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魔女と同居人2
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フィオラとレイの出会いは五年前。フィオラが十一歳の時である。
小屋の裏手に作った小さな畑で作業していた時に、何処からともなく現れたのがレイだった。
『―――魔法が使えない?ならば、使えるようにしてあげますよ』
『本当?じゃあ、お願い!』
初対面にも関わらず、二つ返事でレイはフィオラの魔法の師匠となり、以降一緒に過ごしている。
出会った時からレイの姿は半透明であったが、なぜ半透明なのかは、今も謎のままであった。
見た目はどう見ても幽霊。
しかし、レイ曰く、幽霊ではないらしい。
では、何なのか。それは本人もよく分からないという。何処から来たのかも分かっていない。
どうにも怪しいが、この時のフィオラはそんな事は気にならないくらいには孤独であったのだ。
幽霊でもいい。とにかく、話し相手が出来た事が嬉しかった。
魔法が使えるようになる。
そんな言葉は信じていなかった。
自分が魔法を使えるようになるとは、これっぽっちも思っていなかったのだ。
何故なら、フィオラは魔力無しの判定を受けていたから。
だが、現にフィオラは凄腕の魔法使いに成長している。
フィオラがこうして生きていられるのは、レイのお陰でもあった。
『では、魔法の腕も上がったことですし、そろそろ私との約束を果たして頂きましょうか』
レイが小首を傾げて、にんまりと微笑んだ。
「約束?」
『まさか、忘れたとは言わせませんよ』
きょとんとしているフィオラに、レイがその半透明の体でずいっと迫って来る。 まあ、迫られたとて、半透明の体はフィオラの体を通り抜けてしまうのだが。
「も、もちろん!忘れてないよ!」
一瞬、何を言われたのか分からなかったフィオラは慌てて取り繕う。
フィオラがレイから魔法を習うにあたって交換条件があった。
それは、フィオラがまともに魔法を扱えるようになったら、その体を明け渡す……とかではなく。レイの探し物を一緒に探して欲しい。というものだった。
「探し物でしょ。ちゃんと覚えてるよ」
フィオラは改めてレイを眺めるように見た。
見た目の年齢は三十歳前後くらい。腰まである長い髪は銀色。瞳の色は、この国では珍しい灰色をしていた。 金の刺繍で縁取られた白い貫頭衣を纏う姿は、どことなく高貴な雰囲気を醸し出している。
この見た目は、フィオラと出会った頃から何一つ変わらない。
やっぱり、幽霊じゃないのかなぁ~?
フィオラにとって、レイが幽霊であるか否かは些末な事だったが、本人がどこの誰だか覚えていないというのは気の毒に思えた。
魔法にも詳しいし、知識も豊富だ。きっと偉い人だったに違いない。
「でも、それってさ、どうなの?レイは、自分の事もよく覚えてないんでしょ?何を探しているのかは分かるって、おかしくない?」
『探している物が見つかれば、思い出す気がするんです』
レイは、にっこりと微笑んだ。
実に怪しい。
怪しいのは、記憶がないと言うのに探し物をしているという点だ。
本当は記憶が無いふりをしているのではないかと思わずにいられない。
なので、フィオラはこれまで散々探りを入れてみた。だがいつも、のらりくらりと躱されていた。
しかし正直なところを言うと、フィオラはいつまでもレイの記憶が戻らなければいいと思っていた。
そうすれば、いつまでも側にいてくれる。
レイが幽霊でも魔物でもいい。触れる事も出来ないが、もう独りになるのは嫌だった。
『それはそうと、フィオラ。誰かがこの家に近付いて来るようですよ』
「えっ、まじで?」
フィオラの顔が苦虫を噛み潰したように歪む。
人里離れたこの家に、来客は殆どない。
あるとすれば、それは――――――……
小屋の裏手に作った小さな畑で作業していた時に、何処からともなく現れたのがレイだった。
『―――魔法が使えない?ならば、使えるようにしてあげますよ』
『本当?じゃあ、お願い!』
初対面にも関わらず、二つ返事でレイはフィオラの魔法の師匠となり、以降一緒に過ごしている。
出会った時からレイの姿は半透明であったが、なぜ半透明なのかは、今も謎のままであった。
見た目はどう見ても幽霊。
しかし、レイ曰く、幽霊ではないらしい。
では、何なのか。それは本人もよく分からないという。何処から来たのかも分かっていない。
どうにも怪しいが、この時のフィオラはそんな事は気にならないくらいには孤独であったのだ。
幽霊でもいい。とにかく、話し相手が出来た事が嬉しかった。
魔法が使えるようになる。
そんな言葉は信じていなかった。
自分が魔法を使えるようになるとは、これっぽっちも思っていなかったのだ。
何故なら、フィオラは魔力無しの判定を受けていたから。
だが、現にフィオラは凄腕の魔法使いに成長している。
フィオラがこうして生きていられるのは、レイのお陰でもあった。
『では、魔法の腕も上がったことですし、そろそろ私との約束を果たして頂きましょうか』
レイが小首を傾げて、にんまりと微笑んだ。
「約束?」
『まさか、忘れたとは言わせませんよ』
きょとんとしているフィオラに、レイがその半透明の体でずいっと迫って来る。 まあ、迫られたとて、半透明の体はフィオラの体を通り抜けてしまうのだが。
「も、もちろん!忘れてないよ!」
一瞬、何を言われたのか分からなかったフィオラは慌てて取り繕う。
フィオラがレイから魔法を習うにあたって交換条件があった。
それは、フィオラがまともに魔法を扱えるようになったら、その体を明け渡す……とかではなく。レイの探し物を一緒に探して欲しい。というものだった。
「探し物でしょ。ちゃんと覚えてるよ」
フィオラは改めてレイを眺めるように見た。
見た目の年齢は三十歳前後くらい。腰まである長い髪は銀色。瞳の色は、この国では珍しい灰色をしていた。 金の刺繍で縁取られた白い貫頭衣を纏う姿は、どことなく高貴な雰囲気を醸し出している。
この見た目は、フィオラと出会った頃から何一つ変わらない。
やっぱり、幽霊じゃないのかなぁ~?
フィオラにとって、レイが幽霊であるか否かは些末な事だったが、本人がどこの誰だか覚えていないというのは気の毒に思えた。
魔法にも詳しいし、知識も豊富だ。きっと偉い人だったに違いない。
「でも、それってさ、どうなの?レイは、自分の事もよく覚えてないんでしょ?何を探しているのかは分かるって、おかしくない?」
『探している物が見つかれば、思い出す気がするんです』
レイは、にっこりと微笑んだ。
実に怪しい。
怪しいのは、記憶がないと言うのに探し物をしているという点だ。
本当は記憶が無いふりをしているのではないかと思わずにいられない。
なので、フィオラはこれまで散々探りを入れてみた。だがいつも、のらりくらりと躱されていた。
しかし正直なところを言うと、フィオラはいつまでもレイの記憶が戻らなければいいと思っていた。
そうすれば、いつまでも側にいてくれる。
レイが幽霊でも魔物でもいい。触れる事も出来ないが、もう独りになるのは嫌だった。
『それはそうと、フィオラ。誰かがこの家に近付いて来るようですよ』
「えっ、まじで?」
フィオラの顔が苦虫を噛み潰したように歪む。
人里離れたこの家に、来客は殆どない。
あるとすれば、それは――――――……
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