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羽馬渓谷編
第138話 あっちもこっちもモチを焼く
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ええええ?!
エタン、二人でお喋りした最後のほうに言ってたあれって、冗談じゃなかったの?
「オマエ、どさくさに紛れてそんなのズル過ぎんだろう。なら、僕がエタンを乗せる」
「おらも行ぎでゃ。コニー嬢っちゃから『ギャロ爺っちゃと、一緒さ王都さ行ぎでゃな』って婆っちゃに言ってぐれ? しぇばエタン坊、おらの背さ乗れ」
「おうおう、単なる飛べねえデカいお荷物野郎から、いきなり引っ張りだこになって、実に気分がいいな。
だが、断らせてもらう。
クレールと俺の二ケツじゃ、翼の妨げになるしな。
泊まり旅でギャロ爺本人の体も心配だが、不安がる婆さん一人残して、ギャロ爺は心配じゃねえのかよ。
そもそも二人乗り提案は、コニーの背なら俺でも高いとこが飛べそうな気がするって、限定なんだぜ。ギャロ爺、二人乗り装着装具早くだせ」
「「ぐぬぬぬ」」
「あ、うん。初心者の私で良いならいいけど……。
話をちょっと整理しようか。
まずは、クレーとエタンの組み合わせは、物理的にデカい同士でダメなのね?
爺っちゃは、体調やお婆さんのことも話し合い必須と。
そんで私の後ろなら、まずロクムに聞いてみないとね。エタン。今、予備の金魔石は持ってる?」
「いや。持ってきてねえ」
「それなら私との二人乗り問題は。一にエタンがすぐここで魔石を作れるか、二にそれをロクムが食べて乗せてくれるか、です」
「おらは予備の魔石持っでらぞ。早速ハランさ食わせでみるべ」
腰のポーチをガサゴソする爺っちゃに対し、爺っちゃの馬マリが、服を甘噛みして引っ張ったり、肩に顔を擦り付けたりし始めた。
「マリっぺ? おいどご引っ張ってどうしただ? だあだあ、さっと待ってでぐれ」
マリを宥めつつ爺っちゃがハランに魔石を差し出す。
ハランは、「ヒヒーン」といななき頭を振って、そっぽを向いた。
あらら、ハランは爺っちゃを乗せたくないのか。
じゃあ、爺っちゃはハランに乗れないから、エタンと爺っちゃの二人乗りの場合は、マリに乗るしかないね。
おや? 今まで近くで傍観してたエールが、ハランの後ろを回って、こっちにやって来て……。
静かにマリをぐいぐい押し始めたぞ?
あらあら、これはなにやらいろいろダメな感じ。
「……ははあぁん。おら分がったがもしんねえ」
爺っちゃが推察したのは、ポンポに引き続き、可愛いヤキモチストーリーだった。
マリは、爺っちゃが牧場以外の羽馬に乗るのは、
取られる感じがするのか、どうも嫌みたいだということ。
この野生の三頭の馬は、爺っちゃとクレールいわく、見たこともないほど美しい躯体と色合いをしいていて。
人間から見ても、絶対に馬から見ても、相当な美男美女馬らしい。
もしも自分と比べられたら、もろもろ負けてしまうかもしれないって、マリが不安に思うのは無理もないのかもしれない。
ロクムに至っては、毛艶からしてまだ若いのに、威厳と風格を兼ね備えた佇まい、骨格や筋肉のつき方から察する強靭な躯体、抜きんでた美しさ。
どこをとっても、それはそれとんでもない別格レベルだそうで。
ハランとエールの行動については、おそらく。
『おら乗せだら、マリっぺが自分だぢど一緒についで来て、ロクムさ色目使うがも知れねのが嫌なんじゃねべが』
ってのが、爺っちゃが見解だ。
新しい雌馬の、ロクムハレム入りは断固阻止するってわけね。
やだあ~、お馬女子たちがいじらしい~。
そういうことならば、平和な解決策は。
エタン、男なら今すぐ金出せ!
ロクム、夫なら好き嫌いせず嫁のため食え!
などとオラついた応援を心の中で送りつつ、エタンとロクムの成り行きを私は黙って見守った。
私の送った応援念力が功をそうして、願った通りに。
エタンとロクムの間に、金魔石協定が無事定結!
