17 / 134
【第二章】ユウカ・バーレン
【第四話】告白②
しおりを挟む
「…………誤解されていそうだからきちんと言っておこう。私は、ユウカのことを娘としてとても愛している。そしてコレは…………私からの親心なんだよ」
アベルトは出掛ける準備を中断して椅子に深く座り込むと、コーヒーを一息に飲み干した。
出ていく前にしっかり話をするべきだと判断したためだろう。
そして、
口を開く前に、落ち着いた姿勢で恭司の方をジッと見つめてきた。
観察するように、視線で舐め回すように、恭司の姿を一手に見続ける。
昨日のことを思い出しそうになった。
だが、
昨日とは目に映る感情が違う。
「ユウカはね…………三谷君。とても、可哀相な娘なんだよ」
アベルトの話は始まった。
持っていく荷物をドサリと床に置き、両腕を組んで、恭司と目と目を合わせる。
これから腰を据えて重大なことを話すという合図だろう。
恭司は生唾をゴクリと呑みほした。
「あの娘は今年で17になるんだ。それまで沢山の同級生と過ごしてきた。なのにね、三谷君。あの娘には友達と呼べる存在が、一人もいないんだよ。これまでの人生の中で、一度も、少しもだ。理由は聞いたかな?」
「確か…………ユウカの母親が革命軍のリーダーだと」
「そうだ。原因はほとんどそれなんだよ。アレの母親…………私の元妻が、全ての元凶なんだ」
「確か…………『クレイア』という組織名でしたか」
「そうだ。元妻に関係していることを差し引いても、厄介な連中だ。区分で言えば『武術主義』にあたる連中だが、やり方が卑劣で残忍すぎる。はっきり言って犯罪者集団だ。『武術主義』の区分にいるがために、むしろイメージを悪くされて、私としても消えてほしく思っている」
「…………その連中が、ユウカの周りとの交友関係を邪魔していると?」
「そうだ。ユウカの母親がリーダーを務めているからね。周りの見る目はそりゃあ悪いに決まっている。クレイアの手先、犯罪者予備軍、殺人犯の子供…………。呼び方は様々だが、ユウカはこれらのレッテルを前提に人と話さなければならない。避けられるくらいならまだいい方だ。攻撃してくる人間も数多くいる」
「………………」
「そんなわけであの娘の交友関係はすこぶる悪い。回復のメドも立たない。いや、クレイアの活動が今後増えていけば、状況はさらに悪くなるだろう。現在進行形で世界中で活動しているから、ユウカへの悪印象も世界中からだ。クレイアに被害を受けた人間からは…………もはや殺意すら向けられかねない。そんな打つ手無しの現状で現れたのが…………君というわけだ」
「世界中から嫌われ尽くしている、この俺ってわけですか」
「そうだ。その通りだ。他の人間が…………例えば私が…………ユウカの力になろうとしても、ユウカはそれを憐れみや同情と受け取るだろう。あの娘はそういうことを極端に嫌う。その点君なら…………」
「同じ痛みを分かち合って、一緒にやっていける…………ですか」
アベルトは頷いた。
その目に浮かぶ感情は、いつかの時のように不安や恐怖が根付いたものではない。
期待の光に包まれたものだった。
恭司はつい頭に手を伸ばしてしまった。
照れ臭い。
「クレイアが存在する限り、あの娘はこれからも友達なんて作れないだろう。性格もあの通りだ。天邪鬼で、一匹狼気質。この状況でその性格じゃあこの先に期待は持てない。だからこそ、君には、本当にユウカの味方となってやってほしいんだ。ユウカのことを信頼してやってほしいんだ。あいつの…………友達になってほしいんだ」
「…………あなたの言葉を信じる限りでは、私は数万単位の人間を虐殺した殺人鬼…………ということですが?」
「承知している。だが、あの娘はそれに対して臆するような人格じゃない。それに…………親としての直感だ。君たちは性格的によく合うタイプだよ」
「はぁ…………」
恭司は曖昧に頷いた。
まぁ確かに、恭司もユウカのことは嫌いじゃない。
話していて楽しいと思う。
だが、
わざわざ親がそれを殺人鬼相手に頼むというのが、恭司には理解不可解だった。
「まぁ、これはあくまでサブだよ。出来ればそうしてほしいくらいの話だ。ほとんど苦肉の策だしね…………」
「………………」
「メインは昨日話した通りだ。昨日の夜に、ユウカには全て話してある。今後のことはユウカに相談してくれ」
「…………分かりました」
「さて、それではそろそろ私は出掛ける時間だ。あまり話せなくてすまないね。ユウカのこともクレイアのこともメインの目的の話も全然できてはいないが、本当に時間が無くてね」
「いえ…………こちらこそ、お引き止めしてしまい、申し訳ございませんでした」
恭司は不承不承に頭を下げた。
確かに、質問ならいくらでも残っている。
こんなに色々と中途半端な状態で放り出されても…………というのが正直な気持ちだった。
「まぁ、またゆっくり話す時間を作るよ。では、これで本当に失礼する。ユウカは寝ているだろうが、起きたらよろしく伝えておいてくれ」
アベルトはそう言いながら荷物を手に取り、立ち上がった。
