お兄ちゃんの彼氏

sakaki

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お兄ちゃんの彼氏

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お兄ちゃんの彼氏


私、小柳れなは今まさに青春真っ盛りである。それはもう毎日がキラッキラなのである。
なぜならば、小柳れな中学二年生は、初恋中だからなのだ。


「ただいまー」
今日は久々に部活が休みで、でもテスト前だからってお堅いみな(れなの親友よ)に拒否られたから真面目に寄り道もせずに早く帰った。
(うわ、お兄ちゃん帰ってる。めっずらし)
いつもバイトばっかりで帰りが遅いお兄ちゃん:小柳相馬(こやなぎ そうま)の靴が既にあることにびっくり。無駄に足が大きいからお兄ちゃんの靴があると玄関が狭くなったような気がする。
(あれ・・この革靴って・・)
玄関が狭くなったように感じたのはお兄ちゃんの靴のせいだけじゃなかった。お兄ちゃんの履き潰したスニーカーとは違って、大事に手入れされてるのが分かる革靴がきちんとお行儀よく整列してた。この靴には見覚えがある。ってか、靴見ただけで分かっちゃう。
(逢坂さん来てるんだ!)
逢坂優作(おうさか ゆうさく)さんはお兄ちゃんのお友達で高校二年生。お兄ちゃんとは大違いで、爽やかで優しくて頭良くて大人っぽくて
とーっても素敵な人。
この逢坂さんこそが、現在進行形のれなの初恋の人なのだ。
逢坂さんとお話できる大チャンス! 階段ダッシュして、自分の部屋に鞄を置きに行く時間すら勿体ないから即行でお兄ちゃんの部屋に行った。
「逢坂さん、こんにちわー!」
元気いっぱいに、満面の笑みでご挨拶する。
いつもお兄ちゃんに怒られてるのに、懲りずにまたノックするの忘れちゃった。ノックするのがマナー。ノックは大事。ホントに大事。・・・って、今この瞬間痛いくらい思い知った。
お兄ちゃんと逢坂さんがキスしてる。
「おにー・・・ちゃん・・?」
嘘でしょ。嘘でしょ。意味わかんない。なにこれ。ありえない。
あまりのことに鞄も落っことしたし、れなは完全にフリーズした。
れなに気付いて飛び退くように慌てて離れた二人がばつの悪そうにこっち見てる。逢坂さんなんか今まで見たこと無いくらい顔真っ赤だし。
そんな反応するってことは、ふざけてたとかじゃなく、ホントに本気でキスしてたんじゃん。
「お・・・おじゃましましたっ!!」
鞄を拾って逢坂さんに90度の角度でお辞儀してから大急ぎで部屋を出た。
部屋に戻って、膝から崩れ落ちた。
(ありえないありえないありえないありえないありえないー!!)
orzみたいなポーズで暫く声を出さずに叫んだ。すぐ隣の部屋だからホントに叫んだら二人に聞こえちゃうからだ。


「れな、そろそろ飯」
いつの間にかそのまま寝ちゃってたらしいれなは、お兄ちゃんのノックの音で起こされた。
「・・・・・・・・・・ご飯何?」
扉を開けて、思いっきりお兄ちゃんを睨んで尋ねる。今なら、れなは目力だけでゴキ退治くらい出来るかもしれない。
「う、うどん。鶏肉と卵の入ったヤツ、れな好きだろ?」
お兄ちゃんはちょっと引きつった笑顔で答えた。
今日の食事当番はお兄ちゃんだから、わざわざれなの好きなものを作ってご機嫌とりのつもりなんだろう。
けど、そんなんじゃれなは誤魔化されないんだから!
「逢坂さんと付き合ってるの?」
「うっ!? うぐっ、ごぼっ、ごはっ」
ずるすると音を立ててうどんを食べながらズバリ聞いてみると、お兄ちゃんは面白いくらい咽せた。
「いつから? 何で隠してたの? ってか、お兄ちゃん彼女いたよね? どうなってんの? お兄ちゃんが男好きな人とか知らなかったんだけど。ってか、別にお兄ちゃんのセーヘキとかどうでもいいけど。何でよりにもよって逢坂さんなの? お兄ちゃん、れなの気持ち気付いてたよね? れなの気持ち知ってて、なんでそういうことすんの? 」
睨んだ視線はキープしたままで、思いつくままにどんどん言いたいことをぶつけてやる。
「付き合いだしたのは最近。お前の気持ちは・・・・知ってた。悪い」
お兄ちゃんはそれだけ言って、さっさと自分の食べた後を片付けて行ってしまった。
(何なのよ、あの態度は~~~!!)
質問に半分も答えてくれてないし、説明も全然足りない! こんなんじゃ納得行くわけがない! れなは怒り心頭だ!
「れなは絶対認めないんだからねっ!」
自分の部屋に逃げたお兄ちゃんに聞こえるように、れなは大声で叫んだ。