そんで今。
ギャロ爺っちゃとクレールが、ブツクサ文句言いながらも二人乗り飛行装備を手伝ってくれてま~す。
「エタン。あっちの草むらでコレ。しっかり装備して来いよ」
「あ? なんだその袋?」
(「ゴニョゴニョ……許されないし、僕も許さない。お前も社会的に死にたくなければ……ゴニョゴニョ……だろ?」)
「は? マジか?! なるほど…(ゴニョゴニョ……だな)」
「僕的にはズボンの外付けの物より、こっちの下着の上に着用するほうが(ゴニョゴニョ……)」
「エタン坊。買取り品だんて、そいつは今後おめえのもんだ。大ぎさはそんぐらいデカげりゃえぇべ? あ、違う違うぞ、エタン坊のパンツの中身でねぐで、服の大ぎさっつーごどだぞ。
んで、コニー嬢っちゃはこれ着るどえ」
渡されたのは、薄いダウンのようにふわモコっとして、重さを感じないくらい軽く、ぎゅうっと押したら沈み込んでフィットするような、不思議な素材でできたベスト。
「これって、普通に服の上から着ればいいんじゃないの? なんで草むら?」
「んだ、コニー嬢っちゃはこごで着で構わねよ。前さ乗る人や女の人が着るチョッキだ。
エタン坊のは、後部座席の男の不幸な事故防止のためさ履ぐ。
こっちのズボンの上がらのはより強力だども、おしめみだいだべ? エタン坊さ渡したのはズボン脱いで、パンツ一丁でその上さ付げるやづだんて。
羽馬さ二人乗りせば、翼があるがらでぎるだけ前さ詰めると、ピッタンコ体がくっつぎ過ぎぢまうがらよ。思いがけずの、ほら、それ、なんだなや、不可抗力紳士の身だしなみ、ちゅう意味もあるもんだで」
「セキスエラ・トラカサリエン対策だね」
え?? なんて?
【次回予告 第139話 天翔る白騎士】
𓃗 おさらい𓃗
マリ(マリっぺ)……ギャロ爺さんの馬
ハラン……エタンの馬
エール……クレールの馬
(前話の添付したピザイラスト。どこかがおかしいなあ~?ってずっと思ってたんです。
やっと分かりました!
ポンポの猫耳、描き忘れてます。本当は成形一体型デザインなんですけど、今回は付け足したので……。
イラスト差し替えました。すみません)
エタン、二人でお喋りした最後のほうに言ってたあれって、冗談じゃなかったの?
「オマエ、どさくさに紛れてそんなのズル過ぎんだろう。なら、僕がエタンを乗せる」
「おらも行ぎでゃ。コニー嬢っちゃから『ギャロ爺っちゃと、一緒さ王都さ行ぎでゃな』って婆っちゃに言ってぐれ? しぇばエタン坊、おらの背さ乗れ」
「おうおう、単なる飛べねえデカいお荷物野郎から、いきなり引っ張りだこになって、実に気分がいいな。
だが、断らせてもらう。
クレールと俺の二ケツじゃ、翼の妨げになるしな。
泊まり旅でギャロ爺本人の体も心配だが、不安がる婆さん一人残して、ギャロ爺は心配じゃねえのかよ。
そもそも二人乗り提案は、コニーの背なら俺でも高いとこが飛べそうな気がするって、限定なんだぜ。ギャロ爺、二人乗り装着装具早くだせ」
「「ぐぬぬぬ」」
「あ、うん。初心者の私で良いならいいけど……。
話をちょっと整理しようか。
まずは、クレーとエタンの組み合わせは、物理的にデカい同士でダメなのね?
爺っちゃは、体調やお婆さんのことも話し合い必須と。
そんで私の後ろなら、まずロクムに聞いてみないとね。エタン。今、予備の金魔石は持ってる?」
「いや。持ってきてねえ」
「それなら私との二人乗り問題は。一にエタンがすぐここで魔石を作れるか、二にそれをロクムが食べて乗せてくれるか、です」
「おらは予備の魔石持っでらぞ。早速ハランさ食わせでみるべ」
腰のポーチをガサゴソする爺っちゃに対し、爺っちゃの馬マリが、服を甘噛みして引っ張ったり、肩に顔を擦り付けたりし始めた。
「マリっぺ? おいどご引っ張ってどうしただ? だあだあ、さっと待ってでぐれ」
マリを宥めつつ爺っちゃがハランに魔石を差し出す。
ハランは、「ヒヒーン」といななき頭を振って、そっぽを向いた。
あらら、ハランは爺っちゃを乗せたくないのか。
じゃあ、爺っちゃはハランに乗れないから、エタンと爺っちゃの二人乗りの場合は、マリに乗るしかないね。
おや? 今まで近くで傍観してたエールが、ハランの後ろを回って、こっちにやって来て……。
静かにマリをぐいぐい押し始めたぞ?