まだ納得できているわけでは勿論ないが、急いでいる人間をこれ以上引き止めるわけにもいかない。
アベルトは急ぎ足で玄関に向かい、恭司はその背についていく。
見送りにいくのだ。
アベルトは玄関に到着すると、靴に足を入れ、紐を結び始める。
恭司はその姿を、何ともない気持ちで見つめていた。
「ん…………?あぁ、そういえば、クレイアとユウカと君について、一つ重大なことを伝え忘れていた」
と、そんな時だ。
アベルトは不意に思い出したように、手をポンっと叩いた。
何事か?と、恭司は首を傾げる。
「君たちの技についてだ。君たち三者は全員同じ技を使う。だから、クレイアに技を見せてはいけないよ。勧誘やちょっかいを受ける対象になりかねないからね。もちろん、入団するなど以ての外だから気を付けてね。それじゃ」
「えっ、ちょっとッ!!」
アベルトは最後にそれだけ言って、ドアを開けて外に出ていった。
恭司はその場に取り残される。
最後の最後になって、とんでもない爆弾を落としていった。
急いでドアを開けてアベルトを探すも、もう姿が見えない。
さすがは武芸者だが、今回はシャレにならない。
謎は、深まる一方だった。
「何が思い出しただ…………。どう考えても確信犯じゃねぇか…………」
恭司は玄関の前で立ち尽くす。
自分とユウカ以外に、クレイアも自分たちと同じ技を使う…………?
それがどういうことを示すのか、恭司にはそれを理解するための知識が足りていなかった。
クレイアにはどういう人物たちが集まっていて、何のために存在しているのか。
恭司の使う技は、一体どういう性質のものなのか。
(俺の使う技…………。あの『喰斬り』って技は…………俺のオリジナルなのか?どこかで習っていた…………?まったく分からない…………。ユウカや俺と、クレイアはどういう関係にあるんだ…………)
アベルトからの一方的な情報提供だけではやりきれなくなっていた。
分からないことが多すぎて、知りたいことが多すぎる。
自分自身に関することすら曖昧でフワフワした理解なのだ。
このままでいいはずなどない。
そして、
そのアベルトとろくなコミュニケーションが取れない今、誰に聞くべきか…………。
「そんなことは…………決まっているか」
恭司はため息と共に言葉を吐き出す。
その本人はもうそろそろ起きて、ここにやって来るだろう。
昨日、アベルトから衝撃的な事実を聞かされた、その状態のままで……。
「どんな顔して会えばいいってんだ…………」
恭司は、机に頭を擦り付けるかのような勢いで項垂れた。
アベルトは出掛ける準備を中断して椅子に深く座り込むと、コーヒーを一息に飲み干した。
出ていく前にしっかり話をするべきだと判断したためだろう。
そして、
口を開く前に、落ち着いた姿勢で恭司の方をジッと見つめてきた。
観察するように、視線で舐め回すように、恭司の姿を一手に見続ける。
昨日のことを思い出しそうになった。
だが、
昨日とは目に映る感情が違う。
「ユウカはね…………三谷君。とても、可哀相な娘なんだよ」
アベルトの話は始まった。
持っていく荷物をドサリと床に置き、両腕を組んで、恭司と目と目を合わせる。
これから腰を据えて重大なことを話すという合図だろう。
恭司は生唾をゴクリと呑みほした。
「あの娘は今年で17になるんだ。それまで沢山の同級生と過ごしてきた。なのにね、三谷君。あの娘には友達と呼べる存在が、一人もいないんだよ。これまでの人生の中で、一度も、少しもだ。理由は聞いたかな?」
「確か…………ユウカの母親が革命軍のリーダーだと」
「そうだ。原因はほとんどそれなんだよ。アレの母親…………私の元妻が、全ての元凶なんだ」
「確か…………『クレイア』という組織名でしたか」
「そうだ。元妻に関係していることを差し引いても、厄介な連中だ。区分で言えば『武術主義』にあたる連中だが、やり方が卑劣で残忍すぎる。はっきり言って犯罪者集団だ。『武術主義』の区分にいるがために、むしろイメージを悪くされて、私としても消えてほしく思っている」
「…………その連中が、ユウカの周りとの交友関係を邪魔していると?」
「そうだ。ユウカの母親がリーダーを務めているからね。周りの見る目はそりゃあ悪いに決まっている。クレイアの手先、犯罪者予備軍、殺人犯の子供…………。呼び方は様々だが、ユウカはこれらのレッテルを前提に人と話さなければならない。避けられるくらいならまだいい方だ。攻撃してくる人間も数多くいる」
「………………」
「そんなわけであの娘の交友関係はすこぶる悪い。回復のメドも立たない。いや、クレイアの活動が今後増えていけば、状況はさらに悪くなるだろう。現在進行形で世界中で活動しているから、ユウカへの悪印象も世界中からだ。クレイアに被害を受けた人間からは…………もはや殺意すら向けられかねない。そんな打つ手無しの現状で現れたのが…………君というわけだ」
「世界中から嫌われ尽くしている、この俺ってわけですか」