次の日から、れなとお兄ちゃんの戦いが始まった。



「おはよ、相馬」
朝からいつもと変わらず爽やかな笑顔の逢坂さん。れなの家はバス停から学校までの途中にあるから、バス通学の逢坂さんは毎朝必ず我が家の前を通るのだ。
そしてお兄ちゃんは毎朝逢坂さんに合わせて家を出る。
「はよー・・うぉっ!」
「おっはようございます! 逢坂さんっ!!」
ぼんやりした挨拶を返すお兄ちゃんを蹴飛ばして、れなは完璧可愛い笑顔を逢坂さんに向ける。
「お、はよう・・・れなちゃん。今日も元気だね」
「はいっ、元気いっぱいです!」
お兄ちゃんがすっごい恨みがましい目でこっち見てるけど知らんぷり。ふんだ。お兄ちゃんなんか一回家の中戻ってそのぼっさぼさの寝癖頭どうにかしてくればいいのよ。

「なぁユウ、今日の1限・・」
「ねぇ逢坂さん、朝ご飯は何に食べましたぁ?」
「今日は焼き魚とお味噌汁だよ」
「ユウ、英語の小テストの範囲って・・」
「逢坂さん、今度また宿題教えてくださぁい。れな最近数学苦手でー」
「いいよ。数学の宿題が出たら言ってね」
「ユウ、今日のB定って・・」
「あーそうだ、逢坂さん! れな今日調理実習あってー、お菓子作りなんですよー。超女の子っぽくないですかー?」
学校に着くまでの間、れなはことごとくお兄ちゃんの話を遮って逢坂さんとの会話を邪魔してやった。お兄ちゃんの高等部とれなの中等部は校舎が違うから、門の前で別れないといけないのが口惜しい。
でも、
「あーそうだ! れな、今日逢坂さんの分のお弁当も作ってきたんでー、お昼休み校庭で食べましょー!」
校庭は共有スペース、昼休みは行き来オッケーだから、抜かりなく邪魔してやるんだ。
「弁当なら今渡せばいいんじゃ・・」
「じゃ、約束ですよ! 逢坂さん! またお昼休みに!」
「う、うん。また昼休みに」
お兄ちゃんのツッコミは無視して逢坂さんと指切りげんまん。れなは軽い足取りで中等部に向かった。


そして昼休み。
約束通り、逢坂さんと校庭でランチ♪・・・なのに、
「なんでお兄ちゃんもいるの?」
「そりゃいるよ、俺も」
当たり前みたいな顔して逢坂さんにくっついてきたお兄ちゃんを睨む。
「お弁当、お兄ちゃんの分はないんですけどー? さっさと食堂行ってA定でもB定でも素うどんでも好きに食べればいいと思うんですけどー?」
「おーおー、心配していただかなくても購買でパン買ってきてますから大丈夫なんですけどー?」
「まぁまぁ二人とも」
ピリピリムードのれなとお兄ちゃんを逢坂さんがやんわりと宥めてくれた。
逢坂さんがそういうなら仕方ないけど・・お兄ちゃんウザすぎ。
「ユウ、5限の体育・・」
「逢坂さん、これ調理実習で作ったクッキーです」
「ありがとう」
「ユウ、国語の課題なんだけど・・・」
「逢坂さーん、今日数学宿題出たんで、早速カテキョお願いしてもいいですかー?」
「あ、うん。じゃあ放課後れなちゃん家寄るよ」
「・・・・・」
「わーい、やったぁ~♪」
ランチタイムも変わらずお兄ちゃんの話を邪魔してやる。
お兄ちゃんも段々ムカついてきたのか、今は黙って揚げパンにもぐついてる。
「あ、そうだ。れなちゃん、今週の日曜日空いてる?」
逢坂さんが思い立ったように尋ねた。その途端、お兄ちゃんが焦ったような顔をしたのを、れなは見逃さなかった。
「日曜日空いてます。超~暇です。日曜日何かあるんですかー?」
お兄ちゃんをチラチラ見ながら答える。
「遊園地のチケットを貰ったから相馬と一緒に行こうって話してたんだ。良かったら、れなちゃんも一緒に行かない?」
「おい、ユウ!」
「遊園地?! 行きたいですー! 」
「来るなよ!」
逢坂さんからの遊園地のお誘い。お兄ちゃんは断固拒否してるけど、そんなの知らないし。れな逢坂さんと遊園地行きたいもん。
「れな行きたーい! 絶対行くー!!」
「来るなって!」
「嫌ならお兄ちゃんが来なきゃいいでしょー」
「なんでだよ、元々俺が貰ったチケットだぞ」
「そんなのしらないもーん」
またれなとお兄ちゃんはピリピリムード。
「いいじゃないか。チケットは3枚あるんだろ?」
結局、逢坂さんが困ったような笑顔でお兄ちゃんを宥めた。


そして日曜日。
お兄ちゃんは今日までずーっと「来るな来るな」ってしつこかったけど、負けずに来てやってもんねーっだ。
「まずはアレ行きましょう、アレ!」
お兄ちゃんの存在は全力で無視して逢坂さんを引っ張る。
まずは軽めの室内アトラクション。遊園地のキャラクターの家って設定なのに、なぜかエイリアンを倒すガンシューティング。3Dだか4Dだかよく分かんないけど体感型ってやつ。
運動神経の化け物みたいなお兄ちゃんが圧勝で、逢坂さんが二位でれなは最下位。結果はともかく、楽しかったからオッケー。はい次。
スタンダードなジェットコースター。当たり前のように逢坂さんの隣に座ろうとしたお兄ちゃんを押し退けてれなが座る。絶叫系大好きだし全然平気だけど、わざと怖がってる振りして逢坂さんの腕に捕まらせて貰っちゃった。
次はまた絶叫系。ぐーんって一気に上に上がってぎゅーんって一気に落ちるヤツ。勿論ここでもお兄ちゃんを押し退けてれなが逢坂さんの隣・・・って思ったら反対側の隣に座られちゃった。おのれお兄ちゃんめ。
次は観覧車。観覧車っていっても普通のじゃないよ。体がむき出しで足はブラブラ。動きはゆっくりだけど怖さは絶叫マシーンレベル!2人乗りだから、れなは勿論逢坂さんと一緒。お兄ちゃんはぼっち。ザマミロ。
「次は何にしようか?」
昼休憩を挟んだ後、逢坂さんがマップを見ながられなに聞いてくれた。お兄ちゃんじゃなくてれなに。ここ大事。
「これ行きたいです、これー」
れなが指さしたのはこの遊園地で今一押しのアトラクション。
「VRお化け屋敷かぁ。確かに面白そうだね」
逢坂さんの反応もばっちり。でもお兄ちゃんは苦い顔してる。そりゃそうだよね。お兄ちゃんホラー映画とか絶対見ない人だもん。
「やめといた方がいいんじゃないか?」
「なんで? もしかしてお兄ちゃん怖いの~? なんならお兄ちゃんだけ外で待っててもいいよぉ~」
わざと大声で言ってやる。お化けが怖いなんて超ダサくて格好悪いトコ見せて逢坂さんに嫌われちゃえばいいんだ。
「うるさい。行くならさっさと行くぞ」
人の顔見ながら盛大なため息ついて、お兄ちゃんはスタスタと歩きだした。なによ、強がっちゃって。

と、思ったのに・・・・
「きゃああああああああああああああ」
大絶叫して腰が抜けてしまったのはれなの方だった・・・。
「れなちゃん、大丈夫?」
「はい・・・」
お兄ちゃんと逢坂さんに支えられながらお化け屋敷を出て、近くにあったベンチにへたり込む。
「何か飲み物買ってこようか?」
しゃがんで心配そうにれなの顔をのぞき込む逢坂さん。やっぱりとっても優しくて素敵。それに引き替え・・
「だから止めときゃ良かったんだよ」
お兄ちゃんがあきれたように言う。ちょー憎ったらしい。
「もー、お兄ちゃんうるさいっ! せっかくの遊園地なのにお兄ちゃんがいる所為で楽しさ半減だよ! お兄ちゃんなんか大っきらい!!」
お化け屋敷が怖すぎたことの八つ当たりも相まって、お兄ちゃんを思いっきり怒鳴りつけた。逢坂さんもちょっとびっくりした顔してる。
「・・・・・・・飲み物買ってくる」
てっきり言い返してくるかと思ったのに、お兄ちゃんは大きくため息をついただけで、れな達から背を向けて歩いていった。もしかして、いい加減本気で怒っちゃったのかな・・・。でもれなは悪くないし・・・。お兄ちゃんがれなに内緒で逢坂さんと付き合ったりするから悪いんだもん・・・。
「・・・れなちゃん。ごめんね」
れなが俯いていると、不意に逢坂さんが寂しそうに言った。どうして逢坂さんに謝られるのか分からなくって、れなは慌てて顔を上げた。
「全然、全然、れなの方こそ、っていうかお兄ちゃんが・・」
お兄ちゃんが悪いんだって、そう言おうとしたけど、逢坂さんはゆっくりと首を振った。
「悪いのは、僕だから。相馬のこと好きになって、ふられても、相馬に彼女ができてもまだ好きで、どうしようもなかったのは僕なんだ。相馬は何も悪くない」
一言一言、れなに言い聞かせるみたいに言う。逢坂さんはいつも通りの優しい笑顔なのに、なんだか泣きそうにも見えた。
「だから相馬のこと、怒らないであげて。相馬はれなちゃんのことがとっても大事で大好きだから、れなちゃんに大嫌いなんて言われたらすごくつらいと思うから」
逢坂さんがゆっくりと腰を上げる。そして今度は少し冗談交じりで言った。
「お化け屋敷に入るの反対したのも、れなちゃんが心配だったからだよ。相馬、ホラーとか心霊番組とか好きなくせに、家では絶対見ないんだって。れなちゃんが怖がるといけないからって。前に話してたことあるんだ」
ちょっと過保護だよね、って笑う。愛しそうに。逢坂さんは、本当にお兄ちゃんのことが好きなんだ。
「心霊番組くらい平気だし・・・子供じゃないんだから。お兄ちゃんのバカ」
悔しいから、またお兄ちゃんに八つ当たりした。ついさっきまでお化け屋敷で絶叫してたから説得力ないんだけど・・・。
逢坂さんは困ったように笑った。


きっかり夕方まで遊んで、れなたちはようやく家路についた。
「それじゃあまたね、れなちゃん。相馬、また明日」
「はい、今日はありがとうございました」
「あぁ。じゃあな」
いつも通り家の前で逢坂さんに手を振って、でも何となくいつもより長めにその後ろ姿を見送った。ちょっぴりセンチメンタルなれなを気遣うこともなくさっさと家に入ってしまうお兄ちゃんはやっぱり無神経だ。
「ちょっと、お兄ちゃん!」
れなもお兄ちゃんを追いかけるように家に入って、お兄ちゃんの服を引っ張った。聞きたいことがあるからだ。
「なんだよ・・?」
「逢坂さんの事・・・一回ふっちゃったってホント?」
怪訝そうに振り返ったお兄ちゃんに、れなは大真面目に尋ねる。逢坂さんが言ってたことを確かめたかった。
「・・・ユウに聞いたのか?」
お兄ちゃんがばつの悪そうに聞き返す。質問に質問で返すのってずるいよね。
「逢坂さんのこと一度ふっちゃったのは、れなが逢坂さんのこと好きだったから? お兄ちゃんが急に彼女作ったのは逢坂さんに自分のこと諦めさせるため? そのくせ、彼女とろくに長続きしなくって結局逢坂さんと付き合うようになったのは、お兄ちゃんもホントはずっと逢坂さんのことが好きだったから?」
ずるいお兄ちゃんには、逃げ場がないように、そのものズバリな聞き方をしてやる。ちゃんと正直に言わなきゃ許さないんだ。
そんなあわ食ったような顔したって無駄だもん。れなはお兄ちゃんをキッと睨み付けた。
「・・・・・・・・・そうだよ。悪いかよ」
深い溜息をついて、諦めたようにお兄ちゃんが答えた。全面降伏って感じだ。
「お兄ちゃんバカじゃないの!?」
れなはきっぱりと言った。今日ほどお兄ちゃんのことを大馬鹿だって思った日はない。
「そんなの、全然れなのためじゃないんだからね! 逢坂さんのこと無駄に傷付けちゃっただけじゃん!バカ!」
キーって怒鳴りながらお兄ちゃんの服をギューギューに引っ張ってやる。お兄ちゃんはされるがままだ。
「これからは、逢坂さんのことめっちゃくちゃ大事にするんだよ! れなの初恋の人、傷付けたりしたら絶っ対絶対許さないんだからね!? 分かった!?」
いまいち頼りないお兄ちゃんに念押しで迫る。お兄ちゃんは少し呆気に取られたようになって、それから「ごめん」って言おうとしたから、れなは慌ててお兄ちゃんの口を手で塞いだ。お兄ちゃんも逢坂さんも、れなに謝りすぎなんだもん。謝られる筋合いなんてない・・・ってゆーか、謝られる方がなんか虚しいんだって。
「あ、家ではあんまりイチャイチャしないでよ?」
ふと、この前のキスシーンを思い出しちゃったからついでに忠告。付き合うのは認めたからって、れなの隣の部屋でそういうことされるのは流石に気まずいもん。
「し、しねーよ!バカ!」
お兄ちゃんが赤い顔で反論してくるから、れなは逃げるように自分の部屋に走った。
毎日キラッキラの初恋ライフは終わっちゃったけど、逢坂さんの相手がお兄ちゃんならまぁいっかー・・・なんて、れなも実は結構ブラコンなのかな。認めたくないけどね。

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