あらあら、これはなにやらいろいろダメな感じ。
「……ははあぁん。おら分がったがもしんねえ」
爺っちゃが推察したのは、ポンポに引き続き、可愛いヤキモチストーリーだった。
マリは、爺っちゃが牧場以外の羽馬に乗るのは、
取られる感じがするのか、どうも嫌みたいだということ。
この野生の三頭の馬は、爺っちゃとクレールいわく、見たこともないほど美しい躯体と色合いをしいていて。
人間から見ても、絶対に馬から見ても、相当な美男美女馬らしい。
もしも自分と比べられたら、もろもろ負けてしまうかもしれないって、マリが不安に思うのは無理もないのかもしれない。
ロクムに至っては、毛艶からしてまだ若いのに、威厳と風格を兼ね備えた佇まい、骨格や筋肉のつき方から察する強靭な躯体、抜きんでた美しさ。
どこをとっても、それはそれとんでもない別格レベルだそうで。
ハランとエールの行動については、おそらく。
『おら乗せだら、マリっぺが自分だぢど一緒についで来て、ロクムさ色目使うがも知れねのが嫌なんじゃねべが』
ってのが、爺っちゃが見解だ。
新しい雌馬の、ロクムハレム入りは断固阻止するってわけね。
やだあ~、お馬女子たちがいじらしい~。
そういうことならば、平和な解決策は。
エタン、男なら今すぐ金出せ!
ロクム、夫なら好き嫌いせず嫁のため食え!
などとオラついた応援を心の中で送りつつ、エタンとロクムの成り行きを私は黙って見守った。
私の送った応援念力が功をそうして、願った通りに。
エタンとロクムの間に、金魔石協定が無事定結!
そんで今。
ギャロ爺っちゃとクレールが、ブツクサ文句言いながらも二人乗り飛行装備を手伝ってくれてま~す。
「エタン。あっちの草むらでコレ。しっかり装備して来いよ」
「あ? なんだその袋?」
(「ゴニョゴニョ……許されないし、僕も許さない。お前も社会的に死にたくなければ……ゴニョゴニョ……だろ?」)
「は? マジか?! なるほど…(ゴニョゴニョ……だな)」
「僕的にはズボンの外付けの物より、こっちの下着の上に着用するほうが(ゴニョゴニョ……)」
「エタン坊。買取り品だんて、そいつは今後おめえのもんだ。大ぎさはそんぐらいデカげりゃえぇべ? あ、違う違うぞ、エタン坊のパンツの中身でねぐで、服の大ぎさっつーごどだぞ。
んで、コニー嬢っちゃはこれ着るどえ」
渡されたのは、薄いダウンのようにふわモコっとして、重さを感じないくらい軽く、ぎゅうっと押したら沈み込んでフィットするような、不思議な素材でできたベスト。
「これって、普通に服の上から着ればいいんじゃないの? なんで草むら?」
「んだ、コニー嬢っちゃはこごで着で構わねよ。前さ乗る人や女の人が着るチョッキだ。
エタン坊のは、後部座席の男の不幸な事故防止のためさ履ぐ。
こっちのズボンの上がらのはより強力だども、おしめみだいだべ? エタン坊さ渡したのはズボン脱いで、パンツ一丁でその上さ付げるやづだんて。
羽馬さ二人乗りせば、翼があるがらでぎるだけ前さ詰めると、ピッタンコ体がくっつぎ過ぎぢまうがらよ。思いがけずの、ほら、それ、なんだなや、不可抗力紳士の身だしなみ、ちゅう意味もあるもんだで」
「セキスエラ・トラカサリエン対策だね」
え?? なんて?
【次回予告 第139話 天翔る白騎士】
𓃗 おさらい𓃗
マリ(マリっぺ)……ギャロ爺さんの馬
ハラン……エタンの馬
エール……クレールの馬
(前話の添付したピザイラスト。どこかがおかしいなあ~?ってずっと思ってたんです。
やっと分かりました!
ポンポの猫耳、描き忘れてます。本当は成形一体型デザインなんですけど、今回は付け足したので……。
イラスト差し替えました。すみません)
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