「そうだ。その通りだ。他の人間が…………例えば私が…………ユウカの力になろうとしても、ユウカはそれを憐れみや同情と受け取るだろう。あの娘はそういうことを極端に嫌う。その点君なら…………」
「同じ痛みを分かち合って、一緒にやっていける…………ですか」
アベルトは頷いた。
その目に浮かぶ感情は、いつかの時のように不安や恐怖が根付いたものではない。
期待の光に包まれたものだった。
恭司はつい頭に手を伸ばしてしまった。
照れ臭い。
「クレイアが存在する限り、あの娘はこれからも友達なんて作れないだろう。性格もあの通りだ。天邪鬼で、一匹狼気質。この状況でその性格じゃあこの先に期待は持てない。だからこそ、君には、本当にユウカの味方となってやってほしいんだ。ユウカのことを信頼してやってほしいんだ。あいつの…………友達になってほしいんだ」
「…………あなたの言葉を信じる限りでは、私は数万単位の人間を虐殺した殺人鬼…………ということですが?」
「承知している。だが、あの娘はそれに対して臆するような人格じゃない。それに…………親としての直感だ。君たちは性格的によく合うタイプだよ」
「はぁ…………」
恭司は曖昧に頷いた。
まぁ確かに、恭司もユウカのことは嫌いじゃない。
話していて楽しいと思う。
だが、
わざわざ親がそれを殺人鬼相手に頼むというのが、恭司には理解不可解だった。
「まぁ、これはあくまでサブだよ。出来ればそうしてほしいくらいの話だ。ほとんど苦肉の策だしね…………」
「………………」
「メインは昨日話した通りだ。昨日の夜に、ユウカには全て話してある。今後のことはユウカに相談してくれ」
「…………分かりました」
「さて、それではそろそろ私は出掛ける時間だ。あまり話せなくてすまないね。ユウカのこともクレイアのこともメインの目的の話も全然できてはいないが、本当に時間が無くてね」
「いえ…………こちらこそ、お引き止めしてしまい、申し訳ございませんでした」
恭司は不承不承に頭を下げた。
確かに、質問ならいくらでも残っている。
こんなに色々と中途半端な状態で放り出されても…………というのが正直な気持ちだった。
「まぁ、またゆっくり話す時間を作るよ。では、これで本当に失礼する。ユウカは寝ているだろうが、起きたらよろしく伝えておいてくれ」
アベルトはそう言いながら荷物を手に取り、立ち上がった。
まだ納得できているわけでは勿論ないが、急いでいる人間をこれ以上引き止めるわけにもいかない。
アベルトは急ぎ足で玄関に向かい、恭司はその背についていく。
見送りにいくのだ。
アベルトは玄関に到着すると、靴に足を入れ、紐を結び始める。
恭司はその姿を、何ともない気持ちで見つめていた。
「ん…………?あぁ、そういえば、クレイアとユウカと君について、一つ重大なことを伝え忘れていた」
と、そんな時だ。
アベルトは不意に思い出したように、手をポンっと叩いた。
何事か?と、恭司は首を傾げる。
「君たちの技についてだ。君たち三者は全員同じ技を使う。だから、クレイアに技を見せてはいけないよ。勧誘やちょっかいを受ける対象になりかねないからね。もちろん、入団するなど以ての外だから気を付けてね。それじゃ」
「えっ、ちょっとッ!!」
アベルトは最後にそれだけ言って、ドアを開けて外に出ていった。
恭司はその場に取り残される。
最後の最後になって、とんでもない爆弾を落としていった。
急いでドアを開けてアベルトを探すも、もう姿が見えない。
さすがは武芸者だが、今回はシャレにならない。
謎は、深まる一方だった。
「何が思い出しただ…………。どう考えても確信犯じゃねぇか…………」
恭司は玄関の前で立ち尽くす。
自分とユウカ以外に、クレイアも自分たちと同じ技を使う…………?
それがどういうことを示すのか、恭司にはそれを理解するための知識が足りていなかった。
クレイアにはどういう人物たちが集まっていて、何のために存在しているのか。
恭司の使う技は、一体どういう性質のものなのか。
(俺の使う技…………。あの『喰斬り』って技は…………俺のオリジナルなのか?どこかで習っていた…………?まったく分からない…………。ユウカや俺と、クレイアはどういう関係にあるんだ…………)
アベルトからの一方的な情報提供だけではやりきれなくなっていた。
分からないことが多すぎて、知りたいことが多すぎる。
自分自身に関することすら曖昧でフワフワした理解なのだ。
このままでいいはずなどない。
そして、
そのアベルトとろくなコミュニケーションが取れない今、誰に聞くべきか…………。
「そんなことは…………決まっているか」
恭司はため息と共に言葉を吐き出す。
その本人はもうそろそろ起きて、ここにやって来るだろう。
昨日、アベルトから衝撃的な事実を聞かされた、その状態のままで……。
「どんな顔して会えばいいってんだ…………」
恭司は、机に頭を擦り付けるかのような勢いで項垂れた。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる