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【第六章】クレイア
【第十四話】ククル・ウィスター<2>②
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「もし彼女がクレイアの一員なのだとすれば、私たちにとってはとてもシビアな状況だね。ここにいるってことは、クレイアの中でも諜報を任されるくらい実力があるってことだし、あまり油断はできないかも」
「クレイアの諜報って、そんなにエリートなのか?」
ユウカは苦々しく頷いた。
「クレイアが恭司と同じ技を使うことは知ってるよね?オリジナルの君にはさすがにクオリティで劣るかもだけど、この現代社会では君の技ってとても厄介で危険なの。特に、隠密においては最高峰だと思う」
「そ、そうなのか……」
「クレイアがここまでやってて捕まってない理由ってほぼそれだからね。捕まえようにも捕まえられないの。要は逃げたり隠れたりとか、危機察知能力がズバ抜けて高いんだよね。まるでゴキブリっていうか……」
「ゴキブリは言い過ぎなんじゃないか……?」
「要は、そんな元々諜報向きのゴキブリ技を駆使する奴らの中で諜報を任されるっていうのは、ゴキブリ技を他の誰よりも上手く扱える人間。つまりはエリートゴキブリってことに他ならないの。ゴキブリの中のゴキブリ。キングゴキブリだね」
「もう少しオブラートに包んだ言い方はないか?」
「とにかく、もしククルさんがクレイアの諜報なのだとしたら大問題だよ。ゴキブリは素早くてなかなか潰せない上に、一度潰したと思ってもすぐ復活する気持ち悪い生き物だからね。やるからには徹底的にやらないと」
「…………」
「てことで、今からは最大限に注意しないといけないね。彼女には近づかない。それが一番だよ」
「……………………」
恭司の……いや、クレイアの技術がゴキブリ技と命名されたことについてはさて置き、ユウカの判断は概ね間違ってはいないと思えるものだった。
イベントや大会という大仕事を直近で控える恭司にとって、クレイアなんていう危険で厄介な存在を今相手にするのはとてもつもないリスクだ。
準備に関する時間的な問題は勿論、下手をすれば正体がバレる可能性もある。
触らぬ神に祟りなしという言葉もあるし、今は触らずに放置するのが最適という答えは決して間違っていない。
ただ……
「ククルさんがクレイアの一員かどうかについては『少し可能性がある』ってことだったな。『少し』っていうことは違う可能性もそれなりにあるのか?」
一番大事な所だった。
なんせそもそもの原点だ。
ククルへの対応を考える以前に、まだククルがクレイアの一員と決まったわけではない。
単にこちらの勘違いだった可能性もある。
ユウカは頷いた。
「そうだね。別に断定は出来てないよ。てか、もし本当にクレイアの諜報なんだとすれば尻尾なんて掴ませないだろうしね」
「……だろうな。でも、そんな中で何か『少し』は感じる事柄があったのか?」
ユウカは再び頷いた。
「まず、ククルさんってね、本当にものすっごい歴史オタクなの。その中でも特に『三谷恭司』について大ファンみたいでね。よくそれ関連で私に絡んできてたのよ」
「へぇ……。そうだったのか……」
『三谷恭司の大ファン』。
それを聞いて恭司が感じたのは、嬉しさよりもむしろ、違和感だった。
アベルトから聞いた話や反応を見る限り、『三谷恭司』は世界的にとても嫌われている存在のはずだ。
恭司がこの世界を死と恐怖で包み込んだのは約200年前。
つまり、
祖父か曽祖父を殺された孫たちが、まだ沢山この世界で生きているということだ。
そういう意味では、恭司のことはまだまだ歴史的に見ても最近のことと言える。
その上、
恭司はまだこの通り死んでいないのだ。
例え事が起きたのは過去であったとしても、それは今も現在進行形で終わってなどいない。
当時、世の人々を何千何万と無作為に殺しまくった殺人鬼は未だ罰も死刑も受けずに生きていて、何も解決などしていないのだ。
『普通は』許せなかったり恐怖したりするのが当たり前の感情だろう。
恭司が既にこの時代に転送されてきていることはまだアベルトとユウカしか知らないが、いずれどこかのタイミングで転送されてくるということは皆分かっているはずだ。
先祖を殺された人間は勿論、そうでない人間だって、そんな桁違いの悪逆を行って未だ罰せられてない人間を『普通は』決して良く思ったりはしない。
