当な感じで済まされるわけにはいかない。
それに、
道理も合ってないのだ。
ユウカは普通の娘じゃないから恭司と一緒でも構わない。
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まるで、アベルトにとってユウカが、どうでもいい存在みたいだ。
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