関心の無い人間はいたとしても、好きにはならないはずだ。
仮にそんな人間がいたとすれば、それはもはや好みや性格の話ではない。
思想や常識の異なる存在。
つまりは、
『異分子』だ。
「クレイアの諜報って、そんなにエリートなのか?」
ユウカは苦々しく頷いた。
「クレイアが恭司と同じ技を使うことは知ってるよね?オリジナルの君にはさすがにクオリティで劣るかもだけど、この現代社会では君の技ってとても厄介で危険なの。特に、隠密においては最高峰だと思う」
「そ、そうなのか……」
「クレイアがここまでやってて捕まってない理由ってほぼそれだからね。捕まえようにも捕まえられないの。要は逃げたり隠れたりとか、危機察知能力がズバ抜けて高いんだよね。まるでゴキブリっていうか……」
「ゴキブリは言い過ぎなんじゃないか……?」
「要は、そんな元々諜報向きのゴキブリ技を駆使する奴らの中で諜報を任されるっていうのは、ゴキブリ技を他の誰よりも上手く扱える人間。つまりはエリートゴキブリってことに他ならないの。ゴキブリの中のゴキブリ。キングゴキブリだね」
「もう少しオブラートに包んだ言い方はないか?」
「とにかく、もしククルさんがクレイアの諜報なのだとしたら大問題だよ。ゴキブリは素早くてなかなか潰せない上に、一度潰したと思ってもすぐ復活する気持ち悪い生き物だからね。やるからには徹底的にやらないと」
「…………」
「てことで、今からは最大限に注意しないといけないね。彼女には近づかない。それが一番だよ」
「……………………」
恭司の……いや、クレイアの技術がゴキブリ技と命名されたことについてはさて置き、ユウカの判断は概ね間違ってはいないと思えるものだった。
イベントや大会という大仕事を直近で控える恭司にとって、クレイアなんていう危険で厄介な存在を今相手にするのはとてもつもないリスクだ。
準備に関する時間的な問題は勿論、下手をすれば正体がバレる可能性もある。
触らぬ神に祟りなしという言葉もあるし、今は触らずに放置するのが最適という答えは決して間違っていない。
ただ……
「ククルさんがクレイアの一員かどうかについては『少し可能性がある』ってことだったな。『少し』っていうことは違う可能性もそれなりにあるのか?」
一番大事な所だった。
なんせそもそもの原点だ。
ククルへの対応を考える以前に、まだククルがクレイアの一員と決まったわけではない。
単にこちらの勘違いだった可能性もある。
ユウカは頷いた。
「そうだね。別に断定は出来てないよ。てか、もし本当にクレイアの諜報なんだとすれば尻尾なんて掴ませないだろうしね」
「……だろうな。でも、そんな中で何か『少し』は感じる事柄があったのか?」
ユウカは再び頷いた。
「まず、ククルさんってね、本当にものすっごい歴史オタクなの。その中でも特に『三谷恭司』について大ファンみたいでね。よくそれ関連で私に絡んできてたのよ」
「へぇ……。そうだったのか……」
『三谷恭司の大ファン』。
それを聞いて恭司が感じたのは、嬉しさよりもむしろ、違和感だった。
アベルトから聞いた話や反応を見る限り、『三谷恭司』は世界的にとても嫌われている存在のはずだ。
恭司がこの世界を死と恐怖で包み込んだのは約200年前。
つまり、
祖父か曽祖父を殺された孫たちが、まだ沢山この世界で生きているということだ。
そういう意味では、恭司のことはまだまだ歴史的に見ても最近のことと言える。
その上、
恭司はまだこの通り死んでいないのだ。
例え事が起きたのは過去であったとしても、それは今も現在進行形で終わってなどいない。
当時、世の人々を何千何万と無作為に殺しまくった殺人鬼は未だ罰も死刑も受けずに生きていて、何も解決などしていないのだ。
『普通は』許せなかったり恐怖したりするのが当たり前の感情だろう。
恭司が既にこの時代に転送されてきていることはまだアベルトとユウカしか知らないが、いずれどこかのタイミングで転送されてくるということは皆分かっているはずだ。
先祖を殺された人間は勿論、そうでない人間だって、そんな桁違いの悪逆を行って未だ罰せられてない人間を『普通は』決して良く思ったりはしない。
関心の無い人間はいたとしても、好きにはならないはずだ。
仮にそんな人間がいたとすれば、それはもはや好みや性格の話ではない。
思想や常識の異なる存在。
つまりは、
『異分子』だ。
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